春・夏・秋・冬 エギングスケジュール!


待ちに待ったシーズン! といったイメージが強いのが春。それだけ期待させるなにかを秘めた春イカを皮切りに、今シーズンは戦略的な心得をもって挑みましょう。水温の安定した場所を選ぶ、藻場の生育や形成状態を確認する、狙いを絞ってエリアを選ぶなど、釣行スケジュールと戦略を立案しましょう。


春イカシーズンの心得

 月周りや干満を考えて狙いどきを絞り込み、そのタイミングにあわせてエギのカラーをチョイス、効果的なアクションを演出する……と、日々培ってきたすべてを出し切って挑むタイミングが春です。なかなか結果が出にくいシーズンでもありますが、釣れるサイズ、釣趣的な魅力は満載です。「1年のエギングの集大成は春にあり!」といった気持ちで挑むのも春シーズンの大切な心得です。

 ただ、年々キャリアを重ねてくるにしたがって、まるで麻痺したかように同じことの繰り返しになってしまうことも。せっかく成長するために行なってきた1年間の努力が、無駄になってしまうことがないように注意しましょう。成長した今シーズンの自分をイカに見せつける気持ちで挑みたいところです(笑)。

 そして春のキーワードは忍耐力。1日中キープキャストする精神が必要です。気まぐれな親イカを攻略する秘訣は、やはり情熱を持って挑むこと。自分を信じ抜くことが、最終的にいちばん大切となってくる気がします。

でかイカが狙える春。


夏イカシーズンの心得

 夏イカシーズンは、エギンガーにとっていちばん厄介なタイミングとなります。もともと高水温を好むアオリイカは、夏場も元気かつ活発に成長を続けているわけですが、アングラー側にとってはうだる暑さに滅入ってしまう現場が待ち構えています。

 しかし、そこをしのいで攻略の目処を立てると、ライバル達を出し抜いてオイシイ思いができる時期でもあります。

 とはいっても、がむしゃらにがんばるだけでは体力が持たないので、朝夕のマヅメ、ナイトエギングをメインにサオ出し時間を決めます。もちろん長袖長ズボン、虫除けスプレーは必須。蚊の猛攻を交わしつつ、微動だにしない態勢でエギをステイしたり、ていねいなフォールができるように自分の環境を整えます。

 夏シーズンは夕マヅメにチャンスが集中する状況が多いので、そのタイミングに重点を置いて、できるだけ体力と精神力を温存して挑みたいところです。繰り返しになりますが、虫刺され対策、熱中症予防、水分補給といった体力面をまず第1に計画することがいちばん大切なシーズンかと思います。

人間側の調整が最も大切となるのが夏イカシーズン。


秋イカシーズンの心得

 エギングの基本は秋にあり! というわけで、秋は思いついたことをなんでも試しながら、起こりうるさまざまな状況を学べるシーズンであります。もちろん、好奇心旺盛で個体数も多い若いアオリイカを相手にするわけですから、イージーに釣れる場面は多々あると思います。

 それでもイカの個体ごとに個性があったり、潮のタイミングや光量の加減で食いが変わったりと、不思議に感じる場面にも多々遭遇します。この見えイカ攻略で頭に刻んだ光景を沖目の水中に投影し、「ブラインドでなにが起こっているのか?」といったイメージを具現化しやすい季節なので、とにかく思いついたことを試して検証できるいいタイミングかと思います。

 また、アオリイカの多いエリアや集まりやすい場所、地形や潮の流れでどこに多く溜まるのか……といったことも理解しやすいタイミングです。冬に向けて、サイズアップしたイカの釣趣を感じながら、いろんなテクニックの応用を試し続けられます。

 釣れるのは当たり前。ベーシックを学びつつ、その先の楽しみ方を模索すべきタイミングが秋なのです。

エギング入門にもオススメな秋イカシーズン。


冬イカシーズンの心得

 秋から日ごとに成長し、ズッシリとウエイトが乗ってくるシーズンの始まりです。500g程度からキロアップ前後までの個体数がいちばん多いタイミングが冬で、いい日に当たるとウハウハでたまらない結果が待ち構えています。

 経験上、朝マヅメや日中のタイミングよりも、夕マヅメからナイトゲームに調子が上向く傾向が多いので、カイロや防寒着といった寒さ対策をしっかりとして挑みましょう。コンスタントに一晩中釣れるパターンも多々あるので、じっくり腰を据えて常夜灯周りの回遊コースや磯場など、潮通しのよい場所で粘るスタイルがオススメです。

 ただ、全国的には真冬は水温が下がり、アオリイカの適水温以下に突入する場合も多いもの。とりあえず16℃以上をメドに釣行エリアを見定めましょう。天候が荒れがちなタイミングでもあるので、天気予報はこまめにチェックして、入るポイントを吟味することも重要となってきます。

でれば大型も期待できるのが冬イカシーズン。


こんなエギがあれば万全!

 エギの種類は3号、3.5号があれば基本的にはオールシーズン楽しめます。4号は春に使いたくなる状況は多々ありますが、強いて言えば特になくても問題はありません。そして飛距離の出るタイプがあれば言うことなしです。ともあれ、エギサイズで悩んだときは、3.5号をメインに据えます。このとき、シャロータイプとディープタイプを両方持ち合わせておけば、あらゆる場面で攻略の幅が広がり、結果へと繋がる可能性も高くなります。カラーについてはアピール系とナチュラル系、そして暗めのカラーの3種類があれば万全です。

ロケッティアアキュレイド3.5号(バレーヒルソルト)があれば春イカも秋イカも相手にできる。遠投性能も魅力的だ。




こんなタックルがあれば万全!

 オールシーズン1本で対応できるようなスペックのロッドは各社からリリースされているので、気に入った1本を選び、そのロッドを身体の一部のように思うがままに扱えるようになるのが理想です。あまり強すぎるよりは、「少し弱めかな……」というくらいのアクション(ミディアムライトくらい)をチョイスすることをオススメします。リールは年間通して2500番あたりの大きさで、PEラインは0.8号で周年まかなえます。かといって、ずっと同じラインをそのまま使うのではなく、リーダーの結び替えはもちろん、PEの古い箇所を切り捨てたり、使用頻度にもよりますが定期的なライン交換は必須です。

「ML」という表記があるエギングロッドが適度に軟らかくて扱いやすい。お気に入りの1本を使い続けることで、わずかなアタリがだんだん取れるようになってくる。





Profile

広川嘉孝(ひろかわ・よしたか)

人呼んで「イカ係長」。エギングブーム以前からアオリイカを追い続ける。オーソドックスなスタイルながら、確実に釣果を引きずり出す状況判断力は特筆モノ。兵庫県在住。