エギングのシーズナルは、春は大型の回遊狙い、そして秋からの小型の数釣りというイメージが一般的だろう。たいていはそのとおりなのは間違いないが、最近はエギングの教科書とは違うような自然の流れも、各所で見られるようになった。そこで今回は、熊本県天草方面へエギング釣行を行なったが、パターンにこだわらないラン&ガンスタイルが、ここでも功を奏した展開となった。そんなエギングスタイルを紹介していこう。
ピンスポットで確実に獲る
今回の釣行は、季節外れといえるような暖かさのなかで行なわれた。これ幸いと思えたが、海の魚たちは、地上の気候とは我関せずといった感じで行動を始めていたようだった。
この日は、大まかなエリアだけを決め、具体的なポイントは決めずに現地へ向かった。というのも、今回は情報がほぼない状況でアオリイカを探すスタイル、と決めていたからだ。実績のあるポイントで待ちの釣りではなく、ひたすら目で見えるシモリ(沈み根)などのピンスポットを撃っていくことで、シーズンの動きを把握していこう……。これが、今回の決めた方針である。
アオリイカに関しては、情報も大きな武器にはなるが、人気スポットではアングラーのプレッシャーも高く、待ちの釣りに徹さなければいけないことも多々ある。春シーズンならそれもまた有効だが、秋以降は広く探っていったほうが、結果を出しやすかったりする。
そこで今回は、3号のエギをメインに使用することにした。これは小型狙いというよりも、ピンスポットで手返しよくイカの反応を見たいからである。またロッドは、ヤマガブランクスのカリスタ89ML TZ/NANOを使用した。これは、誘いに特化したロッドだ。手返しよくピンスポットを狙っていくことで、素早い見切りに繋がる。
比較的小型のエギと、手返し重視のタックルを手に、目で見える地形「だけ」を探ることで、1カ所でのキャスト回数が限定されて長時間粘らないようになり、結果的に広範囲を効率的に探れるようになるというわけだ。
ポイントに入ったら地形の変化などを見極めることから始めたい。
誘いのおもしろさ
エギングは、遠投してラインを見ながら探っていくのも楽しいが、サイトに徹することも重要な選択肢だと思う。エギを跳ねさせて誘う、ポーズをかけて誘う、といった誘いは同じでも、目で見えるシモリや追いかけてきたイカが見えている状態ならば、より繊細な誘いが可能になる。
実際、見えない深場から上がってきたエギが、ぎりぎり確認できる距離こそが、イカが追ってきて抱くラインであることも多い。このことからも、エギをどこまで視認できているかは非常に重要な要素だと感じる。
エギがギリギリ視認できる距離では、追ってきたイカは見えていないので雑な誘いになりがちだが、その瞬間こそが、最も重要だ。ここで丁寧に誘いをかけることで、イカを抱きへと引き寄せられることは多い。これは、カケ上がりでもシモリでも同様だ。
さて実釣だが、結論からいえば、今回のラン&ガンの狙いがピタリとハマった。海沿いの道路を走りながら、「ここなんかいいんじゃない?」という場所でサオを出したわけだが、そのほとんどが初めてサオを出したポイントであるにもかかわらず、コンスタントにイカを引き出すことができたのだ。
追ってきたのを確認してから抱かせたり、いきなりひったくっていくのを繰り返したあとに抱かせたりとパターンはさまざまだったが、十分に高活性を感じさせてくれる釣行となった。やはり重要なのは、機転を利かせた誘いが今回の釣果につながったのだろう。
この、道沿いの地形を見ながらのラン&ガンスタイルのいいところは、エギンガー同士がかち合うことがなく、探す楽しさが味わえるというのもある。定番の人気ポイントだけでなく、皆さんも自分だけのポイントを探し当てる、ピンスポットラン&ガンスタイルを試してみてはどうだろうか。
狙いどおりの誘いに思わずお触りしてきてくれた。
地形を読むコツ
基本的にワンド、シモリ、カケアガリを探していけば、潮通しのいいポイントは無数にある。クルマで走る距離は多くなるが、確率は決して低くない。これは春秋限らず、シーズン問わずにイカに出会えるスタイルだと思う。
ラインの動きを終始注視する。
基本的に、シモリやカケアガリ付近などの地形変化に着くので、サイトに徹すれば手返しよく探れる。
タックルセレクト
エギングといえばMクラスがメインではあるが、ヤマガブランクスのエギングシリーズでは、LやMLクラスも同じように充実している。このL~MLクラスだが、中型~大型のイカ相手に繊細な誘いと速い誘いを織り交ぜるために設計されたもので、決して小型イカ用ではない。3キロップのようなモンスターは話が別だが、2キロクラスまでなら、L~MLクラスでも十分に対応できる。
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