2025年3月、春の訪れと共にでかアジ捕獲の情報が各地で流れ盛り上がりをみせています。私がこの時期にでかアジを狙う上でよく通うフィールドとして、水深があることを念頭にポイント選定をしています。その理由は、深場が隣接する浅場は産卵を意識した大型のアジは、本人にとってラクに接岸でき効率よくベイトを捕食できるため、頻繁に回遊してくる可能性が高く好釣果が期待できるからです。今回は、ショアラインに深場が点在する四国の宇和海エリアへ釣行し、春先のでかアジに挑んで来ました。
釣り場の紹介
今回訪れた愛媛県の宇和海エリアは、急深な地形でありながら入り組んだ入江状となっており、ブリや真珠などの養殖業が盛んな地域で、通年アジがストックされているエリアです。そして、春の訪れと共に産卵を控えたグッドコンディションのアジがショアラインを回遊します。
私自身、各地へアジを求めて遠征をしますが、このエリアは魚影も濃く、アジングの聖地のひとつであると強く感じています。
宇和海エリアはアジングの聖地と言われるほどクオリティフィッシュが多いのが特徴です。地形、気候などさまざまな恵みが整っているからこそですね。
その恵まれた環境から、ブリなどの養殖業も盛んに行なわれています。
でかアジが釣れる条件や時期
時期に関しては、2月から5月頃が産卵を控えたアジが回遊しやすいシーズンと言えるでしょう。釣れる条件はその場所によってさまざまですが、キーポイントとなるのは、稚アユやボラの稚魚であるハク、シラスなどのマイクロベイトが大量に接岸したタイミング。このときはアジを狙う上で絶好のチャンスと言えます。地域によってはキビナゴの接岸がキーポイントとなることもあります。また、河川の流入するエリアでは潮の上げ、下げのどちらかに偏ることもあります。また、経験上ですが月周りも重要で、新月周りがよく釣れる傾向にあると考えています。地域差もありますので、通われるエリアでアジ釣りをしている方に情報を聞き、傾向を分析するのもアジングの醍醐味で1人勝ちするということも珍しくありません。
でかアジはヘビージグ単で狙え!
でかアジを釣る上で個人的にもっとも実績を出している釣り方が、いわゆる「ヘビージグ単」メソッドです。これは通常アジングで使用する1グラム前後のジグヘッドより遥かに重い、1.5グラムから4グラム程度までのジグヘッドを用いた釣り方です。このサイズにもなってくると、流れの速い場所や深場など、アジにとって居心地のいい、いわゆる1等地に陣取ることが多く、そのエリアに素早くリグを送り込みアプローチするのが得策です。そのために、沈みの速い重ためのジグヘッド(いわゆるヘビージグ単)が有効となることが多いのです。
特に春先のシーズンは、シラスやキビナゴなどの遊泳力の強いベイトを捕食していること多いため、素早い動きを演出できる重ためのジグヘッドが非常に有効なのです。
アベレージサイズの一段下に潜むでかアジは、豊富なベイトフィッシュをエサとしながら、幅広に育っていきます。
なぜヘビージグ単がマストなのか
過去にも、このでかアジを求め各地へ遠征を繰り返し、このメソッドに気付くまでは、軽量ジグヘッドを無理やり深場や流れの中に入れ込むためラインを細くしたり、フォール中の抵抗を小さくするため小型のワームを使用するなど、さまざまな工夫をしていました。しかし細いラインでは限界があり、掛けてもラインブレイクしたりシルエットが小さすぎてバイトしないなど、悔しい思いを何度も経験しました。
10数年前のある遠征のとき、例の如く目の前を高速で通過する良型のアジが回遊して来ました。軽量リグではアジのレンジに入らないほど潮が速く、苦戦していました。この状況にヤケになり重たいジグヘッドに交換したところ、1投目から良型アジがヒット。再び同じコースに同じリグを投げると再びヒット! なんと、そこから良型アジが入れ食い状態となったのです。それからはでかアジが釣れるシーズンは重たいジグヘッド単体の釣りを積極的に取り入れることで、安定した結果が出ることが分かり、このヘビージグ単が私のでかアジ釣りのメインメソッドとなりました。
この釣りのメリットは結果が出るまで早いことです。素早くさまざまなレンジを探れるため、アジが居るか居ないかを比較的早くサーチすることができます。この早いテンポで探ることで、春特有の短い時合に対応できます。さらに誰も攻めていない沖のレンジを探れます。キャロやフロートでも探れますが、ジグ単特有のダイレクトな操作感や感度はアドバンテージとなります。
デイのリアクションの釣りにも、このヘビージグ単は最適解。サイズは選び辛いが手返しがとにかくいいので快調です。
好調なスタートを切ったデイゲーム
今回釣行した宇和海エリアでも、深場が隣接した堤防をラン&ガンしてでかアジを狙います。日中の明るい時間からスタートし、ベイトの状況を把握した上で、本番となる夜を迎える予定で堤防を歩きまわります。
宇和海は透明度も高く、水深があっても海底がよく観察できます。偏光グラスを掛けて海を注意深く観察しながら歩き回ると、停泊している漁船の影からアジらしき魚がシラスを追いかけているのを発見します。
どうやらシェードが日中はキーポイントとなりそうです。2グラムのジグヘッドをフルキャストした先は水深が10メートル近くありそうで、しっかりとカウントを取らないと着底しませんが、丹念にボトム付近まで落としたあとは、ゆっくりとトレースします。リグが船影に差し掛かった瞬間にラインがスッと走り、アジ特有のバイトが出ます。まずは狙い通りアジをキャッチすることができました。その後も同様のメソッドでアジを連発することができデイアジングを堪能できましたが、でかアジを狙う私にとって少々物足りない結果でした。
ここ宇和海エリアをホームとする、高知在住の堀江フィールドアドバイザーとダブルヒット。日中はこのサイズが超爆モードでした。
炸裂のナイトゲーム
夜になり、今度はデイで釣れた堤防周辺の常夜灯周りを狙います。潮が下げ始め、日中よりも明らかに流れが速そうですが、表層ではアジらしき魚がライズしています。これはチャンスと1.5グラムのジグヘッドからスタートします。しかし、アジの活性が思っていた以上に高く、奪い合うようにリグに襲いかかってきているのか、フックアウトが連発してしまいます。そこでウエイトを倍の3グラムに変更すると、強い流れやアジの激しいバイトの中でもリグが安定し、しっかりとフッキングが決まります。水中でのリグの安定性がグっと増した感じですね。でかアジ特有の激しい抵抗を見せますが、こちらもでかアジが来ることを想定したタックルであるため、ファイトには余裕を持って対応できます。上がってきたのは尺超えの良型アジでした。その後も同様のメソッドで入れ食い状態を堪能します。まさしくアジングの聖地らしい釣れっぷりに大変満足した釣行となりました。
ナイトゲームではでかいアジが連発! 20センチ後半が小さく思えるほどの贅沢っぷり。この日は38センチまで揃いました。
ヘビージグ単で尺アジゲット動画はこちら⇓
でかアジの狙い方
ヘビージグ単というキーワードが聴き慣れない方には、敷居が高いように感じるかも知れません。しかし、やっていることは単純で、通常より重いジグヘッドを使用するだけのことです。ロッドアクションも通常のジグ単の釣りとさほど変わりません。
ただし、1グラム前後では簡単に表現できていたリグの浮遊感や一定レンジを水平移動させるなどのアクションは、リグが重いためコントロールする必要がありますが、下記の自然状況を味方に付けることでコントロールは可能となります。
①潮の流れ
潮の流れが無い状況では、やや早めにロッドをサビくかリリーングする必要があります。このような状況下では、ボトム付近以外で有効性は見出せないかも知れません。しかし、潮の流れが強い場所においては、ロッドを立てているだけで狙いのレンジにリグを漂わせることができます。これはアジのレンジにリグを留まらせる理想的な状況ですので、無敵状態となります。
②風
風が強いときはラインが勝手に風になびくので、リグのフォールスピードを強制的に落とすことができます。春時期は風が強く吹くことも多いため、風を味方に付けることができます。この風を利用して軽量ジグ単では長時間アプローチが困難なレンジに、長時間リグをトレースあるいは留めることができます。
③アジの活性
今回のようにアジの活性が非常に高いと、軽いリグでは弾かれて掛かり所が悪くフックアウトに繋がります。リグを安定させしっかりとフッキングさせるためリグを重くし、確実に掛けるということもできます。
これらのようにさまざまな状況を味方に付け、重いジグヘッドを思い通りにコントロールできれば軽量ジグ単以上の表現力を持たせることが可能となります。ここがヘビージグ単の面白さだと感じています。
その日の気候コンディションも味方につけることで、ヘビージグ単の釣りはより快適になります。
ボトム付近を狙っていたときにヒットしたガシラ。潮があまり利いてないときなどにもヒットしてくれる大切なターゲットです。
ヘビージグ単を容易にするタックル
ブラックスターエクストラチューンドS69LX-S(XESTA)
このモデルはヘビージグ単に特化したモデルです。最新素材のトレカ®︎T1100GやM 40X、さらにM 46Xまで採用し、耐久性と深場や激流でも安定したトレースを実現させるためのハリと粘りを持ち合わせたモデルです。そのため素振りするとかなりパッツン系のアクションのロッドに感じますが、現場で使用すると流れや風など自然状況に合わせて程度にティップが入り、リグの操作感と安定性を非常に高めたロッドです。
特筆すべきは、掛けてからのロッドのベンドカーブです。負荷が弱いときはファストテーパーですが、負荷が掛かるとベリーが曲がり始めます。このようなベンドカーブを描くブランクスは可変テーパーと呼ばれており、でかアジ特有の回転しながら抵抗してもロッド全体の復原力により、しっかりとプレッシャーを掛けてリフトしてくれます。さらに急激な突っ込みに対してベンドカーブが可変し曲がり込んでくれるため、ロッド角度を無理に変更せずともラインに余計な負担を与えることなく、安定したファイトを行なうことができます。まさにでかアジをキャッチするための要素をふんだんに注ぎ込んだロッドです。
洗練されたグリップデザインと、研ぎ澄まされた感度を備えたブランクスが、抜群の操作性と所有欲を満たしてくれる。
一瞬「パッツン系」と思われるほどシャキっとした仕上がりになったS69LX-S。ただし、ヘビージグ単リグをディープで操作するためにも、この張りは非常に大切。
ただし、魚を掛けると、しっかりとバットも曲がってくれます。これで主導権を渡さずに、なおアングラー優位で進められるのがこのアクションの特徴です。
リールチューニングによるアドバンテージ
今回使用したシマノ 22ステラ 1000SSPGは、IOSファクトリーにてフルチューニングを施しています。具体的には、ラインローラーにインパクト、ドラグにSシステムⅡを搭載し、さらにノブはプレミアムウッドノブに交換。これにより、感度と使用感が大幅に向上しました。
これまでアジングでは「ラインスラックを巻き取るだけだから、巻き感の向上は不要」と考えていました。ところが、レンジコントロールをロッドではなくリールの巻きで精密に行なえるようになり、従来のロッドによるサビキでは難しかった 長距離のトレースが格段に楽に。また、巻き取りのストレスが軽減されることで、巻きアワセを含めたフッキングの効率も向上しました。
IOSファクトリーはエリアトラウトの分野では非常にメジャーですが、実は代表の岡村氏は筋金入りのアジングフリーク。アジングに特化したチューニングにも精通しているため、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?
2BB仕様のラインローラー。ラインの撚れが劇的に改善でき、結果飛距離アップにつながる。
しっかりと指でつまめる形状になっており、質感もばっちりなプレミアム ウッドノブ(黒檀Aタイプ)。
わずかなテンションで作動し、止まってほしいときにしっかりと止まるシマノドラグシステム SシステムⅡ
リグはやっぱりヘビージグ単
今回は、リグの安定した水平姿勢を保ちやすいバレットリブヘッドの2グラムから3グラムが非常によい結果が出してくれました。ワームはシルエットをはっきりと見せることができる3インチクラスのサイズのワームがよく、小魚系のベイトが確認できるときはクイックなアクションを得意とするアジクローラーの3インチ、表層でライズしていたときや潮の流れが緩いときはテールのなびきがいちばんナチュラルなビロードスター3.25インチ、潮の流れが速いときは流れを受け流すアジングニードル3.2インチがぞれぞれ反応がよかった印象です。
2グラムオーバーの重ためのジグヘッドででかアジ攻略。
ワームのサイズ感が大切! 3インチクラスを揃えておこう!
ダートアクションを得意とし、日中の速い展開で有効。ベイトがシラスなど魚系のときに非常に有効。
【SPEC】
全長:3インチ/カラー:全16色/入数:6/価格(税別):400円
ビロードスター3.25インチ(XESTA)
「元祖なびき系」と名高いのがビロードスターです。テール側はこの「なびき」を最大限発揮できるギミックとなっています。
【SPEC】
全長:3.25インチ/カラー:全16色/入数:6/価格(税別):400円
アジングニードル3.2インチ(XESTA)
ロッド操作を抑えぎみで水中を漂わすことによって、くねくねとした曲線的な波動を生み出しアジにアピール。ねじりを入れることで絶妙な水押し効果を発揮してくれます。
【SPEC】
全長:3.2インチ/カラー:全16色/入数:6/価格(税別):400円
Profile
奥津 剛(おくつ・たけし)
大学院で研究していたプランクトン、海洋学の知識を活かしたリアルなタックル開発を目指す。ブラックスターシリーズの生みの親でもある。
instagram@okutsu_xesta_fishing
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