海ばかりではなく、たまには川に目を向けてみては? というわけで河川の河口部に注目!
ここは、栄養分が豊富でいろんな魚を寄せる要素が揃っている。そしてこれから面白くなってくるのがチヌ。汽水域が大好きな河口の代表選手だ。そんなチヌの狙い方を中心に、河口エリアの攻略法を大公開!
汽水域には豊富なベイトが集まり、フィッシュイーターもそれを求めて入ってくる。
みなさん、河口を見過ごしていませんか?
大小織り交ぜ、多くの河川を有する日本列島。この河川河口部の汽水域(海水と淡水が混ざり合う場所)は、上流からのエサや栄養分に、海のそれが合わさった、魚にとっては非常に豊潤なエリアなのだ。護岸が整備されていない区域が多いため、ここで釣りをしようと考える人は少なめで、おもしろい釣りが可能な穴場と言える。
「河口を釣る場合は、ウエーダー着用で、ちょっとした水溜りなどをクリアできる装備で挑みましょう!」と話す岩崎林太郎さん(以下=りんたこ)、そして秋丸美帆さん(以下=みっぴ)も、そんな河口フィッシングフリークの一人だ。りんたこのホームである大分県には、街中をゆったり流れる河川が多数ある。ここをウエーディングスタイルでラン&ガンしながら釣り下っていく。
上流ほど川幅が細く、砂利が交じる底質の、いかにも川という場所が多いが、下っていくに従って川幅が広がり、底質はだんだんと砂になって、そのまま海へと流れ込む。この間すべてが河口ゲームのステージだ。
河口部の汽水域にはエサが豊富なこともあり、これを求めてかなり上流まで海の対象魚がさかのぼる。それらに狙いをつけたのが河口ゲームというわけだ。
ウエーディングはこの深さまでにできるだけ留めるようにしよう。
河口ゲームの対象魚
河口で狙うターゲットの代表格がクロダイとキビレ(以降=チヌ)だ。これらを近年人気のチニングという手法で狙うのがいちばんのおすすめだ。
チヌは河口が大好きな魚だ。そして海で狙うより、ポイントが絞り込みやすいのも河口におけるチニングゲームのメリットだ。そしてこれは、チヌ以外の対象魚にも当てはまる。チヌのほかにもシーバス、マゴチ、カマス、そして水温が上がってくるにつれてメッキやコトヒキなども河口に集結する。
「チヌを狙うなら、絶対にトップゲームが楽しいです!」と話すりんたこのおすすめが、ペンシルベイトを使った釣りだ。
「河口に入ってくるチヌは、ここに集まった小魚を狙っています。これを模した小型のペンシルを水面で操作し、食わせるゲームがとてもエキサイティングで楽しいです」とりんたこ。捕食スイッチが入ったチヌは、水面のルアーにロックオン。ぐんぐん距離を詰めて食いついてくるのだが、トップゲームだとこれが全部見えるので、狙い通りにヒットさせられたら興奮度もマックスだ!
トップゲーム以外だと、小型メタルやジグ単を使った釣りもおすすめだ。暖かくなってくると対象魚も増えてくるので、これからますます期待が高まる一方だ!
チヌ以外にもマゴチやシーバス、メッキなどが釣れる。時には青物も入ってくる。
河口ならではの装備と安全対策
「護岸などの陸から釣る場合は、いつもの堤防釣りスタイルで問題ありませんが、整備されていない河口で釣りをする場合、踏まえておきたいことがあります」というりんたこ。そんな場合、まず身の回りはウエーダーとウエーディングシューズ、そしてゲームベストタイプの救命胴衣で固めるが、これにより行動範囲が急拡大する。ウエーダーは、深いところに立ち込むというよりも、水溜まりを渡る用途のためで、立ち位置は可能な限り乾いたところを選びたい。ゲームベストタイプの救命胴衣を使うのは、膨張式だと水が被って膨らんでしまう懸念があるからだ。
上流部はある意味、渓流釣りスタイルをイメージしておけば、ほぼそれが当てはまる。ただ、下流へ行くに従って、底質が石から砂へと変わってくる。淀んだ場所では、泥に足を取られて「ズブズブ……」と沈み込んで抜けなくなってしまうので注意したい。また、砂地に多いエイにも要注意だ。エイのトゲは強く鋭いので、ウエーダーや靴底さえ突き抜けてしまうこともある。刺さると病院行きは免れないので、十分注意しよう。
泥地、エイともに対策は「無理して立ち込まない」「すり足で移動する」の2点が有効なので、これを実践するようにしたい。
ウエーディングスタイルではエイに要注意だ。ある程度の深さで立ち込んでいるときに刺されると非常に危険だ。
プラグとメタルで臨機応変に!
「これからハイシーズンに入ってくるチヌを狙うなら、断然トップゲームがおもしろいです。ペンシルベイトタイプのドッグウォークに好反応なのですが、そんな攻略には月下美人・夕凪がバッチリです!」というりんたこ。
チヌ狙いは浅いポイントが有望。50センチくらいの場所で背ビレを水面に出しながらエサを探していたり、小魚の群れに突っ込んでいるような場面を目撃したら、ペンシルを投げて、弱ったベイトの動きを演出してあげよう。ルアーにロックオンしたチヌは、これを目掛けて食う気満々でバイトしてくる。
「このとき早アワセは禁物です。焦って手が動くのを我慢して、目で確認しながら、プラグが水中へ消し込んだタイミングで、しっかりとアワセを入れましょう」というのがりんたこのアドバイスだ。
「チヌ以外の対象魚を狙うなら、小型のメタルルアーが有効です。河口は下流に行くほど広くなるので、遠投して広く探るには、スピンテールやメタルジグがうってつけです」とりんたこ。なかでも対象魚を選ばず、食わせ性能がすこぶる高いという理由でりんたこがおすすめなのが、ティアドロスピンだ。
「メタルだけどゆっくり誘えてアピール力抜群、五目ゲームに最適です!」と、りんたこも太鼓判だ。
表層からボトムまで、汽水域ではさまざまなルアーが活躍する。
河口上流部のポイント
魚の着き場を絞り込んでいこう!
広大な海と比較して、河口の上流部は水深や面積において程よい規模だと言える。つまり、ポイントが絞り込みやすいのだ。水深が浅いので、ベイトや対象魚の存在を見つけやすく、こういったシャローに入ってくる魚は、食う気満々で活性が高いことが多い。具体的には橋桁周辺、堰堤にはベイトが溜まりやすいので狙い目。その他にも馬の背のカケアガリ、杭の周り、放水口などの流れ込み……といった場所はポイントとして有望だ。また、小魚がもじっていたり、ライズが見られることもあるので、そんな場面に遭遇したら、即座に狙っていこう。
水面に小魚のモジリが見られる。この周辺には、これを狙ったフィッシュイーターが寄る。
水門などの流れ込みにはベイトおよびフィッシュイーターが集結する。
橋桁は河川では代表的なストラクチャー(建造物)。影やヨレが狙い目だ。
魚止めとなる堰には、小魚、そして本命魚が溜まっている可能性が高い。
河口下流部のポイント
テンポよく広範囲を探ろう!
河川は下流に行くにつれ、砂地の底質が多くなり、スケールが大きくなってくる。ただし、水深は浅く、干満でボトムが露出したりするが、こうした干潟的な場所は、甲殻類の宝庫なので、多くの魚を寄せる要素を十分に満たしている。釣り場が広くなるので、ロングキャストで広範囲を探ったり、なにかしらの変化を見つけてターゲットの着き場を絞り込むなどする必要があるが、水面に出ている杭のような、ちょっとした変化もベイトや本命魚を寄せるので、見逃さないようにしたい。また、小魚のモジリやライズは当然見逃さないこと!
朝マヅメの河口では活発なライズが発生中だった。
川幅がかなり広くなる河口の下流部。水深は総じて浅いが、エイや泥底には要注意!
海との合流地点となる河口の最下流部。小型メタルを使った広範囲攻めが有効だ。
浅い河口部の水面から出ている杭。こうした小さなストラクチャーも魚の付き場となりうる。
トップゲームでチヌ狙い
ペンシルのドッグウォークをマスターしよう!
河口で狙える魚種のなかで、これからの時期いちばんのおすすめは、やっぱりチヌ! 汽水域が大好きなこの魚は、サイズや引きもいいし、容姿も抜群! 狙い方はいろいろあるが、ここではもっともエキサイティングなトップゲームを推奨したい。効果的なのが、ペンシルベイトを使い、これを細かいトゥイッチで頭を左右にターンさせる「ドッグウォーク」というアクションだ。これがチヌを狂わせる。「水面のペンシルにロックオンしたチヌは、執拗にこれをチェイスしてきます。バイトしてきたら、しっかり食い込ませてからアワセを入れましょう」とりんたこ。
ロッドを小刻みにトゥイッチしながら、ペンシルの頭を左右に動かすアクションがドッグウォーク。チヌのみならず、水面を意識した青物やシーバスにも有効なので、これを機にマスターしよう!
河口の最下流部は広大ゆえ、メタルの遠投攻略で広範囲を探りたい。
プラグとメタルで用意周到に
チヌをメインに他魚にも対応!
「チヌトップにはぜひこのルアーを使ってください!」とりんたこが推すのは、自身監修の「月下美人夕凪」だ。チヌ狙いには55ミリがちょうどいい。ドッグウォークを基本に、タダ巻きを交えて狙っていこう。そして「チヌがいない」という場合の多魚種狙いに、「ティアドロスピン」「月下美人プリズナーTG」といったメタルルアーを用意しておけば万全だ。特に新登場のティアドロスピンは、アピール力・食わせ能力ともに高く、「魚種を選ばずいろいろ釣れます!」というりんたこの自信作だ。
月下美人 AIR 83M-T・W(ダイワ)
大型メバル対応のパワーロッドは、チヌとのファイトでもその性能をいかんなく発揮してくれる。
【参考タックル】
〈ロッド〉DAIWA 月下美人 AIR 83M-T・W
〈リール〉DAIWA EXIST SF2000SS-H
〈ライン〉DAIWA UVF月下美人デュラセンサー+Si2 0.6号
〈リーダー〉DAIWA 月下美人フロロリーダー 7ポンド
〈ルアー〉DAIWA 月下美人 夕凪55F/ティアドロスピン/プリズナーTGデカアジ・デカメバルSPEC
月下美人 夕凪55F(ダイワ)
全長55ミリ、4グラムとチヌゲームにぴったりの大きさ。高いドッグウォーク性能を誇る。トップ好きな対象魚に幅広く対応する。
月下美人 プリズナーTGデカアジ・デカメバルSPEC(ダイワ)
7グラム、10グラム、16グラムのラインナップ。ブレード装備でスローな誘いも得意。魚種を問わず有効なルアー。
ドッグウォークをマスターし、本命のキビレをキャッチ成功のみっぴ。
Profile
岩崎林太郎
いわさき・りんたろう:アジやメバルといったライトゲームをこよなく愛するアングラー。『りんたこ』の愛称で活動中の釣りYouTuber。
秋丸美帆
あきまる・みほ:『みっぴ』の愛称で親しまれ、釣りはオールジャンルこなす。YouTube『りんたこみっぴの釣りキャンプ』では得意の料理も披露!
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