意外性のでかハタ攻略/大きいのが釣れる場所には理由がある!~金丸竜児(かなまる・りゅうじ)


近年人気急上昇中のハタゲーム。小さくても引きが強いファイターだが、どうせなら大きいのが釣りたいのが釣り人の性。とはいえ、どこでもビッグサイズが釣れるわけじゃない。それじゃあ、さっそく「でかハタ狙いには好条件を備えた釣り場探しが大切です!」と力説する金丸竜児さんに、でかハタ探しの奥義を教えてもらっちゃおう!

根魚のなかでもハタは特に場所を選ぶ魚。小型中型の数釣りはともかくこのサイズを釣ろうと思ったら、基本ばかりにとらわれたポイントセレクトではどうしても物足りなくなる。そこで今回金丸さんが提案するのが「意外性」だ。

今回最大のオオモンハタは一般的な根魚狙いとはほど遠い条件のポイントで出た。しかしでかいなぁ!

でかハタは「場所」で釣れ!

ワームのサイズでは釣り分けできない⁉

 夏を経て秋になっても、海のなかではまだまだ暑い夏が続いていることだろう。そんな熱い海でぜひ狙いたいのが、キジハタ・アカハタ・オオモンハタといったハタ類の魚だ。

 高水温期に浅瀬に差してくるため、ショアからのキャスティングでも簡単に狙えるこれらのハタ類だが、10㎝未満のものから50㎝を超える大型まで、同じポイントでさまざまなサイズが混ざって釣れるという特徴がある。大型を狙うために大きなワームを使うと、そのワームより小さなハタがアタックしてくることも珍しくない。

 ということで、より大きなハタを釣りたければ、大きなハタがたくさんいるポイントを探す必要がある。

おなじみの三要素+α

 地域性やハタの種類にもよるが、大きなハタを狙えるポイントの条件として「起伏の激しい岩礁帯」「潮通しがいい場所」「ベイトの有無」といったものが挙げられる。この3つはハタに限らず多くの根魚狙いでのセオリーとして多くの方がご存知かと思われるが、この基本条件に「意外性」というキーワードを足すというのが今回のテーマだ。

 この「意外性」とは具体的にいえば「人がルアーを通してない場所」のことだ。ハタは根魚の例にもれず根に着く魚なので、堤防の先端など人気ポイントになればなるほど、ルアーの通過や釣られる仲間を目にすることでスレてしまうことが多い。また、その根に着いていたハタがすべて釣られてしまい、魚自体がいない可能性も大いにある。

定番ポイントをあえて外す⁉

 前述した3つの条件を満たした定番ポイントばかりを狙っていると、このようにスレが進んだり魚が抜かれてしまったポイントばかりを引き当ててしまうおそれがある。だがここで「意外性」という要素を足してもう一度ポイントを探し直すことで、誰も攻めていなかった大当たりのポイントを見つけるチャンスが生まれる。

 シーズンや条件にもよるが、ハタは意外と身近な場所に潜んでいるものだ。潮の流れがほとんど当たらない堤防の根元や内側、シャローのゴロタ浜エリアなどでも大型ハタの可能性はかなり高い。ここはぜひ「意外性」の目を持ってアプローチしていただきたい。

 また釣り場選択だけでなく、飛距離重視のタックルやルアーを使い、ほかのアングラーには届かなかった竿抜けポイントを狙うことも、大型ハタを引っ張り出す有効な一手である。


今回の実釣は愛媛県・愛南エリア!

ミドルゲームで大ハタ狙い

 今回訪れた先は愛媛県南部、高知との県境に近い愛南エリアと呼ばれる一帯だ。真夏のとある日、県庁所在地の松山からクルマで約2時間の行程でここにエントリーした。豊後水道と黒潮の流れが交差し、堤防から磯まで高実績ポイントが多く点在する西日本屈指の人気エリアを、朝夕のマヅメをメインとしたミドルゲームで狙うのが今回のプランだ。

 近年アングラーも増加傾向にあるミドルゲームとは、PE0・6~0・8号と細めのメインラインで、5~20g前後のルアーを使用していく釣り方だ。50㎝を超えるような根魚のキャッチは難しいかもしれないが、40㎝前後までであれば高確率で獲れる。また、ライトゲームとほぼ同じレベルまでフィネス化することで反応を得やすく、スレた個体に口を使わせることができるメリットがある。

四国南西部の海岸線、宇和海に面した一帯が今回のステージだ。


初日は魚子ラバで数釣り

 移動日でもある初日、ポイントに到着したころには日も傾いていたため、エントリーのしやすい足場のいいポイントで竿を出すことにした。足元には敷石が広がっており、明確なブレイクラインも視認できる、いかにも根魚が好みそうなポイントだ。

 ここでチョイスしたルアーは、ミドルゲームで大活躍する「魚子ラバ」10g。伝統漁具であるタイラバをマイクロ化したルアーであるが、昨年冬、ミドルゲームに対応できる5~20gも追加された。

 魚子ラバを選んだ理由は、その守備範囲の広さである。根魚はもちろんのこと、青物からフラットフィッシュまであらゆる魚種、あらゆるパターンに対応する適応力の高さは、サーチベイトとして実に心強い。

 まずは足元を探ると、1投目からブレイクラインでヤミハタがヒット。四国南部や鹿児島県で多く見られるハタであるが、パワフルな引きがたまらなくおもしろい。その後もキャストポイントを変え、20~23㎝前後と小型であるが、数釣りを堪能することができた。

初日にエントリーした足場のいい護岸では、このヤミハタが数多く釣れてきた。


多彩なゲストで初日終了

 夏~秋のミドルゲームでは、ハタ以外のさまざまな魚種が反応してくれる。そのため、手前のブレイクだけでなく遠投を行ない沖目も同時に狙っていくと、ハマフエフキ(タマン)やヨコスジフエダイ、カサゴといった魚たちが勢いよく魚子ラバにアタックしてくれた。

 さらに魚種追加を狙い沖を探っていると、海底に沈んでいる根を発見。根掛かりを警戒しながら根周りに魚子ラバを通すと、斑点が特徴的なオオモンハタが姿を見せてくれた。青物のようにベイトフィッシュを追いかけて回遊するという、根魚では珍しい行動をするハタである。可愛い見た目とは裏腹に立派なパワーファイターである。

 短時間の釣行であったが、フタを開けてみると魚子ラバのみで5魚種と大満足の夕マヅメとなった。

もちろん定番ポイントがまったくダメというわけではない。大型ハタにこだわらなければ、このハマフエフキのような豪華ゲスト、それに中型小型ハタの数釣りも楽しめる。

ボトム周辺のストラクチャーを好むカサゴ狙いも、基本に忠実な攻め方を通していればOK。

いろんな場所でよく釣れるエソ!

なんとヨコスジフエダイまで釣れてきた。

イケスがあるということは波は穏やか、それでいて水深があって潮通しもいいということ。愛南エリアにはこのような養殖イカダが多数見られる。


まずは基本に忠実に……
数釣りならこれで十分だ!

意外性で狙う2日目の大ハタ

 迎えた2日目早朝。この日はミドルゲームで獲れる大型のハタを狙うため、釣り人があまり入ってなさそうなポイントを選択した。

 本命ポイントへ向かう道中、漁港の奥まったポイントで「魚子メタル~ひらり~」を投入してみると、すぐさまエソがヒット。ワニのような鋭い歯で小魚を捕食するどう猛なフィッシュイーターに、マイクロジグである魚子メタル~ひらり~が効いたようだ。

 さて、今回初場所となる短い堤防のポイントへ到着。周囲に岩礁帯が絡み、また潮通しもよく、いかにもハタが好みそうなポイントであった。前日に続き「魚子ラバ」で根周りを確認するもアタリを得られない。これは根魚がいないのでは? と疑いはじめたそのとき、沖にあった潮目が射程距離内に接近してきた。

 海面のざわつきも見られるなか、潮目下のボトムをサーチしてみるとガツンと強いアタリが発生。潜られないよう根から引き離しつつ上がってきたのは、30cmオーバーのオオモンハタだった。どうやら潮目にキビナゴが入っており、それを捕食していたようだ。これは時合いの可能性もある。間髪入れず潮目に魚子ラバを投入すると、再びボトムレンジで強烈なバイト。さっきより明らかに大きい魚体は、40㎝を優に超えるオオモンハタであった。これはミドルゲームで獲れる最大級のサイズである。このサイズに満足した私は、このタイミングで早々に納竿することとした。

 今回の釣行はミドルゲームならではのアタリの多さを満喫でき、そして良型サイズをキャッチという、非常に満足のいくものなった。この号が出るころは、真夏だった実釣ロケ日に比べると朝晩はもちろん、日中もずいぶんと涼しくなっていることだろう。多魚種を楽しめるミドルゲームが目一杯楽しめるシーズンの到来だ。そんなベストシーズンこそ、ぜひともポイント開拓勤しんでいただきたい。

沖の潮目という、一見根魚とは縁がなさそうなストラクチャーに着いていた、今回最大のオオモンハタ。沈み根や海藻帯、堤防の際はみんな攻めてるから魚もスレるしサイズも小さくなる。ここはひとつ、誰も狙っていなさそうなポイントも試してみてはいかが?

潮目に寄ったベイトに着いてるなんて
こいつ青物かよ~!


中小型ハタの数釣りポイント
こちらはセオリーどおりでOK!

 ハタゲームの定番ポイントとなる足元の敷石周りや沖の根周りでは、30㎝未満のカサゴやオオモンハタ、ヤミハタなどの数釣りを楽しんだ。また、スペシャルゲストとしてタマン(ハマフエフキ)やヨコスジフエダイも姿を見せてくれた。

 今回使用した魚子ラバは、オフショアのタイラバをベースにいろいろな魚種が釣れるようにチューンしたルアーだ。小魚から甲殻類、タコなどの軟体動物と、さまざまなベイトの見た目と動きを再現することができるので、雑食性の強いハタには特に強い。なんでもいいからとにかく釣りたい! という方に強くオススメしたいルアーである。

漁港・堤防・水中の敷石の複合ポイント。真っ先に狙いたくなるような条件が揃っているが、こういった場所はすでに多くの釣り人が入って魚がスレている可能性も高い。

陸上からも水中の豊富なストラクチャーが手に取るようにわかる。ぜひ竿を出したいポイントだ。


でかオオモンはここで釣れた!
地形ではなく潮目に着いた意外性

 2日目は午前中の高活性魚を狙い、岩礁帯が周囲に点在する短堤防へエントリーしたのは本文でもふれた。海面のざわつきが強い潮目へ狙いを定め、魚子ラバ15gを根周りへキャストし、ボトムを中心に誘っていると、まずは30㎝オーバーのオオモンハタがアタック。潮目にはキビナゴが入っていたが、どうやらこれに着いていたらしい。さらに潮目付近のボトムを探ってみると、すぐにひったくるようなアタリをキャッチ。強烈なファイトのすえ上がってきたのは、40㎝を優に超える立派なオオモンハタであった。

 朝マヅメからのチャンスを活かせたこともあるが、キビナゴを発見し、小魚パターンにルアーをアジャストできた釣果といえよう。オオモンハタは根に着くよりベイトに着いて回遊することが多いという、青物のような特性を持っている。大型を狙うなら、こういったハタの種類ごとに異なる習性を意識したアプローチを心がけたい。

少し沖目に潮目ができていた(丸い枠あたり)。おそらくここにキビナゴが着き、魚を寄せる要因となっていたようだ。オオモンハタや青物狙いには絶好のチャンスだ。

やはり朝マヅメはどんな魚釣りでもチャンスタイム。集中して竿出ししよう。


ハタ狙いのタックルセッティング
ライトより強いけどヘビーすぎないミドルゲームタックル

 今回は大型ハタを磯で狙うような本格的なハタタックルではなく、堤防で7~20gまでのルアーを使用し、10~40㎝前後のハタを狙うことを想定したミドルゲームタックルをメインで使用した。

 ロッドに関しては使用ウエイトを快適に扱え、根魚を浮かせる適度なバットパワーとボトム感知能力を兼ね備えた7~8ft前後のものが取り回しもよく、ミドルゲームにマッチしている。リールは2000~2500番の小型スピニングモデル、ラインについてはポイントの地形や根魚のアベレージサイズに合わせてPE0.6~0.8号にフロロカーボンリーダー12~16Lbを結束するといいだろう。

一般的なライトタックルよりロッドを少し長く強くすることで、ヘビータックルにも劣らないパワーを引き出せるのがミドルゲームタックル。40㎝までのハタや青物、フラットフィッシュやシーバスまで幅広くカバーする。

●参考タックル
〈ロッド〉APIA GRANDAGE LEGACY UNIVERSAL S77MT
〈リール〉DAIWA EXIST 2506PE-H
〈ライン〉PE0.6号
〈リーダー〉GOSEN ROOTS FC LEADER 12Lb
〈ルアー〉RUDIE'S 魚子ラバ魚子メタル


魚子ラバは根魚狙いに最強!
特効カラーは黒金ラメ!

 伝統漁具であるタイラバを、ショアからキャストできるルアーとして昇華させた魚子ラバ(RUDIE'S)。タイラバが青物から根魚まで幅広い魚種をヒットさせるように、魚子ラバもあらゆるターゲットの釣果報告が聞こえてくる。

 根魚が好むようなルアーの動きを出しにくい岩場や敷石ゾーンでも、わずかな水流で最大限にアピールできるのがこのルアーの特徴だ。スイミングでは小魚パターン、フォールでは甲殻類・軟体類パターンを演出することが可能である。

 あらゆるシチュエーションに対応できる6色のカラーラインナップがあるが、なかでもシルエットが最大限に浮き出る「黒金ラメ」は、昼夜光量問わず好反応を得られることが多い。王道カラーでは反応しない個体に効くことも多いので、タックルボックスに必ず忍ばせておきたい、個人的イチオシカラーである。

RUDIE'S 魚子ラバ

6色ある魚子ラバで金丸さんイチオシなのが、この黒金ラメカラー。水中での存在感は群を抜いている。

魚子ラバは全6色、グリーンやピンクといった定番カラーももちろんオススメ。


魚子ラバでこう釣った
投げる、沈める、巻く、これだけ!

 今回は魚子ラバをメインに使用した釣行となったが、アクションに関しては難しいことを考えず、狙ったポイントへキャストし、ボトムを取ったあとロッドを立てた状態でタダ巻きする。この基本動作を行なうだけでいろいろな魚をキャッチすることができた。反応がなければ3~4回リーリングして再びボトムへ落としたり、タダ巻きのスピードを調整したりすることで、ベースアクションに変化をつけるといいだろう。

 ハタ狙いの場合、海底付近へのアプローチが基本となってくるが、ベイトを追いかけるオオモンハタやハタ以外のフィッシュイーターを狙うときは、任意のレンジをメインに誘うといいだろう。

PROFILE
金丸竜児

かなまる・りゅうじ 福岡県在住。ルーディーズ代表&ルアーデザイナーをつとめるライトゲームのスペシャリスト。ロックフィッシュゲームの開拓者であり、この釣りの探求に日夜余念がない。家庭菜園、狩猟も嗜む。