尺メバルといえばこの人! 新保明弘さんがメバル狙いで春から初夏にかけて通い込む伊豆半島。過酷な地磯や誰も目をつけないような穴場を訪れているのかと思いきや、実はそうではないという。メバルが定位しやすく、エサとなる甲殻類や小魚が溜まりやすく、隠れ家となる海藻が生えやすい……そんなポイントは実はエントリーしやすい場所にこそ無数に点在しているというのだ。
徒歩数秒でエントリー? 意外な場所が実はアツい
「伊豆で尺メバル大型のメバルを釣りたい。どのようなポイントを攻めればいいのか?」「ゴロタ場や磯場はやっぱり潮通しがいいところを選べばよいのか?」
私はよく、そんな質問を受けることがある。尺メバル、とりわけ筋肉質な大型のメバルは遊泳力が高いからそのようなポイントでガンガン捕食しているようなイメージを抱いているからだろう。
しかし、尺メバルの実際の姿は少し異なる。水族館などでメバルを見たことがある方も多いと思うが、1カ所に定位しながら、姿勢は少し上を向いている。そのため、本来は潮がガンガン通るようなポイントよりも、そこから少し離れた、奥まったポイントに着いていることが多い。潮が入ってきて、またはぶつかって、淀むようなポイントだ。上を向いた体勢で定位しやすいため、メバルにとって都合がいいと考えられる。
伊豆の尺メバルや大型のメバルも例外ではない。沖に向かって突き出た堤防や磯場、ゴロタ場の岬よりも内側であったり、奥であったり。そのようなポイントの方が海藻が生えやすく、またメバルが好む甲殻類などのベイトが溜まりやすいと言える。
メバル釣りに慣れているアングラーであれば自然とそのようなポイントに目が向くものであるが、これからメバルを狙ってみようと考えているアングラーはついつい前述のようなポイントに目がいきがちだ。
まずは、駐車スペースからエントリーするのに長時間歩くようなポイントよりも先に、駐車スペースからほど近いポイントから意識していくといいだろう。そんな私が大型メバル、尺メバルを狙うポイントも、実は駐車スペースから近いポイントがほとんどである。
産卵から回復したメバルをゴロタと地磯で
ポイントは2パターン。まずは、港内や防波堤の付け根に存在するような磯場やゴロタ場での釣り。昨今では海洋環境の変化からそのようなポイントでもホンダワラやカジメなどの生育状況が悪く、ポイントも少なくなっているのだが、本来は海藻絡みのゲームである。海藻が繁茂することによって、甲殻類や小魚が多くなり、メバルもそのようなポイントに居着くようになる。タイミングを見計らい、ジグヘッドリグを中心にリトリーブ速度やレンジを変えて、沖だけではなく足元も見逃さず狙う。
もうひとつは、流れ込みがあるゴロタだ。春から初夏にかけて、海水温が上昇していくシーズンは、流れ込みがあれば周辺は他よりも低水温に保たれやすい。そして、汽水がさまざまなベイトを育む。7月いっぱいは遡上が遅い稚アユなどもいるため、それらを狙った尺メバルが着きやすい。私自身真夏に流れ込みのポイントで尺メバルをキャッチした経験がある。
浅場が中心のため、シンキングペンシル、小型ミノーなどプラグを中心に釣りを組み立てていく。
実釣当日はでかいゲストこと釣れなかったものの、このハタンポが連発。状況は悪くない!
道路脇の一見微妙な地磯しかも足元を丁寧に狙う
今回取の材は土曜日夜から日曜日の朝にかけて。満潮が午後9時前後、干潮が午前2時前後の潮回り。本来であればゴロタへ向かうつもりだったが、当初目星をつけていた東伊豆のゴロタ場、流れ込みのポイントはほぼ無風であったものの、発達しながら抜けていった低気圧の影響で大波。釣りが出来ない状況であった。安全面も考慮して穏やかな湾内を攻めることとした。
ポイントに到着するとベタ凪、無風。しかし、懸念した通りまだホンダワラが生えてきている様子もなく場所によってはボトムがはっきり確認出来てしまう状態。まだ、月が小さく、闇夜とはいえ、メバルが入ってきていると思うには厳しい状況。時間は潮が下げ始めた22時。厳しいとはいえ、本来ならば伊豆メバルのハイシーズン。必ず、捕食態勢に入るメバルがいるはずだ。
狙いを定めたのは、防波堤の付け根にあるエントリーしやすい地磯。道路脇の外灯が上から水面を照らすポイントだ。
ホンダワラが生え始めていれば、流れが淀むポイントであるため甲殻類なども沖の潮目に溜まり、それを狙うメバルも可能性が高くなるが、沖目は無反応。しかし、磯際でミナミハタンポがジグヘッドリグに好反応だった。ハタンポが反応してくれれば、警戒しているメバルも「そこにエサがあるのでは?」と寄ってくるはず。1.8グラムのジグヘッドリグとストレートワームのセットから、ラウンドテールのワームへ変更し、磯際を丁寧に狙う。磯際に5メートルほど振り込んで、糸フケを取ってカーブフォール。すると、ふっとソアレXR S76UL-Sのロッドティップのテンションが抜ける。高感度のロッドだからこそ感知できる魚からの反応。スローリトリーブでリグを持ち上げてくると、その後ろに黒い影が。そこでリトリーブを止め、再びカーブフォールさせた瞬間にゴンと明確なバイト。磯際で激しく突っ込み、上がってきたのは尺には届かないものの25センチを超えるナイスなメバル。私自身も久しぶりの会心の1尾に思わずガッツポーズとなった。
春から初夏にかけて、どんどんとサイズアップしていく磯のメバル。今狙わずしていつ狙う!
UL地磯をおすすめする理由
ウネリを避けることができ、メバルにとっても都合がいいのだ!
今回ウネリを避けて選んだポイントは下田湾内の犬走島堤防から下田海中水族館に続く地磯。犬走島堤防付け根の駐車スペースから海中水族館まで歩いて15分程度の範囲に点在している。道路からすぐに降りられる釣り座が多く、夜間は通りの外灯が照らす磯場周辺がポイント。西寄りの風に非常に強い。風さえなければ低気圧の影響で外海が荒れていても、非常に穏やか。ホンダワラなどの海藻が生えていれば、25センチから28センチアベレージでブルーバックも狙える。
湾内の穏やかな場所にはメバルのエサとなる遊泳力が弱い小魚も集まりやすい。
ホンダワラなど海藻は減少傾向 磯際の足元も見逃すな!
ゴロタ&ライトな磯向けタックル
ゲストも多彩! そこも考慮する!!
タックルはゴロタの尺メバル狙いはゲストのヒラスズキなども考慮して強めのセッテイングにした。8フィートクラスのUL、Lクラスのロッドに。リールはC2500からC3000クラス。ラインはPE0.6号。ショックリーダーはフロロカーボンの8ポンドから12ポンド。
磯際狙いは、ソリットテイップでジグヘッドリグの重さを感じながらのカーブフォールが主な狙い方ということで出来る限りナチュラルなフォールを意識。ロッドは7.6フィートのソリッドティップ、ULクラス。リールは1000番からC2000番。ラインは海藻が多いようであれば安全を見てPE0.4号。今回は海藻がなかったため、PE0.3号にフロロカーボンの5ポンドのリーダーを選択した。
ゴロタ場タックル(※製品はすべてシマノ)
ロッド:ソアレXR S80UL+S
リール:24ツインパワーC2500XG
ライン:ピットブル8+0.6号
ショックリーダー:ソアレリーダー EXフロロ 8ポンド
ルアー:ライズショットステイック 60S ジェットブースト
湾内地磯タックル(※製品はすべてシマノ)
ロッド:ソアレXR S76UL-S
リール:24ツインパワーC2000S
ライン:ピットブル4+0.3号
ショックリーダー:ソアレリーダー EXフロロ 5ポンド
ルアー:ジグヘッドリグ各種
ゴロタの有望ポイント
流れ込み周りが激アツ
延々と続くゴロタはどこを攻めたらいいかわからなくなりかけるが、注目すべきはズバリ流れ込み。それも必ずしも規模の大きなものである必要はなく、ちょっとした流れ込みにも稚アユなどが着き、それらを狙うメバルが潜んでいる可能性がある。
護岸から染み出している程度の、一見すると微妙な流れ込みでも可能性はある。むしろ、ほかのアングラーが目をつけていないため、有望とすら言える。
ゴロタ&UL地磯でマストなルアー
シマノ ソアレ ライズショットステイック60S ジェットブースト
ジェットブースト搭載でその飛距離は折り紙付き。スローリトリーブで自然と流れの変化に入ってくれる水噛みのよさも相まって、ゴロタ場の尺メバル攻略にはなくてはならないシンキングペンシルだ。
エコギア シラスヘッド1.8グラム+グラスミノーS
グラスミノーSはシャッドテールミノーの代表選手。ストレート系ワームよりもリトリーブやフォール時の波動が強く出る。そのため感度のいいタックルと組み合わせると、魚が追尾してくる反応もとらえることが可能。また、テールの抵抗によりストレートワームよりも沈みが遅く、レンジを浅く保ちやすいためゴロタ場での尺メバル狙いにもオススメ。
エコギア シラスヘッド1.8グラム+メバル職人ストローテールグラブ2インチ
メバル狙いのベーシックなジグヘッドリグ。リトリーブでは強すぎない波動。アクションではトリッキーなダートアクション。アングラーが思うところでメバルにアピールし、食わせたいタイミングで食わせることができる。
ライズショットスティックの「Nイワシ」カラーはお腹が赤くなっており、バチパターンにも対応している。
ジグヘッドのウエイトはまず1.8グラムで統一し、ワームを色々試して反応を見ていく。
カサゴも時々食ってきた。同じジグヘッドリグで釣れるため、少しレンジを下げて狙って釣ってみても面白い。
ゴロタ&地磯の装備
いくらライトだといっても装備は大切!
ライフジャケットは転倒などに備えて浮力体式がおすすめ。シューズはフェルトスパイクソールが安心だ。
また、バケツを持っておくと釣れた魚を撮影する際に、魚を入れて少し移動したり、地面を濡らしたりするのに便利だ。
ライフジャケットは腰巻きタイプのものではなく、ベストタイプにしておけば、万が一転倒しても、これがクッション材となってくれる。
万全を期すためにもフェルトピンタイプのスパイクがおすすめ。
水汲みバケツもあるといろいろと便利だ。
UL磯場の必釣テクニック
The カーブフォール作戦!
今回はアクセスしやすい地磯での釣り。願っていた海藻は見られず。魚が着いているならば、本当に足元の磯際、磯陰。沖のオープンウォーターは時折狙うも、あくまでメインは磯際。
ミナミハタンポがジグヘッドリグにしつこく反応し、溜まっている磯際。足元から5メートル以内の磯際をカーブフォールで狙う作戦。最初はストレート系のワームで攻めるもハタンポのみ。ジグヘッドの重さは変えず、シャッドテールワームに変えてフォール速度を遅く、波動は強くして狙う。そこで、ナイスなメバルがヒットした。
見事にハマってシャッドテールの遅巻き&カーブフォールで良型メバルをキャッチ!
本来であれば沖の海藻も狙い目だったが、生えていなかったため、必然的に足元の磯際狙いとなった。タダ巻きだけでなく、カーブフォールでしっかり見せたことが価値ある1尾につながったと思っている。
Profile
新保明弘(しんぽ・あきひろ)
長年、雑誌やTVなどのメディアで活躍するシマノインストラクター。地元・駿河湾をメインに青物、尺メバル、ときには渓流など、さまざまな釣りを楽しむマルチアングラー。
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