多種多様な種類が存在するエギ。その使い分けを知れば釣果アップ間違いなし! 大物狙いの春、いよいよ始まるエギングシーズンのスタートダッシュを決めちゃおう!
アオリイカはなぜエギを抱くのか?
春のでかアオリにはシャロータイプのエギも有効になる。
■抱く理由:水平姿勢でのフォール
ルアーの種類がたくさんあるなかで、イカを釣るためだけに開発されたのがエギだ。アオリイカが魚用のルアーでは釣れないのにエギで釣れる理由は、海中での姿勢とその沈下角度にある。ジャークしたあとに水平姿勢を保ったままピタッと止まるバランスは、プラグなどほかのルアーでは真似できない、エギならではの芸当だ。そしてフォール中は一定の角度を保ったまま、前傾姿勢で沈んでいく。アオリイカは頭がいいが、このエビのような動きが好きでたまらないため、ついだまされてしまうのだ。
■抱く理由:表面に巻かれた布
プラグにはなくエギだけにある要素はほかにもある。本体に巻かれている布だ。この布があるおかげで、イカが抱きついたあとにエギを離しにくくなるどころか、エサと間違えて布に噛みついてしまうようにもなる。布を巻いていないエギももちろんあるが、巻いているもののほうがエギを抱いている時間は長い。この布があることで、イカを釣りやすくなっているのは間違いない。
■抱く理由:豊富なカラー
さらに、エギでイカが釣れる理由はその豊富なカラーにもある。アオリイカは視力がよく、我々人間が感じ取れる可視光線のほか、紫外線も感じることができる。そのため、昼夜や天気による光量の違い、水質などで釣れるカラーが違ってくる。これは裏を返せば、夜光やケイムラ、レッド、ゴールド、マーブルなど状況にあわせたカラーを選択することで、より釣れる確率が上がっていくということだ。エギンガーの皆さんの実体験を通じて、日々新しいカラーが生まれていることにお気づきの方も少なくないだろう。
カラーの使い分け
レッド、レッドケイムラ、ケイムラってどう違う!?
春は大型イカの接岸に合わせ、夜から朝にかけての釣果が多くなる。そのためエギのカラーは、夜にメインで使うレッドボディ、そして日が出てから使うケイムラボディのエギの両方が必須となる。さらに月が明るい夜や薄暗い朝マヅメなど、明暗の中間にあたる光量に強いのがレッドケイムラ。光量にあわせてレッド、レッドケイムラ、ケイムラを使い分けよう。
上からケイムラ、レッドケイムラ、レッド。可視光線しか見えないと、このように大きな差がないように思えるが……。
ブラックライトを当て、紫外線も感知できるアオリイカの視覚を再現した状態がこちら。いちばん下のレッドは真っ黒だが、上2つのケイムラカラーがあやしく輝いていることがわかる。カンナ根元のグロー部分も反応して発光している。
春イカ狙いで使いたいカラーはこれ!
エギスタ(釣研)のレッドケイムラ。このカラーは、ケイムラボディにクリアレッドのコーティングを施したもので、その効果は半永久的に持続する。夜はシルエットがはっきり出るレッド、反対に昼間や月が明るいときはケイムラがエギングでは定番とされているが、レッドケイムラはこの両方を併せ持っているため、どのカラーを使おうか悩んだときに迷わず手にとってほしいカラーといえる。遠征でのレッドモンスター狙いや、オフショアのティップランで深場を狙うときも効果的だ。
エギスタノーマル レッドケイムラブラックラメ3.5(釣研)
昼間の逆光で見ると、こんな感じでシルエットがくっきりと出ることがおわかりだろう。このシルエットは闇夜でもぼやけることはない。
エギの仕組みについて
エギにムダなパーツはない
イカを釣るためだけに開発されたエギだが、ほかの魚用ルアーに比べて浮力調整や沈下速度がシビアなので、少しでもバランスが悪いと釣れなくなってしまう。私はエギ開発を始めて20年以上になるが、プロトテストが失敗の連続から始まることに変わりはない。この失敗のたび、エギ作りの奥深さを感じている。
さて、エギはボディ、目玉、羽根、カンナ針、シンカーといったパーツを組み立てて作られているが、それぞれに役割がある。特にボディとシンカーは、より高い精度を求められる。
各パーツの役割
まず、エギのいちばんのキモとなるのがボディだ。エビのように尾をきゅっと曲げ、腰を高くした形状にすることで、潮受けしやすく、かつ一定のレンジをキープしやすいようにできている。また浮力があるため、前傾姿勢でのフォールを維持し、流れのない状況でもイカが釣れるバランスになるように設計されている。
次にシンカーだ。その形や重さでフォール速度を調整するのは当然として、体積を大きくすることでダートしやすくしたり、潮受けしやすい形状にすることで流れの変化がわかりやすくしたりと、それぞれのエギの持ち味を強く打ち出すための形状になっていることが多い。
また、シンカーをつける位置でフォール角度を調整するという役割もある。深場で素早く落としたければ前方に、浅場でゆっくり落としたければ比較的うしろの中央部にといった具合に、各社ともいろいろな工夫をこらしている。
さて、エギそれぞれのパーツは、プラグのようなネジ込みや貫通ワイヤーではなく、接着剤で貼り付けて組み立てられていることが多い。そのため、夏の暑い車内に放置したり熱湯で洗ったりすると強度が落ちてしまう。使ったあとは、常温の真水で洗ったのち、陰干しをするのがオススメだ。
エギのサイズにはこんな秘密がある!
一度の食事量≒エギのサイズ
アオリイカを狙うエギは、一般的に2.5号から3.5号とされている。2.5号はおおむね全長7.5㎝、3.5号は10㎝ちょっととかなり大きさが違うが、なぜこのようなサイズのバリエーションがあるかというと、それはアオリイカが一度に食べるエサの量が季節によって違ってくるからだ。
アオリイカも魚と同じように、成長するにつれて一度の食事で食べるエサの量が増え、成長すればするほど必然的に大きなエサを捕食しようとする。そのためイカの成長に合わせてエギの大きさを変えたほうが、より釣果が上がりやすくなる。
季節によるサイズ選び
イカは春に産まれた卵が初夏にかえって秋に成長し、翌年の夏前には寿命を終える一年魚だ。そのためイカのサイズが小さい秋には2.5号、晩秋には3.0号、冬や春の大物狙いには3.5号がそれぞれメインのエギサイズとなる。
また季節を問わず、300gまでのイカには2.5号、300g~1㎏までは3.0号、1㎏以上では3.5号といった具合に、狙うイカのサイズに合わせてエギのサイズを変えることもある。
サイズ選びの裏技
さらには、本来3.5号で狙うような季節やサイズでも、より抱かせやすくするためあえて3.0号のエギを使うという裏技もある。スレイカはエギの大きさにシビアだが、エギを小さくしてあげることで釣りやすくなる傾向が強くなるためだ。
いっぽうで、太平洋側の離島に生息する4㎏オーバーのアカイカ系アオリイカ、通称レッドモンスターを狙うときは、さらに大きな4.0号や5.0号といったエギが有効になる。
こんな具合に、季節や狙うサイズに合わせてエギの大きさを選ぶといいだろう。
タイプ別のバリエーション
1mあたり3秒で沈むノーマルタイプ
エギングでもっとも万能、そして使いやすいのはノーマルタイプのエギだ。3.5号でいえば、1mあたり約3秒の速さで沈むように設計されている。この沈下速度3秒/mというスピードは、一般的なイカが釣れやすい水深である、5~10m付近にエギをとどめておきやすいものだ。
シャローとディープ、これだけ違う
それより浅い水深3~5mの場所では、ノーマルタイプではあっという間にボトムに到達して根掛かりしやすくなってしまうため、6秒/mとより沈下速度の遅いシャロータイプを使う。また水深3m未満の遠浅リーフ、それに海藻が水面近くまで生えている場所で使うため、沈下速度が8秒/mとさらに遅いスーパーシャローというタイプもある。
いっぽうで、水深が10m以上の深場で確実に沈めたり、風や潮流が強い状況で着底をわかりやすくするために、2秒/mという速いスピードで沈むディープタイプを使うこともある。
同じ釣り場での使い分け
釣り人が多いフィールドや一時的に水温が下がったときなどは、ノーマルタイプではアタリがあっても沈下速度が速くて抱かない場合がある。そういった低活性の状況では、ゆっくり見せられて抱きつきがよいシャロータイプに変更するのがオススメだ。また、夜は表層から中層に浮いて回遊するイカも多いため、深いポイントでもスーパーシャローで中層以上に狙いを絞るというのも有効だ。
エギスタには沈下速度3~3.5秒のノーマルタイプ、5~5.5秒のシャロータイプ、7~8秒のスーパーシャロータイプの3タイプがある。状況に応じて沈降速度の違うタイプを使い分けてみよう。
スローシンキングモデルで春イカ攻略に最適。警戒心の強いでかイカを誘ったり、スレイカを焦らせて釣るのに有効な低速沈降版。
●フォールスピード
シャロータイプ
3号(15g)→ 5.5~6秒/m
3.5号(20g)→ 5.5~6秒/m
スーパーシャロータイプ
3号(14.5g)→ 7~8/m
3.5号(19g)→ 7~8/m
【SPEC】
●サイズ:シャロー(3号/15g、3.5号/20g)、スーパーシャロー(3号/14.5g、3.5号/19g)●カラー:全16色●価格:1250~1300円
■ハイアピールタイプ
エギスタ ラトル(釣研)
イカが好反応を示す「コトコト音」を発生するラトルモデル。遠くの群れを寄せる効果はもちろん、バイトに至らないイカを思わず抱かせるパワーもある。秋は特に有効なので、ぜひ持っておきたい。
【SPEC】
●サイズ:2.5号、3号、3.5号● カラー:全3色●価格:1200~1300円
春イカ用にオススメなタックル
エギストTZ 77M/TISL(tailwalk)
春のでかイカはスレている個体が多く、エギに触ってもすぐ離してしまうことも多い。そんなナイーブなイカの前アタリを敏感にとらえ、そのままフォールさせて抱かせるか、抱かせるための次のシャクリを入れるかという判断が瞬時にできるようになるのが、チタンティップロッドの強みだ。手感度がいいため、イカが触腕でエギを触る通称イカパンチがあると「ゴッ」とか「ポン」という金属的なアタリが手元に伝わってくる。アタリをとるためにラインを張っていても、チタンティップの柔らかさがうまくはたらき、抑え込むようなアタリも弾かない。
速いペースで投げてシャクることと、そのときの違和感を逃さず感知すること。この2つの目的を同時に満たすのが、チタンティップという選択肢だ。
春のでかイカ狙いのおすすめタックル
Profile
河野剛志
(こうの・たけし)
陸っぱり、オフショアを問わず、ソルトルアー全般に精通。なかでもエギングに対する造詣の深さは特筆モノ! 鹿児島県在住。
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