尺を超える「でかアジ」のシーズンが到来。その強烈な引きと繊細な駆け引きに魅了され、15年以上アジングを追求してきたゼスタの奥津剛氏が今、心血を注いで開発しているのが「ブラックスターエクストラチューンド S77MLX-S」だ。水深20m超のディープエリアを舞台に、ヘビージグ単を用いた最新プロトのテスト釣行をレポート。攻略の鍵となるボトムのレンジ設定から、時合いを逃さないメソッドの修正まで、その熱い模様をお届け。
でかアジの魅力
尺を超える大型アジは、冬から春の産卵前にショアラインへ接岸することが多く、その釣期は桜前線のように南から北へと移行していきます。
特に昨年は黒潮の大蛇行が収束した影響もあり、各地で好釣果の報告が目立つシーズンとなっています。
私自身、「より大きなアジを釣る」というコンセプトで釣行することが多いため、この状況は非常に喜ばしく、今季のでかアジシーズンにも自然と期待が高まっています。
でかアジの魅力は、狙い通りに掛けた瞬間の快感、そして口切れやラインブレイクをいかに防ぎながらスムーズに寄せてキャッチするかという緊張感のあるファイトにあります。
これまで北海道から沖縄の離島まで、ショア・オフショア問わず様々な魚を釣ってきましたが、アジは私の釣り人生の中でもトップクラスに時間と情熱を注いできた魚種であり、気づけば15年が経過しました。
そんなアジに魅了された私が心血を注いで開発しているのが「ブラックスターエクストラチューンド S77MLX-S」です。
今回はそのセカンドプロトを用いたテスト釣行の模様をお届けします。
ロングレングスのジグ単ロッドを用い、ヘビージグ単アジングでテストを開始してから約2カ月が経過しました。初期テストで感じたブランクスの太さ、自重、テーパーといった要素をブラッシュアップし、再びフィールドへと向かいました。
でかアジはディープにいる!
この時期のでかアジは、河川などの特殊環境を除き、水深10m以上のディープエリアを回遊する傾向が強いです。そして夕方から夜にかけて、ベイトを求めて隣接するショアラインへ差してきます。
ただし春先は水温が安定しにくく、大型個体ほどエネルギー消費を抑えるため、ボトム付近に定位するケースが多くなります。そのため、私たちが提唱する「ヘビージグ単」によってディープやボトムをダイレクトに攻略する釣りが非常に有効となります。さらに産卵を控えたアジは、高カロリーな魚などのベイトを選択的に捕食する傾向が強くなります。この時期、海底付近にはイカナゴやハゼの稚魚などが多くなるため、それらを捕食している可能性が必然的に高くなります。
こうした要因から、春のでかアジは「ディープ、またはディープに隣接するエリアのボトム付近」に集中しやすいと言えます。
2人がかりででかアジを攻略していく
今回の舞台は、水深20mオーバーの沖向きディープエリアです。「ブラックスターエクストラチューンド S77MLX-S」のセカンドプロトを携え、ヘビージグ単での性能をテストします。
このエリアは毎年通い慣れていますが、今回選んだ堤防は足場が高く、風などの外的要因の影響を受けやすいため、従来のアジングタックルでは攻略が難しいと判断し、これまで避けてきた場所です。
しかし今回はロングロッドの性能を試すため、あえてこのポイントに挑戦しました。
地形は手前に堤防基礎があり、その先から一気に水深が深くなり約25mほどの急深エリアです。
当日は軽い向かい風です。向かい風によってベイトが寄せられるため、状況としては決して悪くありませんが、足場の高さによるライン放出量の増加が懸念されます。どこまでこのコンディションを制圧できるか楽しみでもあります。まずは日没前にこのフィールドの状況を把握します。
メインで使用するジグヘッドは、絶賛好評発売中のバレットリブヘッドTGの3.5g。これをキャストし、ボトムまでのカウントを計測します。
ディープ攻略においてこの作業は非常に重要であり、必ず行っておきたいポイントです。暗くなると情報量が少なくなるためこのカウント数を頼りに釣りをすることになるためです。
日が沈み、いよいよ本番
タングステン製3.5gジグヘッドで広範囲をサーチしていのですが、通常は手前から探るのがセオリーです。ただし今回のポイントは沖向きの広大なフィールドでは、遠投して広範囲を攻略することが有効となるケースが多いです。
今回使用している「S77MLX-S」は有効レングスが長いため、向かい風の中でも飛距離やラインメンディングに大きなストレスはありません。リグをボトムまで送り込み、基本はフリーフォールで着底を待ちます。
着底後は軽くロッドで跳ね上げ、リグが浮き上がりすぎないスピードでゆっくりとロッドでサビきます。
風が強い場合はロッドをアッパーで保持するとラインが煽られてしまうのでロッドを下げるかリーリングしてもいいです。
その誘いを続けていると、潮先に入っていたフィールドアドバイザーの堀江氏にヒットしました。
障害物をかわしながら一気に浮かせ、ネットに収まったのは38㎝の良型です。この一尾で場の空気は一気に変わりました。
その後も30〜35㎝クラスを連発し、堀江氏は完全に時合いを掴んでいます。一方の私はリズムが合わず苦戦しました。
堀江氏の誘い方を観察すると、ボトムからわずかに浮かせたレンジを極めてスローにサビいており、余計なアクションはほとんど入れていません。
対して私はシェイクを多用しすぎていました。
「釣れている人に合わせる」というセオリー通りに修正すると、すぐにフッとテンションが抜けるバイトが出ました。すかさずフッキングを入れてファイトに入ります。
締め込んだドラグを引き出すトルク感からでかアジであることを確信しました。
ロッドのベントを活かしながら丁寧に寄せますが、なかなか浮いてきません。
そこでショートポンピングで一気に浮上させます。
キャッチしたのは38.5㎝。
狙い通りの強烈な一本に痺れました。
狙い通りのでかアジをキャッチ!
パターンを掴めば再現性も可能
その後も同様のメソッドで尺オーバーを連発し、時合い終了まででかアジの数釣りを楽しむことができました。
でかアジは運の要素も強い釣りですが、誘い方のわずかな違いで釣果に大きな差が出る繊細な一面も持っています。
ヘビージグ単は「ジグヘッドが重いからディープエリアで簡単に釣れる」という訳ではなく、その日の状況にアジャストしたメソッドが求められる奥深い釣法です。
今回はディープエリアでのテスト釣行となりましたが、次回は今回のテストを踏まえ出てきた課題点を修正して複雑な流れが入り乱れる磯で「S77MLX-S」のプロトモデルの可能性をさらに探っていきたいと思います。
次回のテスト釣行もぜひご期待ください。
この日同行したフィールドテスターの堀江氏が絶好調!
ロッド開発ストーリ
ブラックスターエクストラチューンドS77MLX-Sの成功と挫折
ブラックスターエクストラチューンドS77MLX-Sは、これまでのヘビージグ単の釣りの可能性を広げるべく開発しています。この構想を発案したのは今回同行したフィールドアドバイザーの堀江氏によるもので、ラフコンディションや足場の高いエリア、これまで以上のディープエリアでのアプローチを行うためのロングレングスの必要性の提案を受け開発に着手したといういきさつがあります。
ヘビージグ単と言えど釣り方はあくまでもジグ単であるためタックルは軽くて細いことに越したことはありません。そのため最新素材のトレカ®T1100GやM40X、M46Xを惜しげもなく採用しています。
ファーストサンプルはロッドの重量とブランクスの太さが際立ち、修正をかけました。今回のセカンドサンプルに関してはファストテーパー過ぎることによるフッキングミスが目立つ結果となりました。そのため現在修正中のサードサンプルはこれらの修正点をクリアするブランクスを目指し開発しています。このラボから現場への行き来により少しずつ完成に近づきます。
ゼスタ ブラックスターエクストラチューンドS77MLX-S
【リール】ダイワ ソルティスト月下美人2004 (IOSファクトリーフルチューン)【リールノブ】IOSファクトリー アクリスタⅡ/【ライン】ヤマトヨテグス ファメル スーパーエステル 0.4号/【リーダー】ヤマトヨテグス フロロリーダーforエステル1.2号/【ジグヘッド】ゼスタ バレットリブヘッドTG 2~3.5g/【ワーム」ゼスタ ビロードスター3.25インチ。
ヘビージグ単を沖のボトムで自在に操ることができる。7フィート7インチは飛距離性能にも長ける。
上がファーストサンプル、下が今回持ち込んだセカンドサンプル。ブランクの大幅なスリム化に成功している。
ロングロッドのメリット、デメリット
ロングレングスのジグ単ロッドはメリットもあればデメリットも存在します。
メリットとしては下記の点が挙げられます。
① 飛距離を求められるフィールドや今回のような足場の高いフィールドで圧倒的に有利
② 風や波を避けた一歩引いた場所でも飛距離を出せるため快適に操作できる
③ 一般的に使用するラインよりも一番手太いラインを使用しても飛距離を出せるため問題無く扱える
デメリットは下記の点です
① 近距離戦が苦手。足元の際の釣りなどは精度が落ちやすい
② タックルが重くなる。ショートロッドよりも重量は必然的に重くなる
このようなメリット、デメリットを理解した上でロングレングスを選択することで的確なヘビージグ単ゲームを楽しむことができると考えています。
もちろんでかアジとのやり取りも主導権を渡さずに対峙できる。
でかアジキャッチ映像はこちら👇
ファーストプロトは約73g。
セカンドプロトは約67gと大幅な軽量化を達成。
ヘビージグ単はコレ!
ゼスタ バレットリブヘッドTG
ヘビージグ単を楽しむ上でジグヘッドの素材セレクトは非常に重要であると考えています。特に鉛やタングステンなどの比重の異なる素材を状況に合わせてセレクトすることで有利に攻略することができます。
また、今回のようなディープエリアや足場の高い場所など通常のジグ単ゲームでは攻略が難しいフィールドでは高比重のタングステン素材のヘッドを用いることでリグの操作感がよりダイレクトになり今自分がどのレンジを攻めているのかを明確に把握できるようになります。
新製品のバレットリブヘッドTGはタングステン素材でなおかつ、常に針先が上を向く特殊な低重心構造となっており複雑な流れの中やディープエリアでも針先が上を向きフッキングが決まりやすいという特徴を持っています。強風や潮の速いエリアでも素早く沈み、いち早く狙うレンジに到達するためぜひ持っていた方がいいアイテムです。
ひとめでわかるウエイト表記がうれしい。
1.5gから3.5gまで0.5g刻みでラインナップされる。
マッチザベイトを意識する
カラーやサイズ感が大事
今回のメインベイトはキビナゴとイカナゴでした。このように細長いシルエットがベイトである場合は使用するワームもこれらに近いワームをセレクトすると喰いがよくなります。
そして全発光やソリッドカラーなどのシルエットがはっきりと出やすいカラーをセレクトするとアジから発見されやすいと考えています。
釣れたアジが吐き出したのがこのサイズのベイト。
サイズ感だけではなく、形状、カラーなども常にローテーションすることが大切だ。
マッチザベイトを意識しよう。
レンジが大事!
ボトムべったりではないときも!
でかアジを狙う上で重要なのは「リグがどのレンジに入っているか?」だと考えています。大きいアジは賢く自分の捕食レンジが極めて狭いことが多いためレンジにシビアになることが多いです。しかし、この春の低水温期はボトム付近にでかアジが集中することが多いのでボトムからどのくらい離してトレースするかを意識して探るといいでしょう。
可能であれば日中に釣り場の水深など状況を確認しておこう。
誘いのアクション
釣れている人に合わせる!
でかアジの時合いは短いことが多いです。その日、その状況にマッチした釣り方やレンジはコロコロ変わります。そのため短い時合いに対応するために釣れている人に合わせた釣りを心がけることは非常に大切であると感じています。
自分の釣り方の引き出しを少しでも広げることで様々な状況に対応できるようになるはずです。
ラインセレクト
操作性重視でエステルライン
今回使用したラインはヤマトヨテグスさんのスーパーエステルです。このラインは非常に低伸度でありクリアカラーであるためエステル本来の強度を担保しやすくなります。
今回のようなディープエリアでのアジングではソフトなエステルラインではなく伸度が低い高感度なラインを選択するとダイレクトな操作感を体感でき精度の高いアジングを実現することができるでしょう。
この釣りのキモのひとつと言えるライン。
IOSファクトリーのラインローラー「Direct for DAIWA」を装着している。
ハンドルノブも同じくIOSファクトリーのアクリスタⅡに変更する。
(PROFILE)
奥津剛(おくつ・たけし)
大学院で研究していたプランクトン、海洋学の知識を活かしたリアルなタックル開発を目指す。ブラックスターシリーズの生みの親でもある。
instagram@okutsu_xesta_fishing
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