チニングフリーリグ徹底攻略~もりぞー直伝! 最先端をいくチニングゲーム~

2025年夏、宮崎県を舞台にチヌを狙ったもりぞー氏。今回のテーマは、近年急速に浸透してきた「フリーリグ」で狙うチニング。一見シンプルに見えるが、その真価を引き出すには使い方の理解と工夫が欠かせない。ここでは実釣を踏まえつつ、チヌゲームにおけるフリーリグの有効性とテクニックを解説する。


年無しクロダイも出現!



チニングフリーリグ完全攻略
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フリーリグの基本構造

 フリーリグは、ラインに通したシンカーがリーダー上を自由に移動する仕掛けだ。しかしこのチニングにおいてはゴム製のストッパーなどで半固定にする。シンカーにはラウンド型やスリム型シンカーを使うのが一般的。

 過去にはプラグにオモリをセットしてボトムをズル引いてくる釣り方がチニングゲームで一世を風靡したときがあった。ある一定の釣果は出せたもののフックがむき出しのため、どうしても根がかりを避けることが難しかった。そこからさまざまなリグが生まれては改良が行われてきた。そして、近年では今回紹介するフリーリグスタイルがチニングの王道スタイルとして定着しつつある。

 このフリーリグの特徴として、オフセットフックを使用することで圧倒的な根がかり回避能力を発揮する。そしてプラグ以上に食わせ能力を持ち合わせておりナーバスなチヌでも違和感なく食ってくることが多い。そのためプラグよりもバイトが多いのが特徴だ。

 それでもしっかりとしたバイトを導き出すためにはフリーリグを知り、チヌの食い気に応じたアクション、そしてそのバイトを確実にものにするためのアワセとやり取りが求められる。

 以下、にチニングをより深化させるいくつかのテクニックの一例を紹介しよう。

●ズル引きとシェイクの使い分け

 アクションの基本はボトムをリグをズル引くのだが、これだけでは反応が途切れることもある。そんなときはロッドティップを細かくシェイクし、ワームを小刻みに震わせる。このときリアクション狙いの強いシェイクと、食わせを意識した弱いシェイクを状況に応じて使い分けるのがポイントだ。

リグの操作をしっかりと行わないとチヌからのバイトも遠くなる一方だ。



●ステイの重要性

 動かしすぎは逆効果になることも。シンカー着底後に数秒ステイするとそのわずかな間がチヌにとって絶好の食わせタイミングになる。

 実際、今回の実釣では激しくリグを動かすよりもステイを意識したスローな展開でバイトを多く出せている。

●流れを味方につける

 河川河口の汽水エリアでは潮が効きやすいため、敢えてラインを送り込み、流れにワームを漂わせる方法も有効だ。リグを固定せず、流れに任せてドリフト気味に流すことで、ナチュラルな動きを演出できる。

昨今のチニングゲームではこのフリーリグが一般的となってきている。



初の宮崎県釣行とあって気合が入る

 宮崎県といえばチニングの聖地として名高いフィールドだ。しかしもりぞー氏はここ宮崎県でのチニングは今回の実釣で初めて訪れるという。

「ここ宮崎県はクロダイ、キビレがよく釣れるということもあり非常に人気のフィールドです。今回はフリーリグを中心にチニングを存分に楽しみたいと思います」と初場所攻略にやる気もマックスだ。

 当日朝イチ、宮崎市から少し南下して入ったポイントは水深の浅い河川河口域。前日までの長雨で水色はかなり濁っている状況だ。

まずセットしたのは「シルバーウルフ アーバンホグ」。カラーはグリパン(グリーンパンプキン)。リグが着水するとすぐにボトムにリグがつく。ここはシャロー帯のようで「水深はまぁまぁ浅いですね~」ともりぞー氏。すると一投目から魚からのコンタクトがある。サイズが小さかったのか違う魚だったのかはわからないが、ファーストバイトはフッキングにまでは至らない。すかさずリグを回収し、フックのズレを確認し再びキャストするもりぞー氏。

 リトリーブしながら途中途中、ロッド操作で小さなアクションを入れていく。すると再びバイトが出る。今度はしっかりとアワセも決まり、宮崎県のファーストキビレのキャッチに成功した。

「ボトムでリグをスローに引いてきたらコツコツとアタリがでました」ともりぞー氏。続けて「宮崎県はどちらかというとキビレがメインのフィールドです。キビレを数釣るなかでクロダイが混じってくれるとうれしいですね~」と話し、さらなる釣果を求めキャストを続ける。

 その後は濁りの影響なのかバイトが少なく、あったとしてもショートバイトでフッキングにまで持ち込めない。ここで、もりぞー氏は対岸エリアへとポイントを移動する。

幸先よくファーストキビレをキャッチしたもりぞー氏。



対岸にポイントを移動する

 川幅のある河川では対岸も立派なチニングポイントとなることが多い。もりぞー氏はショートバイトに素早く見切りを付け対岸に移動しキャストを開始する。

 こちらのエリアは川の流れが強く当たり、潮の流れが非常に速い。そこでシンカーを先ほどまでの10グラムから14グラムへと変更。

「こちらの面は潮の流れが効いているのでシンカーをルアーシンカーTG ラウンドの14グラムへと変更してしっかりとボトムを感じ、スローに攻めていこうとおもいます」ともりぞー氏。

 それでも濁りの影響なのかチヌからのバイトは多くない。しかしそこはチニング名手のもりぞー氏。流れの淀む場所などで丁寧にリグを通して探っていきキビレを数尾キャッチすることに成功する。

「今日は濁りのせいでチヌの活性が高くはないですね。この時期は速めのアクションに好反応を示すことも多いのですが、今日はスローな誘いじゃないと食ってきませんね」とこの日の状況を徐々にではあるが分析し始めている。

アタリが少なくキャッチまで遠いため、ポイントを見切り対岸へと切り替えるもりぞー氏。


思っていた以上に対岸は潮が速い。もりぞー氏はシンカーのウエイトを重たくして対応していく。


セッティングが決まればチヌは思っている以上に素直に反応してくれる。



ドラマフィッシュ現る!

 サイズは大きくないものの、数尾のキビレのキャッチに成功したもりぞー氏。アタリが少なくなってきたところで移動を提案するも、もりぞー氏は「この河川、実はチヌ以外にもマゴチやエバ(メッキが大型化した個体の名称)」が釣れることでも有名です。潮周りのタイミングでもしかするとチャンスがあるのでもうすこし粘ってみます」と話す。

 途中、今回の使用ロッド「シルバーウルフEX」シリーズの特徴をうかがっていると、その瞬間は訪れる。超デッドスローなリトリーブ中に食わせの間を入れるようにストップ、そして巻き始めた瞬間にロッドが絞り込まれる。

「よしきた!ドラグ出た。これはいいサイズですよ」と一気に緊張の空気が張り詰める。そう思ったのは記者だけ。もりぞー氏は意図もたやすくこの得体のしれない魚と対峙している。さらにはロッドの解説を続けてしまうという、まさに実践で積み上げてきた引き出しを繰り広げながら余裕のやり取りをこなしていく。それでもドラグが出され、シルバーウルフEXがきれいに弧を描く。ていねいなやり取り後に水面に現れたのは年無しのクロダイだった。

 プライベートでは数多くの年無しクロダイを釣りあげてきたもりぞー氏だが、実釣ロケでは過去にもほとんどないという。それだけ価値ある一尾にもりぞー氏も自然と笑みがこぼれていた。

 さぁこれで実釣ロケも撮れ高OKということで締めていただこうとした矢先に。

「まだまだ釣りますよ!」ともりぞー氏。ここからエリアを大本命の大淀川に移動して、フルに宮崎県のチニングを満喫することとなった。

タックル解説中にバイトしてきた年無しクロダイ。


メジャーで計測すると51センチだった(メジャーはフィッシングメジャーW(DAIWA))。


大淀川での有効性

 宮崎市内中心部を流れる大淀川。河口から上流にかけて干満差が大きく、流れやヨレが常に変化するフィールド。ボトムは砂泥底に石やテトラが絡む複雑な地形で、根掛かりのリスクも高い。フリーリグはシンカーが先行して障害物をかわしやすいため、根掛かり回避能力に優れ、この環境と非常に相性がいい。もりぞー氏は宮崎駅周辺のポイントでサオを振ることにした。

 しかしここ大淀川もほかの河川以上に濁りがきつく、ほぼアタリが出ない状況だ。時は非情にも流れ、夕マヅメも終了間際。このままでは夜の釣りに突入してしまう。と思っていたとき、ついにチヌからのバイトが出る。

「よっしゃ!食った! 食ったよ!」

 ともりぞー氏のシルバーウルフEXが再びきれいに曲がる。汽水域で流れもあるためかなり引いている様子だ。そして丁寧なやり取りの末、ネットに収まったのは良型のキビレであった。


ここ大淀川で釣らなければ宮崎県まで来た意味がない! というほど、この大淀川はチヌのメッカだ。



まとめ

 フリーリグは一見シンプルだが、操作の緩急、流れの利用、ステイの取り方次第で釣果が大きく変わるリグだ。大淀川のように流れと地形変化に富んだフィールドでは、特にその強みを発揮する。

 もりぞー氏は釣行を振り返り「フリーリグはチヌに対して間違いなく武器になる。大淀川のような潮流フィールドでは、今後さらに研究の余地がありますね」と語った。そして「また今度、ここ大淀川でグッドサイズ、そして多くの魚種を狙いにリベンジしにきます! 」と力強く話し今回の実釣ロケは終了となった。

橋脚まわりも丹念に狙っていく。


大淀川でキャッチしたナイスサイズのキビレ。なかなかバイトが出ず、あきらめかけたそのときにバイトしてきた。




タックルとセッティング

 今回もりぞー氏がメインで使用したロッドは「シルバーウルフEX」シリーズ。そのなかでもベイトタイプの72MLB-Sだ。このロッドは釣行を重ねるごとに手にしっくりと馴染み、まるでリグを直接手で操るようなダイレクトなレスポンスを実現する。チニングゲームの宿命ともいえる根掛かりにも、底を指でなぞっているかのような操作感で事前に回避。より集中してチヌと対峙することが可能だ。

チニング専用ロッドシルバーウルフEXでクロダイ・キビレを狙う!


 ショートレングスのベイトロッドで、正確無比なキャストを可能とする一本。スレきったチヌはピンポイントでリグを通してこないと口を使わないことが多く、そんなチヌを攻略するのに最適な一本だ。



シンカーの使い分け

 フリーリグに用いるシンカーは飛距離や底質などによって使い分けていくのがオススメ。この日のもりぞー氏はラウンドタイプの「ルアーシンカーTGラウンド」を使用していた。ウエイトは7~14グラムを潮の速さなどで使い分けていった。

シンカーとフックはその日のポイントなどに応じて使い分けていく。


ルアーシンカーTG。上がラウンドタイプ、下がスリムタイプ。

ターゲットに応じてフックの番手は選びたい。


ワームセレクト

 ワームはアーバンクローラーアーバンシュリンプ、さらにはアーバンツイスターの3つをもりぞー氏は使い分けていた。

 具体的にはワーム自身が持つ波動、ボリューム、飛距離などをチヌの活性などに応じて選んでいきたい。

 細身になればアピール力は弱くなるものの低活性時に有効であったり、飛距離が伸び沖のサオ抜け攻略に適していたりする。活性が高ければボリューミーなワームで手返しよく狙っていこう。

ワームは形状とカラーのセレクトが大切になってくる。



シルバーウルフ アーバンクローラー(DAIWA)

 時に飛距離がものを言うオカッパリのチニングゲーム。アーバンクローラーのボディサイドのパーツは空気抵抗を極力なくすようにすべて順方向で構成。これによりボリューミーだけど飛距離も出るといった相反する性能を手に入れている。

(スペック)
サイズ:2.5インチ(64ミリ)/素材:塩ビ/カラー:全9色/入数:8/価格(税別):650円


シルバーウルフ アーバンシュリンプ(DAIWA)

 ボトムバンプやズル引き&ステイにしか反応しないときに活躍するのがこのアーバンシュリンプである。チヌの活性が低いときのスローな展開では微波動でじっくりと誘え、チヌのスレを最小限にとどめてくれる。

(スペック)
サイズ:2.4インチ(61ミリ)、2.8インチ(72ミリ)/素材:塩ビ/カラー:全10色/入数:8/価格(税別):650円


シルバーウルフ アーバンホグ(DAIWA)

 チヌが比較的高活性なときに投入したいアピール系チニングワーム。爪の形をチニング用に専用設計し、ボリュームを確保しつつ空気抵抗を低減。沖のサオ抜けまで届きスレていないチヌにアピールする。

(スペック)
サイズ:2.9インチ(73ミリ)/カラー:全10色/価格(税別):650円


シルバーウルフ アーバンツイスター(DAIWA)

 水をしっかりとつかむアーム形状と、アームに配置された細かなリブの効果で水を強く撹拌。濁りなどでチヌが視覚に頼ってエサを探せないときや、広大なエリアでチヌの居場所が絞れないときにも、遠くのチヌに気づかせる力を持つ。

(スペック)
サイズ:2.5インチ/カラー:全10色/入数:8/素材:塩ビ/価格(税別):650円



もうひとつのチニングゲーム

ラフトリック70F&90F(ダイワ)

 夏のタイミングで楽しめるもうひとつのチニングがトップゲームだ。既存のラフトリック70Fが追加モデルとして誕生。既存の90Fでは強すぎると感じたときに70Fの出番となる。水面が波立っていて普通のトッププラグではアピールしづらい状況下でもしっかりとアピールしチヌに気づかせ口を使わせる。

(スペック)
ラフトリック70F

サイズ:70ミリ/ウエイト:8.5グラム/タイプ:フローティング/価格(税別):1600円



PROFILE

森 浩平(Kohei Mori)

DAIWA フィールドテスター。愛称は“もりぞー”。大阪湾の淀川をホームグラウンドに、ベイトタックルスタイルでチヌを釣り上げる。フリーリグチニングの第一人者。1981年3月25日生まれ。