陸っぱりアングラーにとってあまり馴染みのないアジ狙いの方法「バチコン」。今回はこの仕組みを、アイディアの塊・村上晴彦さん流・陸っぱり応用編としてご紹介!
オモリを着底させてちょっと待つだけで、こんなアジが連発してくれた。
PROFILE
村上晴彦
むらかみ・はるひこ:ブラックバスからソルトゲームまで、幅広いジャンルの釣りに精通する元祖カリスマアングラー。常吉リグ、ネコリグの考案者であり、独自のセンスで爆釣リグを発表し続ける。ISSEI海太郎のデザイナーを務め、新製品の開発を手がける。
バチコンについておさらいします!
「バチコン」というのは「バーチカルコンタクトリグ」の略で、船から垂直(バーチカル)に直下を釣るルアーフィッシングのことである。長ったらしい名称ということもあって、バチコンという略称で呼ばれるようになり、語呂もいいのでそれが定着し、現在に至っている。
バチコンの始まりは、重いオモリを装着したリグで、数十mのディープからでかアジを釣るメソッドとして発祥。アジ以外にもイサキや根魚などが五目で狙える釣りとして人気を博しているが、いまは10mくらいの浅い場所を狙ったりと、メソッドも発展し、楽しみ方も多様化しているメジャーなオフショアゲームだ。
村上さん自身、準地元とも言える三重県尾鷲方面で長年本場のバチコンに勤しみ、その釣りにも精通しているアングラーの一人。本格的バチコンは、ポイントも相応に遠く、狙う水深も深いので、正直「お手軽感」は薄いが、近年は神奈川県の横浜などで、行程10分、水深15mを半日の乗合船で楽しめる船宿も多く、村上さんもこれを何度か経験。よりライトなバチコンに着目している。
そんな村上さんが今回披露してくれたのが、「陸っぱりバチコン」だ。
村上流・陸っぱりバチコン
「ISSEI海太郎からもバチコン仕掛けを発売していますが、今回はこれを使って、陸っぱりバチコンをやってみたいと思います」と切り出した村上さんは続けて、
「バチコン仕掛けは、通常その名の通りバーチカルに直下を釣るのが本来のやり方ですが、今回はこれを陸っぱりで使います。そして、陸っぱりは水深が浅いので、これをキャストして広範囲を探るアプローチでやってみます」と説明してくれた。
船からの場合、基本的には直下にリグを落として、魚探反応を見た船長からの指示ダナへそれを送り込むという作業を行なうのが普通だ。いっぽう、浅い陸っぱりからの場合はどうするのがいいのだろうか?
「陸っぱりで、なおかつ今日はデイゲームということもあって、アジのレンジはボトム近辺だと思うんです。だから、リグをキャストしたら、ボトムまでフォールさせて、その付近を探ります。この仕掛けはハリスが可動式なので、幹糸の長さの範囲で調整が可能です。ロッドワークを駆使すれば、ボトム起点に2~3mは探れるので十分でしょう!」という村上さん。
なお、市販のバチコン仕掛けは全長が長いため、幹糸部分を少しカットするなどアレンジが必要だ。
ロッドに負担をかけないような、ゆったりしたキャストを心がけよう。
デイゲームでレギュラーサイズが入れ食いとなった。「どんどん釣れる!」
ハリスは編み込みの移動式。「2m近いタナを探れます」
ジグヘッドはレベリングヘッド0.5gが装着されている。「まずはスパテラからいってみよー!」
仕掛けの全長が180㎝と長いので取り扱いには慣れも必要だ。
リフト&フォールで広範囲を探る!
朝マヅメを過ぎ、周囲が明るくなってから釣り場に入った村上さん。今日はデイゲームプランだ。
「さっそく始めましょう。まずは様子見で探っていきます」という村上さんは、漁港岸壁からキャストを開始した。軽く投げて着底後は、リフト&フォールでボトム付近を探っていく。すると程なくアタリをキャッチ!
「おっ、なんだなんだ? さっそくアジがきたね~!」というわけで、さっそく本命を釣り上げる。同じようなアプローチで続けると、その後もアタリが連続した。アジが港内に溜まっているようだ。
キャストしてオモリをボトムまで沈めたら、底で止めてアタリを待つ。しばらく待って反応がなければ、今度はリールを巻きながらリフトして(シャクり上げて)再びフォール、着底させてアタリを待つというのが一連の操作法だ。
この釣りでは、オモリを支点にしてラインが張っているので、アタリは明確に出る。これを捉えたら素早くアワせてフッキングさせるが、5~7gくらいのオモリを使っていることもあり、操作感は良好。一般的アジングがかなり繊細なのに対し、陸っぱりバチコンのアプローチは、アジングに慣れていない人にも分かりやすく、ビギナーにもおすすめしたい方法だ。
ポイントを探って釣果アップ!
「陸っぱりでキャストした場合は中層を狙うのは難しいので、このアプローチではボトム中心に探るという割り切りが必要です。ただし、僕の経験上、アジはボトムから2mくらいまでのあいだにいることが多いのと、仕掛けの全長が長いので、ロッドワークを駆使すれば、ボトムから2mくらいまでの範囲であれば十分に探れます」という村上さん。
アタリがあった地点は重点的に攻めるが、これが減ってきたら扇状に投げ分けて広範囲を探っていく。ひとしきり探り終えたら足を使ってラン&ガンするスタイルでより多くのバイトを拾っていこう。
引き続きポイントを探り歩いていた村上さんだったが、
「足元になにかいるね。アジじゃないかな? では、今度は直下をバーチカルにさぐってみましょう」と、仕掛けを竿下に落として誘いを開始。すると、狙い通りにヒット! 上がってきたのは本命のアジだった。
「こんなところでも釣れたね! じゃあ、もっと釣っていきましょう!」と、足元のバーチカルアプローチでもアジを連発させ、陸っぱりバチコンの威力を見せつけてくれた。見えアジすら連発させるこの方法、みなさんにもぜひ、トライしてみてほしい。
レギュラーサイズのアジを次々と抜き上げる村上さん。「この旨そうなワームだけは食わずにいられん」
遠投できて着底が超早いため、非常に効率よく広範囲が探れる陸っぱりバチコンシステム。「使えばわかる驚くべき釣獲能力!」
ジグヘッドはループノットで接続されているため、水中での動きや姿勢も良好だ。
HARUHIKO CHECK
オモリの重さに合わせたロッドセレクトで!
陸っぱりバチコン用として村上さんが用意したのは碧ハネエビ2。本来ルアー負荷が7gまでのロッドだが、ゆったりと負荷を掛けないように投げれば、3号(約11g)くらいまでは無理なく扱える。全長7フィート(約220㎝)なので、仕掛けが長くても取り扱いは可能だ。大事を取るなら、エギングロッドあたりを使えば20gくらいまでの負荷があるので、これならより安心だ。ただし、ロッドが柔軟なほうが、アタリ感度、食い込み、取り込み時のバラシなどの観点で有利。
●オモリの重量換算表
1号 3.75g/1.5号 5.625g/2号 7.5g/3号 11.25g/4号 15g/5号 18.75g/6号 22.5g
●ISSEI海太郎「碧」IUS-72ULS-HN2「ハネエビ」7'2"
全長が長い仕掛けを扱うには7フィート以上のロッドが好適だ。
HARUHIKO CHECK
レンジ移動式バチコン仕掛け
リグの仕組みはダウンショット。エサ釣り風に言えば「胴突き仕掛け」となる。本線リーダー(幹イト)の全長が180㎝と長めで、そこに編み込みと回転ビーズを介して20㎝の枝スリーダーが出ており、その先にはレベリングヘッド0.5gが装着されている。このハリス部分が可動式なので、180㎝の間で調整するといい(とりあえず中間くらいにセットしておこう)。注意点として、市販状態だとリーダーとの接続部分にスイベルが着いているが、これをカットしてリーダーには直に結ぶ。そうすることで、巻き込みによるティップの破損を避けることができる。
ISSEI海太郎 レンジ移動式バチコン仕掛
仕組みはハリスが移動式となっているダウンショットリグ。1本出た枝スリーダーにはレベリングヘッド0.5gがセットされているので、パッケージから出してすぐに使える。
おすすめワーム4選
ISSEI海太郎 スパテラ1.5in
ISSEI海太郎 サビキ的2in
ISSEI海太郎 バルキースパテラ1.8in
ISSEI海太郎 ガメシャッド2.5in
●参考タックル
〈ロッド〉ISSEI海太郎「碧」IUS-72ULS-HN2「ハネエビ」7'2"
〈リール〉DAIWA EXIST2000
〈ライン〉PE0.4号
〈リーダー〉フロロカーボン3号
〈仕掛け〉ISSEI海太郎 レンジ移動式バチコン仕掛
〈ルアー〉ISSEI海太郎 スパテラ/バルキースパテラ/ガメシャッド/サビキ的など
HARUHIKO CHECK
簡単操作で入れ食いを狙え!
「着底して待ってるだけでも食ってくるね!」と村上さんが言うように、まずはキャストしてボトムを取ったら仕掛けを止めてアタリを待つ。フォール中のワームに興味を持ったアジが追随していれば、ここでアタリが出る。アタらなかったら、ロッドをリフトして仕掛けを持ち上げ、手前へシャクって再び着底させる。基本的には、着底して仕掛けを静止したときがバイトタイミングだが、活性が高いときは、フォール中にもアタリが出るので油断しないように!
陸っぱりバチコンの基本操作
①着底したらアタリを待つ。
②ロッドを持ち上げて仕掛けをリフト&フォル。再びアタリを待つ。
③アタったらアワせて取り込み!
HARUHIKO CHECK
陸っぱりバチコン最大のメリット
「この釣りはルアー的というよりも、とにかくアジが釣りたい! という人達に向けた釣りといえます」と話す村上さん。釣り自体は、着底させてアタリを待つだけというシンプルさ。そしてなんといっても遠投可能で着底が早く(水深10mでも数秒で着底)、ジグ単などとくらべると10倍以上効率がいい。オモリが2~3号のオモリを使えば操作感もバッチリ伝わってくるので、1gジグ単のような、リグがどこにあるかわからない……ということもない。そしてなんといっても「よく釣れる」のがこの釣りの最大のメリットと言える。
こんなシンカーでもジグ単に比べて断然遠投性に優れ、着底も抜群に早い。
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