メバルとアジに限っても、各社から数え切れないほどのルアーが発売されている昨今。それゆえ、近年の釣りは「いつ何をどう使えばいいのか」が複雑化する傾向があるのも事実だ。「そのテーマならお任せください! 説明通りにすれば釣果もバッチリ、お土産確保は堅いです!」と名乗りを上げた、理論派アングラーの馬上憲太朗さんに、メバル&アジ狙いのルアーローテーション術を指南してもらおう‼
アジが釣れるロジック、そしてメバルが釣れるロジック。これらを理解すれば釣果アップは確実だ!?
まずはメバルとアジの大まかな習性をチェック
春の暖かさを実感できる時期になりました。メバルはそろそろアフターから回復し、水面や表層のプランクトンを活発に捕食するようになります。そしてアジは、水温が底を打ったいま、ベイトを追って沿岸に再接近しはじめています。
メバルとアジが同時に狙えるのは初冬、そして春から初夏にかけて。ライトリグアングラーにとって、これからの季節は1年でも特に楽しみでしょう。ただ、食性も習性も異なるため、これらをどのように釣り分けるかが悩ましいところ。
まずは場所について。メバルはストラクチャーや潮にタイトに着くのに対し、アジは砂地のオープンエリアを好む傾向があります。
お次は潮時。メバルは潮がガンガン流れているほうが活性が上がるけど、アジはさほど潮が速くなくともベイトを追い回すことが多くなります。
最後はルアー。メバルは比較的小さなシルエットを好むのに対し、経験上アジはあまり関係ないようにも思えます。おそらくはメバルのほうが偏食が激しいのでしょう。たとえばアミパターンではシルエットがわずかでも大きいとメバルはバイトが激減します。いっぽうアジは、同じアミパターンでも、長めのワームにもしっかり反応してくれます。それどころかワームの長さ+ボリュームを生かしてフォールスピードを遅くすると、より効果的であることも多くなります。
さあ、このようにメバルとアジの大まかな違いを踏まえたうえで、次からはそれぞれに有効なルアーローテ術を解説していきましょう。
月夜は総じてアジ&メバル狙いは難しい傾向となる。月が高く上がる前までに勝負を決めたい。
アジとメバルでは食い気が高まるタイミングが異なるという。その時を待て!
メバル狙いの必釣ローテアミを基本に戦略を組む
まずはメバル狙いのルアーローテについて。前述のとおり、メバルは偏食が激しいのが特徴。このため、ベイトパターンごとに群れを釣り分けることができます。
ただ、ここで意識してほしいのがアミの存在です。私が通う瀬戸内では、メバルは通年アミを捕食しています。つまり、まずアミパターンがベースにあり、そこに小イカだったり、バチをはじめとする多毛類だったり、イカナゴだったりが上乗せされるイメージです。この上乗せされたベイトパターンを予測しながらプランを組み立てるのが瀬戸内のメバルの基本的な攻略法です。
アミは、小魚ベイトのような大きな波動は生みません。そのため、私は通常、小さめのシルエット+微波動系ワームをパイロットとして使うことが多くなります。ただ、ここで思い出したいのがシーズナルパターン。時々の季節で接岸が見込まれるベイトがいれば、そちらを優先します。
たとえば、イカナゴが回っているときは、まず細長いシルエット+やや大きめのワームを使います。最初にイカナゴを偏食する群れを捉えられれば、高活性メバルを効率的に釣れるからです。これに反応がなければ、お次は当初のセオリー通りにアミ系のパイロットワームを投げて探っていく。さらにこれにもアタリがなければ、今度はリアクションの釣りも試していく。この場合はマイクロワインドリグのキビキビしたアクションで誘うことが多いですね。
最も確実に釣果をあげたいのであれば、ジグヘッドにワームをセットしたジグ単(ジグヘッド単体)リグがおすすめだ。
アジ狙いの必釣ローテ低速沈降にプラスして「間」を意識しよう
続いてはアジ狙い。アジ狙いにおいても、基本的なゲームプランはメバルと同じ。ベースとなるアミパターンのうえに、季節ごとのベイトパターンがトッピングされているイメージです。ただし、ここで思い出してほしいのは、先ほど説明したアジの食性です。アジはメバルほどにはルアーのシルエットに執着しない傾向があります。シルエットを気にするよりも、いかにしてワームをゆっくり沈めるかに注目したほうがアプローチ的なメリットが大きいでしょう。
そのため、アジ狙いでは2インチ前後のワームを基準にしています。ボリューム感のあるワームを使い、できるだけゆっくり沈めようというのがその狙いです。
それでも口を使わないときは、経験上アミを強烈に意識している場合が多いので、こんなときはメバル同様に小さなシルエットプラス微波動系ワームを使用します。さらには、思い切ってアピールの強いシャッドテールを試すのもあり。といっても、波動が強すぎると反応しないので、軟らかいマテリアルを用いた細身のシャッドテールがおすすめです。
なお、アジ狙いでもリアクションの釣りは効果的で、マイクロワインドで釣果が得られるケースもあります。なかでも朝夕のマヅメはその傾向が強くなります。メバル狙いとは異なり、食わせの間をできるだけ長く取るのがコツ。カーブフォールやスローリトリーブで魅せるアプローチを心がけましょう。
アジの活性が高いときなら大きめのワームでアピールして積極的な釣りが望ましい。
メバルとアジがいるときの釣り分ける方法は
同じポイントにメバルとアジの群れがいる場合、タイミングとレンジによっては、それらを釣り分けることは可能です。ただし、両方の魚が同じタイミングでボコボコ釣れることはまずないでしょうけど(もちろん、メバル狙いにアジが交じったり、その逆もありますが、どちらもが同じタイミングで連発することは少なくとも私は経験がありません)。
その理由は、アジとメバルは、食い気が高まるレンジと潮の流れのタイミングが違うから。メバルは速い潮の流れを好みます。流れが速いと、反転流や湧き潮ができて流れが複雑になり、魚の着き場(位置)やレンジがコロコロ変わります。いっぽう、アジは一定の速度で、潮の動きが安定しているときのほうが反応がいいです。
よって、潮の当たり方がコロコロ変わる状況ではメバルを狙い、潮の流れが落ち着いてきたら、ポツポツとアジが顔を見せはじめるので、そうなったらアジ狙いにシフトすれば、どちらの魚も効率的に狙えます。
また、メバルは表層からボトムまでほぼ全レンジを探る必要があるのに対し、アジは中層からボトムまでを中心に探ります。どのレンジでどの魚がよく反応するかで、リグやワームをアジャストするといいでしょう。なお、メバルはサブサーフェスの釣りで釣果を得やすいのも特徴です。ライズが頻繁にある状況では、プラグでサブサーフェス(水面直下から表層にかけて)を重点的に狙うのもおすすめです。
両魚種を狙い分ける技術がついてくれば、お土産確保は保証されたようなものです!
常夜灯まわりではアジもメバルも若干浮き気味。横と縦の明暗をそれぞれ意識したコース&レンジ攻略を試みよう。
着くポイントもアジとメバルは違う。居着く場所の特徴がわかれば、魚種の釣り分けが可能だ。
表層デッドスローに反応したメバル。ルアーはリトルマジック(アクアウェーブ)。
メバリングに有効なルアーの特徴
メバル狙いでは、微波動+小さなシルエットを持つものが効果的。ただ、実際の現場では(潮流や天候の影響で)ワームのアピール不足を実感することもしばしば。そのため、ストレートだけでなく、リブの深いもの、シャッドテールなども用意しておき、シルエットや波動を変えながら当日のヒットルアーを見つけましょう。なお、ライズが出ているときは、ハードプラグがあると効率的に釣れるほか、日中はリアクションバイトが誘えるマイクロワインドリグも有効になります。
釣り友の中江さんはプラグでメバル連発!
しぶちゃんこと澁川さんも絶好調。ヒットルアーはA.W.ロックヘッドとリグルシャッド(GFクリアーピンク)の組み合わせだ。
アジングに有効なルアーの特徴
2インチ前後の細長いシルエットのワームが定番です。アジ狙いでは、波動(水押し効果+振動)が強すぎないほうがいいので、パイロットルアーにはシンプルなストレートワームがおすすめ。アジがルアーを吸い込むとき、その小さな口に折れ曲がるようにしてワームが入ることが多いため、マテリアルはできるだけ軟らかい(=曲がる)ほうがフッキングしやすいです。また、ワーム表面のリブが深いと水の抵抗が増すので、カーブフォールやステイなどのスローな演出がしやすくなります。
瀬戸内で意識すべきベイトは、泳力の弱い、もしくなないアミ。まずは季節のベイトを意識して釣りを組み立て、それで反応がなければ基本のアミパターンなどを試してみよう。釣りが合えば連発もある。
フラップイール(シラスグロー)で釣ったアジ。アジングにおいて、2インチ前後のスリムワームは、サーチから食わせまでを1つでこなせる超オールラウンダーなのだ(フラップイールは全長2.2インチ)。
馬上セレクト!
アジ&メバルルアー おすすめ10選!
ワーム編
アジピンピン(アクアウェーブ)
パドルテール搭載スリムワーム。ストレート型より波動を出やすいのが特徴。ロッドワークを入れれば、艶めかしいアクションを簡単に演出できる。
アジメバ釣り分け動画はこちら⇓
スーパージャコ(アクアウェーブ)
全長38ミリのボディで自重3.1グラムのシンキングペンシル。ファットなボディはイカパターンで威力を発揮。表層のスローリトリーブで使いたい。
メバリング&アジングに完全対応
メバルにもアジにも使えるルアーには、1.5インチ前後のシルエットの小さめのワームを推したいです。というのも、瀬戸内ではメバルもアジもアミパターンがベースであるため、このサイズのワームはマッチ・ザ・ベイトさせやすいのです。アミを想定した釣りなので、波動はもちろん弱めがおすすめ。なかでもピンテール系やストレート系が扱いやすいです。マテリアルは、適度に張りのあるもののほうがロッドワークでダートさせやすく、釣り場の状況や魚の状態を問わず幅広く使えるはずです。
アミパターンでは、メバルもアジもセレクティブ。しかし魚が好むルアーを投げ、適切な誘いを繰り出せば、どんな状況でも確実にバイトが引き出せるはず。馬上流ルアーローテをマスターせよ‼
手持ちのルアーが多ければ、現場でできること、試せることが増える。ある程度ルアーがそろってきたら、お次はカラーを増やしたい。そうすれば、さらなる微調整が可能になるのだ。
Profile
馬上憲太朗(ばじょう・けんたろう)
広島・山口の瀬戸内海側をホームとするライトゲームエキスパート。メバル・アジメインに季節の対象魚と遊ぶ日々。ポイント開拓と釣技向上が日課。
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