気まぐれなアジは、いつでもよく釣れるとは限らない。「あくまでアジをメインに据えつつも、渋いようならメバルやカサゴも狙う、欲張り五目がおすすめです!」と語るのは「トミー」の愛称でおなじみの富永敦さん。ちょうどアジが渋い日に当たってしまった、今回の釣行。トミー流・五目戦術に要注目!
アジをメインに狙いつつ、その時釣れる魚を狙っていく五目スタイルがおもしろい!
下見の重要性
今回の釣行は、明るい時間の下見からスタートしました。デイの時間から下見をすることで、意外な発見や見落としていた要素を知ることも、よくあるからです。
アジは、群れで行動している魚です。こういった群れは、昼間は港内の船の下や魚礁、深場やボトム付近に定位したり、あるいは回遊していたりと、時期やエリアによって、さまざまな行動パターンを見せます。ただいずれの場合も食性は荒く、アミエビなどのプランクトンを中心に稚魚、多毛類と雑多なエサを捕食していることは共通しています。こういったアジがエサを食うであろう場所を下見し、ナイトゲームに備えることも、非常に大切です。
下見で得た情報をもとに、夕方の時合いに向け、明るい時間から狙ったポイントに入ります、港内に風が吹くなか太陽が傾きはじめ、いかにも食いそうな雰囲気です。
アジスタ! 1.3グラムをフルキャストし、フリーで一気にボトムまで送り込んだのち、ボトム付近の潮の強いレンジを探っていきます。手前のカケアガリ付近にあるウイードを感じながら、手前までしっかり引きます。数投広範囲を探り、反応がなければ、表層から順に下げていって反応を待ちます。
こうして港内の角を探っていくと、コンッという急なアタリを、極細ソリッドがとらえました。いきなり25センチ近いアジが顔を見せます。
その後もしっかりバイトが続きますが、なかなか乗せられません。やっとガツンとバイトしてきたと思ったら、なんとメッキ、元気なファイトで盛り上げてくれました。さらにそのあとはメバルと、夕マヅメらしい多くのヒットに恵まれました。
同じ場所から同じコースではなく、扇状に広く探ること。また魚がいるポイントを足で探すこと。これで、魚からの反応が大いに得られた夕マヅメでした。アジ以外のほうがたくさん釣れたんですけどね!
日中でもしっかりとポイントを狙えればアジは釣れる。そのためにも下見はしておこう。
ショートロッドの強み!
日が完全に落ちたあとは、昼間に2インチほどのベイトを多く目撃した、港内の常夜灯周りを狙います。表層には小さいアジのライズが出ますが、その周りにはシーバス、タチウオ、アオリイカとアジの天敵だらけ。ヒットしそうなのもシーバスやタチウオばかりで、とてもアジは狙えません。ということで、早急にポイント移動となります。
次に選んだのは、水深の変化が大きく、常夜灯が明暗を作った、外洋に面したポイント。ここもシーバス、タチウオが見えますが、明暗の境目付近をうろうろするだけで、明るい部分ではアジが安心してライズしているようでした。
リグはアジスタ! 1グラムにギョピン! 1.7インチを選択。これで表層付近をスーッと流し、常夜灯下にゆっくり入れると、コンっとバイトがありました。
ここで、スラムUTR-55 FS-T2の、ショートロッドならではのメリットが発揮されます。軽量のリグでもしっかり振り切って遠くへ飛ばせること、そして情報伝達の早さを生かして素早い掛けへ結びつけられること、この2点のメリットが、釣り人に優位性を与えてくれるのです。
港内の流れがさらに強くなるにつれ、アジはさらに常夜灯近くへ集まり、ショートロッド+軽量ジグヘッドによるリグでのしっかりとした操作に、よく反応してくれました。こんな具合にこのポイントでは、アジの数釣りを楽しむことができました。
ラン&ガンスタイルで活躍するショートレングスのロッド。それにあわせるその他のタックルも、よりライトな仕様がおすすめ。
アジが居ないのなら居る魚を狙う!
アジを探してポイントをうろうろしますが、なかなかアジからの反応がない時間が続きます。そのいっぽうで、常夜灯付近には多くのメバルの姿が見えました。
メバルは適水温になると、浅場のウイードが多いエリアに差してきます。特にベイトが集まる場所や、水温の安定した場所によくいます。なにより潮が動くかどうか、これでメバルの居場所と釣れるポイントは決まります。
潮が動く場所、潮がぶつかる場所には、ベイトとなる稚魚や浮遊するプランクトンなどが集まりやすくなります。同じ漁港内でも、より潮が動くところ、常夜灯などほかの要因も多い場所に、メバルは集まって定着し、ときには水面まで浮いてきます。
うまい具合に、この条件に合うポイントが見つかりました。キャスト後、風を使ってリグをドリフトさせながら、ライズが見える流れに運んでいくと……コツ! とメバルからの反応。サイズはともかく、この突っ込むような引きは、何度味わってクセになります。
と、こんな感じでメバルを釣っていると、ゴン! という明確なバイトがありました。フッキング後に首を振る感覚は、まぎれもなくメバル、しかもなかなかのサイズです。まだ捕食が十分ではないのか、腹まわりは太くはありませんが、このまま水温が安定してベイトの接岸が始まれば、本格的なシーズンインも近いことでしょう。表層付近でメバルを釣ったのち、ボトム付近ではカサゴと、飽きないペースで、このあともヒットが連発しました。「臨機応変」これが五目釣りの極意です。
今の時間帯はアジはお留守。そんなときはカマスが釣れたり、ボトム付近ではカサゴが遊んでくれたりと。アジだけにこだわらず日中は楽しんだもの勝ちだ!
五目へとシフトできる体制作り
近年いろいろな釣り物が増え、それぞれを楽しむ釣り人も増えてきました。なかでもシンプルな道具と仕掛けで手軽に楽しめるライトゲームの人気は図抜けています。もちろん自分も、その魅力にひかれている釣り人のひとりです。
このライトゲームの楽しさは、ズバリ手軽さ! 仕事帰りなどのちょっとした時間、近くの港内など手軽な場所で、だれでも釣りを楽しめることにあります。時期や時間帯を選ばず四季折々の魚が釣れるいっぽうで、ときには思わぬ大物・希少魚・高級魚までもが顔を見せてくれることもあります。タックルもライトなロッド、そしてラインも細いため、魚とのやり取りもハラハラドキドキ。
これから狙い目となるのは、アジやメバル、カサゴといった、ライトゲームでも特に人気のある魚です。アジやメバルも、大きいものでは30センチを超えるサイズも狙えることもあります。
ポイントは、港内の常夜灯周りや、潮通しのいい堤防の先端。ライトなロッドにジグヘッドにワームという簡単なタックルで狙えるので、ライトゲーム初心者の方にもおすすめです。また同じタックルで底近くを狙うことで、メバルやカサゴといった根魚も狙えますよ。まずはライトタックルとジグ単リグを手に、キャストを始めてみてください!
夜は夜で釣れる魚がいる。アジはもちろんタチウオなんかも港内に入ってくるぞ。
トミー敦のアジング五目の楽しみ方動画はこちら⇓
探り方の基本❶
レンジのチェック方法
ポイントにもよりますが、1.0グラムのジグヘッド単体リグでカウントを取って水深や流れを見つつ、まずボトムを探るといいでしょう。ここで得られた情報から当日の状況を判断し、ゲームを組み立てていきます。
最初は表層、次に中層と5カウントずつレンジを下げ、反応を見ていきます。ここで最も反応のよかったレンジに合わせ、ジグヘッドのウエイトを上げるのか下げるのか、その日の基本となるリグを決めていきます。
ロッドティップを水面に近づけ、ラインを極力空中にさらさないようにすることで、より確実なレンジの計算とキープができるようになる
アジング五目ポイント
下見の重要性
前述したとおり、明るい時間でのポイント下見はとても重要です。特に普段行き慣れていない、あるいは状況の変化があったポイントなどでは、ポイント全体の風景や地形、ベイトが着きそうな場所を明るいうちに見ておくことで、その情報が暗くなったあとに大いに生かされます。
下見といってもただ歩くのではなく、可能なかぎりタックルを持ち歩き、ラン&ガンで探ってみましょう。コンパクトなバッカンやバッグに荷物をまとめ、シンプルなタックルで機動力を最優先にしておくと、下見もラン&ガンもスムーズにこなせます。
荷物は極力コンパクトにまとめ、足で稼いで情報収集。
気になった場所があったら、ためらわずサオを出してみよう。
アジは実は昼行性、つまり明るいうちのほうが活発にエサを追う魚だが、昼間はルアーの届かない沖や深場に潜んでいることが多い。逆にいえば、アジがいるところにリグを通すことができれば、昼間のほうが釣れるということだ!
じゃあなんでアジングは夜が主流なのかというと、夜になると岸近くまでアジが寄ってくることが多いためだ。明るい港内であれば、昼と変わらない活性でエサを追い回す。
探り方の基本❷
レンジのチェック方法
ポイントにもよりますが、1.0グラムのジグヘッド単体リグでカウントを取って水深や流れを見つつ、まずボトムを探るといいでしょう。ここで得られた情報から当日の状況を判断し、ゲームを組み立てていきます。
最初は表層、次に中層と5カウントずつレンジを下げ、反応を見ていきす。ここで最も反応のよかったレンジに合わせ、ジグヘッドのウエイトを上げるのか下げるのか、その日の基本となるリグを決めていきます。
巻き始め・止めた直後といった動きのある瞬間を、アジは狙っている。
視認性の高いラインを使うと、水中の情報を視覚でも収集できるようになる。
人気魚種釣り分け術
上から順にメバル・アジ・カサゴ
サイズにもよりますが、表層からメバル、アジ、カサゴと順に棲み分けとなっているケースが多いです。よってメバルが表層にいる場合にアジを釣りたい場合は、リグをいっきに中層より下へ沈め、メバルの反応するレンジから離れさせるといいでしょう。カサゴを狙う場合は、底付近や堤防沿いなど、ストラクチャーになりそうなものの近くを流します。逆にアジ狙いでカサゴが釣れてくる場合は、そのレンジでは低すぎると判断することもできます。
メバル狙いなら表層付近が有望。浮いている様子もよく見受けられる。
本命ゲット! 適切なレンジを通すことができれば、このようにガッツリとフッキングしてくる。
今度はカサゴが先にきた。うーん、これは沈めすぎたかな?
使用タックル解説
ショートロッドにジグ単の組み合わせ
今回使ったタックルは、スラムUTR-55 FS-T2。5フィート5インチのショートレングスで操作性抜群、「手元への情報が伝わるショートロッド」をコンセプトに開発した一本です。極細なソリッドティップで軽量なジグヘッドを操作でき、小さいアジから大型のアジまで掛けて楽しめるロッドです。
ラインシステムは、エステルライン・ジャックブライト0.3号にリーダー0.6号を選択。リグはアジスタ! にギョピン! やアジボッコ、ブリリアント2.5と、やや大型のワームを使ったジグヘッド単体リグで、小型アジのアタリを避けつつ、高活性時の大型アジへのアピールを期待しました。
スラムUTR-55 FS-T2(ティクト)
アジのサイズや食い気に応じてフックサイズを使い分けることも大切(写真左はMのオープンゲイプ、右はSSのネムリ仕様)。
フックに合わせたように反ったボディが特徴。
バッカン感覚で無造作に小物やルアーを放り込んでおけるタックルバッグ。これひとつで、アジングに必要なものをまとめて持ち運べる。
Profile
富永 敦(とみなが・あつし)
愛称は「トミー敦」。富山県出身、大阪市在住。1984年生まれ。幼少のころ、近所の海辺で出会ったウキフカセ釣りに魅了されたのをきっかけに、渓流のトラウトからソルトルアーまで幅広く釣りを嗜む。TICT開発、広報を担当。TVや雑誌取材で全国を走りまわり、アジングやメバリングなどのライトゲームを中心に、その魅力を啓蒙中。
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