夜釣りで狙うのが一般的なメバルだが、狙い方と条件が揃えば日中にも十分に攻略可能だ。今回は12月半ば、瀬戸内海某所でのデイメバル実釣の模様をお届け。刻々と変わる海況に合わせ、あの手この手を繰り出しながら日中メバル攻略を実践してくれたのはレオンこと加来匠氏だ。必読の爆釣劇をとくとご覧あれ!
PROFILE
加来 匠
かく・たくみ:愛称は「LEON」。早くからルアーによる港湾部の釣りにゲーム性を見いだし、主にメバリングやアジングの様々な基礎を構築してきた。その興味と研究心は尽きることなく、その洒脱なフィッシングスタイルを含め、かつての常識を打ち破るような斬新な釣法を次々と発表し、今もなおカテゴリーの最先端を走る伝説的なライトゲームオーソリティ。
メバルにも優しいデイゲーム!
今回はデイゲームのロケでしたが、実はこの時期にデイにこだわる理由が僕なりにいくつかあります。
そのひとつは、おおむね12月から1月下旬にかけては確かに産卵接岸で大型が釣れる時期でもあり、昔は尺メバルを狙って釣るために勇んで出かけたものですが、禁漁期間が設けられていないメバルの資源保護の観点から、この時期に抱卵した大型を狙っての釣行は避けたいとの思いをいだいています。
そしてそこに関連するもうひとつの理由です。メカニズムを明確に掴んではいないのですが、産卵期でもデイゲームで釣れるメバルには、なぜか抱卵個体が極端に少ないのです。しかもナイトゲーム・灯り付き堤防よりも圧倒的に良く釣れますし、逆に昼間のほうが平均サイズにも勝る事が多いからです。つまり楽しみながらも何らかの自主規制・自主規範をもって取り組みたいということなのです。
爽快な日中ゲームを堪能!
スズメダイとメバルの関係
さて、では当日の釣行の模様に移りますが、結果から申し上げると目論み通りの爆釣劇を演じる事ができました。確認のために同じエリアでナイトゲームの高実績ポイントも二カ所やってみたのですが、昼間の十分の一も釣れず、前述した通りで「やはりな……」という明確に昼夜の差が確認された釣行となったのです。
まず現場へ到着してタックルを持たずに潮当たりの良い箇所をいくつか見て回ります。
僕がデイのポイントを選定するに当たって目安にするのは、スズメダイの存在です。見慣れてくるとすぐに理解できますが、スズメダイはおおむねメバルよりもレンジが浅いところに群れますし、色も黒いのですぐに見つける事ができます。そして実は、メバルとスズメダイはたいてい同じ場所に群れるのです。
したがって、スズメダイの群れが見つかったら、しばらく体を動かさずしゃがんでじっくり観察します。すると人影で怯えて沈んだスズメダイがまた水面近くへ浮上してきますが、注意すべきはその下のレンジ。そこへスズメダイとは違って少し色の薄い(グレーとか薄茶色に見える)魚が見えたらほとんどのケースそれはメバルなのです。
さらにじっくり観察します。
つまり、捕食行動をしているかどうか見るのです。
これも慣れてくると見えるようになります。アミのような極小流下ベイトを食べているときは定位しているレンジからそのままスッと水面近くへ上がってきて「見えない何か」を食べ、反転して元の位置へもどります。これをその位置で上流に頭を向けたまま繰り返しているようであれば十中八九ベイトはアミなのです。つまり縦の動きです。
一方小魚がベイトの場合はメバルの動きが明らかに変わります。横方向の動きが盛んになり、明らかに追うような仕草を見せますから結構明確に見て取れる物なのです。
プラグになかなか食ってくれない……
さて、ススメダイとメバルの群れを見つけた僕は、まずはアミを想定してスプリットリグにカブラを結んで投入し、流れに乗せてゆっくり巻きます。すると判で押したように難なくパクッと。まあ、いつもの予定調和っていうやつです(笑)。
15~18センチと小型ながらパタパタと数匹釣ったのですが、ちらほらと見える20センチクラスが食ってこないのでここでリグをジグ単にチェンジし、スライダーシャッドをセットしてキャストすると今度は18~20センチと明らかにサイズがアップ。
面白いものです。カブラのままの方が良型が釣れることも多い昼間の釣りですが、この日は明らかにある程度ボリューミーなワームに反応が良いのです。見えないけれども、おそらく何らかの小魚がベイトになっていたのでしょう。
そんな中、メバルの群れが一斉に急浮上してきてさかんにライズをし始めます。ライズの出方からしてアミパターンとしか思えない状況なので、リグを軽くしてドリフトさせるとこれも簡単に釣れてきます。ライズがあまりにも頻発するので、ひょっとするとトッププラグのペンシルでも釣れるかもしれないとメバペンに結び変えるも、これは不発。見には来るものの寸前で見切られてターンされます。
プラッガーとしては非常に悔しい……。
リグをジグ単に戻してパラパラと釣っていると、それまで狙っていたゾーン(岸際からかなり離れた流れの中)よりずっと岸寄りのシェード(曇り天候だけど護岸壁によってうっすらと影が出来ている状況)の中から、時折良型メバルが50センチレンジくらいをスッと横に出てきては何かを食ってまた影の中へ戻っていくのを発見! すかさずそのままスライダーシャッドを打ち込んでみるも、そのゾーンは流れが緩いので食ってくるレンジを上手くドリフトさせられず、かといって止めると落ちてしまうし巻いても追わない……。
パターン発見で怒涛の連発!
ここからでしたよ、今回のハイライトシーンは!
壁際および水面直下のプラッギングでクロメバルが次々と飛び出した。こんなに釣れていいのかしら!?
『緩い流れに乗せるようにしてレンジを固定でき、アピールが強くてリアクションバイトを得られるもの』という観点から、ほぼひらめきに近い判断ですが、シュガーミノー50Sを結んだのです。
もうね、どんズバ。笑っちゃう。
シェードの境目ギリギリに平行にシュガーミノー50Sを打ち込み、巻いて潜らせてからほんの少し軽いトゥイッチを掛けてから止めると、シェードの中からスッコーンと音が出た気さえするほど勢いよくメバルが飛び出てきてヒット。しかもサイズがそれまでよりふた回りも良いグッドサイズ。ヒットシーンが丸見えです。
これですよ、コレ!メバリングの面白さは。
速めの攻めで次々とヒット!
神妙に繊細に釣るアジングも面白いけど、とてもアクティブで、サイズによっても時間帯でも食性がコロコロ変わるメバル。そしてソフトルアーよりも圧倒的にハードルアーの方が効果的な場面があるメバル。最高の釣れ方です。
しかもね、その模様をVTRに収めることが出来たのだから僕的には言うことなしです。なかなかロケの時にこういうタイミングは訪れないですからね、最高のシーンが撮れましたよ。
その後オープンエリアのメバルにもスイッチが入り、プラグで怒涛の連発劇を演じることが出来たのは、当初感じたように決してアミパターンだけではなかったということなのでしょう。オールリリースですのでストマックを取ってはいませんが、おそらく小さな魚がベイトになっていたはずです。
尾ビレのしっかりした元気なクロメバルの引き味を堪能。
フォローのジグヘッドリグでも連発!
そして潮が緩くなると同時に突如メバルがサブサーフェイスから姿を消す……。いくら水中を凝視してもあれだけ見えていたメバルが全く見えないのです。
これは沈んだなと判断し、今度は沖のボトムの根を打つべく重目のジグヘッドにシュラッグミノーをセットしてボトムワインドで攻めると、これまた大笑い。それまで釣れていたのは表層の黒メバルだったのですが、今度はボトムを撃ったがために根に着いていた赤メバルが連続でヒットしたのです。頭の隅でいくらかはイメージしていたものの、カメラの前でこれほどきっちりと釣り分けを撮影してもらえるなんて、もう盆と正月が一緒に来た気分です。
その後またブルーの群れが入ってきたのでジグヘッドを軽くして表層付近をシュラッグミノーで流して連発させ、さらにまた重くしてボトムを探ると案の定赤メバルです。拙著「ライトゲームアカデミー」や「アジングメバリングがある日突然上手くなる」に書いたとおりですな(笑)。
まとめですが、僕が本気でメバルを狙うのは産卵回復後の3月あたりから。さらにしっかりと餌を食べて太り、ハードルアーへの反応も良く、メバルらしく小型魚ながらもパワフルな引きを味わわせてくれるのはやはり4月からです。
そして、それを足元不如意な暗い磯からやるのではなく、基本は足場の良い護岸帯からやるのが僕のスタイル。メバルは危ない思いをして尺を狙わなくとも、小型でも手軽で奥深いルアーによる釣りを十分満喫させてくれます。メバリングの本来の魅力はそこにこそあると僕は思うのですな。
お日様の下でのメバリングを満喫!
根周りではアカメバルが元気よくバイト。
連動動画はこちら👇️
メバルデイゲームの楽しさ
これは何と言っても一部始終が「見える」ということに尽きます。したがって、非常にメバルの食性をはじめとした動向の勉強になり、ひいてはナイトゲームでのスキルアップに繋がるということです。
スズメダイの群れの下にはメバルがいることが多い。
潮のヨレにメバルが浮いてるネ!
デイゲームで有効なルアーカラー
海域や状況にもよりますから一概には言い切れないものの、おおむね青系や緑系のカラーのほうが釣果が伸びることが多いでしょう。またシャローでワインドゲームなどをやるときはクリアー系ではなくマット系の白いワームも、リアクションで食わせるゲームですから「見える」ということも相まって必須のカラーでしょう。
ナチュラル系とマットホワイト。デイゲームではこれが効く!
デイゲームのポイント選定
デイゲームではメバルが寄り付く要素(ベイトが居る要素)に灯りは関係しませんから、必然的に他の要素である流れやストラクチャーの存在がキーになります。ただし、「流れていればどこでも」というわけにはいきません。命の世界ですから、餌を運ぶ流れをいかに探すかが重要です。
泡が筋になっているような「潮目」はメバルの餌となるプランクトンが溜まりやすく、メバルもこの筋に着きやすい。泡の筋は狙い目!
デイメバル用タックル2セット
カブラロッド用は、軽いリグを流して使うために吸い込みの良いティップを優先させたロッドが好適です。
ジグヘッドリグ&プラグ用ロッドは、ジグヘッド単体でボリューミーなワームを使った場合の貫通力を優先させると同時に、プラグにも対応できるようなタイプが適しています。良型期待でストラクチャー際などを攻め、引き剥がすことを考慮して選択しましょう。
●推奨ロッド
INX.label DXS-BT74L Bee Tesller 2nd
メバリングなどにおける、小型プラグの操作性に主眼を置いたモデル。
INX.label DXS-HJ64L Harmmy Jarmmy 2nd
マイクロジグやジグヘッドの操作性に主眼を置いたモデル。
カブラの操作法
流れがなければスローリトリーブ。流れがあればドリフト主体で攻めます。メバルが定位するレンジや流速に応じてシンカーを調整し、時折トゥイッチを混ぜるのも効果的です。
ライトリグシンカー&めばるingかぶら10号(共にブリーデン)
間隔は50センチ、シンカーの重さ(0.8~2.5g)は潮流に馴染みやすい重さに変えていく。
ジグヘッドリグの操作法~稚魚シャッドベイティ&スライダーシャッド&シュラッグミノー編
ベイティは、ダートジグヘッドと組み合わせたワインドアクション、そしてタダ巻きでも効果的なルアーです。とスライダーシャッドは大きめのストロークで横方向のスライドや流れに乗せたドリフトを意識し、シュラッグミノーでは緩い流れの中でのスローリトリーブや、チョンチョンのあとのフォールでの食わせの間を意識します。
スライダーシャッド(バークレイ)の表層攻略にヒット!
シュラッグミノー(バークレイ)のスローな攻めに反応。
クロとアカの釣り分け方
地域でも異なりますが、基本クロ(ブルーバック)は表層系でアカは底棲系です。
クロは流れに着く魚で回遊性も強く、ベイトに連れて移動しますのでランガンで探すことが肝要ですし、流下してくる餌に反応が良いので基本はドリフトを多用します。
一方のアカは岩や藻などストラクチャー依存型です。そしてクロよりも時合いにシビアですし、追いの距離も短いので、とにかくストラクチャーをタイトに攻める必要があります。甲殻類もよく食べているので縦の動きも意識してやると良いでしょう。
居付きの性質が強いアカメバル。
回遊性の強いクロメバル(ブルーバック)。
シュガーミノーのヘチ際攻略
護岸沿いに回遊する小魚をイメージして、まずはステディなリトリーブです。それで反応が薄ければ軽いトゥイッチを混ぜながらのリトリーブが効果的です。
岩などのストラクチャーを狙う場合は、巻いてきて岩裏などヨレの部分で止めて間を作ってやることも大事です。
シュガーミノー50S(バスデイ)
シュガーミノーの表層潮目攻略
流れを利用した釣り方になります。流れに対してアップ気味にキャストし、メバルが定位している場所でルアーがターンするように立ち位置を決め、食わせの場所を意識的に作るのです。巻くだけの時もあればU字の頂点あたりで巻く手を止めて一瞬ドリフトさせるのも効果的です。
潮目の下のブルーバックを狙い撃ち!
レンジが下がったらワームでフォロー
ジグヘッドリグはプラグよりウエイトが小刻みに存在するので、流速を計算してメバルのレンジに合わせたウエイトを選ぶことが出来ますし、逆もまた然りですが、同じ群れでもワームに反応の良いメバルとプラグに反応が良いメルが存在することを意識しましょう。
プラグメインの攻めの中にもワームを挟むことで、更なる釣果アップが期待できる。
シュラッグミノーで表層攻略
シュラッグミノーの最大の特徴は両側に突き出た腕です。つまり水流を受けやすい構造にしてありますから、その機能を生かすことを意識してください。軽いジグヘッドで水面直下を流したり、同じウエイトでもよりゆっくり引くなどがやりやすいワームなのです。
シュラッグミノー(バークレイ)はダートするタイプのジグヘッドと相性抜群。
2本の腕が水の抵抗を作り出し、ゆっくりした演出が可能。
スライダーシャッドにヒットしたクロメバル。
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