新潟県の港湾施設はほとんど立入禁止となっているが、釣り場がないのかといえば、そんなことはない。ここで注目したいのがサーフ、つまり砂浜だ。「でかアジがベイトを求めて射程圏内まで寄る……そんなサーフが今回のステージです」と語る家邊克己さんのサーフアジングをご紹介!
延々と砂浜が続く新潟の海岸線
アジング伝道師こと家邊克己さんが今回訪れたのは新潟県。選んだ釣り場は定番の防波堤ではなく、サーフ(砂浜)だ。
「漁港がほとんど立入禁止なので、大っぴらに釣りができるのはサーフくらいなんです」と家邊さん。ただし、このエリアでは、そんなサーフに40センチオーバーのでかアジが入ってくるのである。今回はそれを狙っての釣行だ。
新潟県の海岸線は、その多くが磯とサーフで、特にサーフの占める割合が多い。ここにベイトが集まる要素があれば、それを求めてアジの群れが接岸するのだが、群れの規模、サイズともに大きいため、一部のアングラーは、以前からここに着目していたのだ。そして家邊さんもその一人である。
ただし、長大なサーフのどこにでもアジがいるわけではない。先に説明したベイトを寄せる要因は、明かり、流れ、地形である。新潟の海岸線は、車道が近くを通っている場所が多く、それらの常夜灯はそこかしこに設置されているため、明かりという要件はこれで満たされている。ここがワンドになっていたり、少し沖に消波ブロックの一文字があったりする場所に、沖からの流れが絡めば、ベイトが溜まり、アジが接岸する可能性が高い。
広大なサーフに絡んだ人工ポイントは開拓の余地だらけだ。
マヅメとナイトで狙っていこう!
さて、いざ新潟のサーフでアジを狙う場合、どのタイミングで竿を出せばいいのだろうか。
「まず有望なのが夕マヅメです。日本海側は全般に夕マヅメパターンが成立する場所が多く、新潟にもこれは当てはまります。夕マヅメのアジは大きなサイズが期待できるので、強めのタックルでこれらの回遊を待つイメージです」という家邊さんは続けて、
「夕マヅメが終わったら、ナイトゲームも狙い目です。事前情報や、自らのリサーチでベイトが溜まっていそうな場所に目星をつけたら、そこに常夜灯が絡んでいるかを確認します。そんなポイントでは、夜の間、アジが寄って、そこに居着く可能性があります。さらに説明すると、ナイトのサーフで釣れるアジは、意外なほど近くに寄ってきます。夕マヅメは3グラム程度の重めのジグヘッドで遠投しながら群れを探しますが、ナイトゲームでは、アンダー1グラムのジグヘッドで届く範囲で、尺オーバーのでかアジが釣れるんです」と家邊さん。
どの釣り場でもマヅメの回遊狙いは当たり外れがあるので、マヅメからナイトまでをワンセットにしたゲームの組み立てがおすすめだ。ちなみに、デイゲームではワカシがよく釣れるので、これらを狙うのもおもしろい。
日中におおよその下見を行ない、本番は夕マヅメからだ。
マヅメの回遊狙い
今回の釣行は4月。家邊さんいわく、「5月に入ってもっと水温が上がったほうがいいようなのですが、なにはともあれ始めてみましょう!」というわけで準備を開始。時合いは陽が傾き始めてからなので、態勢を整えてキャスト開始したのは17時頃だった。
入った場所は、サーフでありながら、きれいに護岸されたポイントだ。少し沖合いには消波ブロックの一文字が点在し、内側はワンド状になっていて、なおかつ常夜灯もあるという具合に、ベイトが溜まりやすい条件をすべて満たしている。前日、スタッフが尺オーバーを上げているとのことで、期待したいところだが、釣れたは釣れたものの単発で、決してイージーではないとのこと。
「マヅメの回遊狙いは回ってこないこともあるので、心臓に悪いです(笑)」と苦笑いする家邊さんは、夕マヅメ専用といってもいいスペシャライズSFR-65に3グラムのB・Kヘッド&ビーディー3インチをセットして、速めの誘いで広範囲サーチを開始。30メートルくらいフルキャストしたら、表層を意識した夕マヅメ定番の派手な誘いでアジの反応を探す……がしかし、真っ暗になるまで2時間キャストし続けるも結局ノーヒット⁉
「夜にがんばりましょう!」と、気持ちをリセットした家邊さん。
夕マヅメはSFR-65の遠投スタイルで探った。
ナイトででかアジ!
夕食休憩をはさみ、すっかりリフレッシュした家邊さんが向かったのは、もちろんサーフ。波打ち際で周囲を観察。時刻は20時前だったが、すでに釣り人のライトの明かりが点々と見える。
「やっぱりここは実績場のようですね。釣り人がいるってことは、魚が釣れていることの証。期待してよさそうですね」と、キャストを開始する家邊さん。入った場所は、「こんな場所でアジが釣れるの?」と疑いたくなるような、水深が1メートルほどしかないシャロー。
だが新潟のサーフは、もっと浅い最初の波頭でもアジやメバルが釣れる場所だ。それを念頭に、スペシャライズSFR-51に持ち替えた家邊さんは、リグもアンダー1グラムに付け替えた。
「水面でなにやらもじっているのと、時折ライズも出ています。表層プランクトンパターンで狙ってみます」という家邊さんは、ほどなくアタリをキャッチ!
「よく引くね。シーバスじゃないかな?」と、引きをいなしながらファイト。浅いので魚もよく走って、取り込みもスリル満点。そのまま浜辺にズリ上げたのは、35センチはあろうかというでかアジ!
「こんな浅いとこで釣れちゃいましたね。サーフのジグ単でこんなのが釣れる新潟のポテンシャル、みなさんもいかがですか?(笑)」
2尾の尺オーバーを仕留めた今回の釣行。でも、アタリも2回だけと、実は渋かった。
サーフアジングの極意! 動画はこちら⇓
サーフの狙い場
複合ポイントが熱い!
だだっ広いサーフでやみくもにルアーを投げても、そう簡単に釣れるものではない。こんな場合は、ポイントの絞り込みが必要だ。まず、アジがいる場所は、例外なくエサが集まっている。それらを寄せる要素としては、漁港同様、常夜灯の存在が重要だ。それに加えて、海藻が生えていたり、潮通しのいい場所などといった条件が重なった複合ポイントだと、よりヒット確率は高くなる。新潟のサーフは、沖合いに消波ブロックの一文字が設置されている場所が多く、その内側は湾状になっていて、ベイト類が溜まりやすいのでチェックしておきたい。また、これが至近距離にあれば、ベイトやアジが着くストラクチャーになるので、当然こんな場所は狙い目だ。
今回狙ったポイント。沖合いに消波ブロックがあり、陸側には流れ込みと照明があり、回遊アジの実績が高い場所だ。
サーフの狙い場
エサ釣り師がいる場所
「地元のエサ釣り師がいる場所は、釣れる場所と考えて差し支えありません。僕が初場所でポイントを探すときは、そんな釣り人がいないか、見て回るようにしています」と語る家邊さん。実際この日も、周囲を見回すと遠投カゴ釣り師の集団が、よさそうなポイントに陣取っていた。左右に空きがあれば、一言挨拶して、入らせてもらうのが釣果への近道。こういった場所を数多くチェックしておき、空いているときにエントリーするなど、頭を働かせていこう。
遠投カゴ釣り師たちが集結していた。すなわち、ここが釣れる!
消波ブロックの間に潮目ができていた。当然ここはベイトやアジの通り道になることが想像できる。
5月、6月にはさらなる釣果アップが期待できる!?
二刀流で迎え撃とう!
「夕マヅメは遠投して速い誘い、ナイトはスローな釣り、この2パターンに対応するため、タックルは2本持ち込みました」と語る家邊さんは、夕マヅメ用には強くて張りのあるスペシャライズ SFR-65、ナイトゲームには繊細な釣りを得意とする同SFR-51を用意。性格の違う、この2本が揃っていれば、さまざまなアジングのパターンに順応できること請け合いだ。
【SPEC】
品番:SFR-65/ティップタイプ:ソリッド/全長:6’5”(196センチ)/継数:2ピース/仕舞寸法:101センチ/リグウエイト:0.3グラムから5.0グラム/ライン:MAX5.6ポンド/価格:5万2800円
THIRTY34FOUR SPECIALIZE SFR-51
【SPEC】
品番:SFR-51/ティップタイプ:ソリッド/全長:5’1”(155センチ)/継数:2ピース/仕舞寸法:80センチ/リグウエイト:0.3グラムから4.0グラム/ライン:MAX2.3ポンド/価格:4万3780円
THIRTY34FOUR ZEROGRA MULTI ダブルハンドル&バランサー
先重り感のない、バランスのいい重量配分を実現。これによりアタリや潮流変化を最大限に感じ取れる。
◦参考タックル
●夕マヅメゲーム用
〈ロッド〉THIRTY34FOUR SPECIALIZE SFR-65
〈リール〉スピニングリール1000~2000番
〈ライン〉THIRTY34FOUR ピンキー0.4号
〈ハンドル〉THIRTY34FOUR ZEROGRA MULTI ダブルハンドル&バランサー
〈リーダー〉THIRTY34FOUR ジョイントライン1.2号
〈ジグヘッド〉THIRTY34FOUR B.Kヘッド2グラムから4グラム
〈ワーム〉THIRTY34FOUR ビーディー3.0インチ、パフネーク2.2インチ
●ナイトゲーム用
〈ロッド〉THIRTY34FOUR SPECIALIZE SFR-51
〈リール〉スピニングリール1000~2000番
〈ハンドル〉THIRTY34FOUR ZEROGRA MULTI ダブルハンドル&バランサー
〈ライン〉THIRTY34FOUR ピンキー0.25号
〈リーダー〉THIRTY34FOUR ジョイントライン1.2号
〈ジグヘッド〉THIRTY34FOUR B.Kヘッド0.3グラムから0.8グラム
〈ワーム〉THIRTY34FOUR オクトパス1.8インチ、プランクトン1.8インチ
今回のヒットはこのワームだった。2本の細長いテールを持つ独特な形状が渋いながらもバイトを引き出してくれた。
でかアジはなにを食ってるの?
サーフのアジは小魚を追いかけている!?
「新潟サーフのでかアジは、特に夕マヅメの場合、小型のベイトフィッシュを食っているパターンが多いと思います。ナイトゲームのポイントも水面付近で小魚がウロウロしていたので、これを食っているケースはあると思います」という家邊さん。「ただし、水面で小さなライズが出ることもあったので、ヒットはスローなアプローチのプランクトンパターンでした」とのこと。ちなみに、釣れたアジを持ち帰ったスタッフが腹を割いたところ、「ゴカイのようなものがでてきた」そうだ。ワンド状の奥まったサーフがポイントだったことから、砂地に多いイソメ類を食べていたのかもしれない。今回、2尾の尺アジをヒットさせた家邊さんだったが、アタリはその2回だけと少なく、周囲のアングラーに至っては、釣れている気配がなかった。本当は、別の正解があったのかもしれない。
ファーストヒットは余裕の尺オーバーだった。
Profile
家邊克己(やべ・かつみ)
アジを求めて日々全国(時には国外⁉)を駆けまわるアジング伝道師。寝るのは主に移動時間⁉ というハードスケジュールのなか健康を保つ秘訣は「たくさん食べること!」だとか。THIRTY FOUR(サーティフォー)代表。
0コメント