いよいよシーズンは本格的な春の陽気へと突入し、日中でも良型アジの数釣りが楽しめるようになってきた。そして釣り場にはたくさんのアジンガーが勢揃い。「この時期は釣り人が多く、アジはスレ傾向。そんななかで釣果を導き出すには、アジの着き場を確実に探り当てることが大切です」と話す萩原徹さん。今回は萩原さんにとって初場所となる東北エリアでのデイアジング攻略を、実践解説していただきました。
デイアジの魅力と成立する条件
今回は、私にとって初めてのエリアとなる東北でアジングを楽しんできた。東北エリアといえば、比較的暖かい時期に、豆アジから尺クラスまでが釣れるといわれている。また、沿岸部の地形がアジが好む入り組んだリアス式海岸となっていて、一度アジが入り込むとなかなか群れが抜けないという絶好のシチュエーションも、あちこちにそろっている。
事前に聞いた情報では「日中にグッドサイズのアジが釣れている!」といった、なんともワクワクしてしまう内容だった。これは行くしかないな! ということで、いざ東北へ向かうことにした。
日頃の行ないのせいなのか、撮影当日は厳しい寒さのながでの実釣となった。そして釣り場に着き辺りを見回すと……ん? 釣り人がほぼいないのである。事前情報では「どこも人が多くてポイントに入れないかも? だけどうまく入れれば難なく釣れるよ」というものだったのだが、なにかがおかしい……。ここで、釣りをしていた数少ない地元のエサ釣り師に状況を聞くと「先週までは凄かったぞ~」っと。まさに釣りアルアルの「ちょっと前までは」パターンだ。
しかし、せっかくここまで来たからには、このまま手ぶらで帰るわけにもいかない。ということで気を取り直し、少しでもアジがいそうなポイントを見て回ることにした。
今アジングで最も注目されているエリアが東北だろう。
初場所攻略でやっておきたいこと
初めてのポイントで、なおかつデイアジングの場合、なにを目安にポイントを絞り込んでいくのか。その要点を3つほど紹介しよう。
まず最優先したいのが、潮通しがいい場所を探すことだ。なぜ潮通しがいいポイントを最初に確認するのか? それはベイトの有無や種類など、そのエリアの「今」を確認するのに最適だからだ。
次に、釣りをしている人から最新の情報を聞くことだ。これを侮るなかれ! その日の釣果を決定づけてしまうといってもいいほど、初場所などでは大切なポイントである。実際に今回の撮影時も、地元のエサ釣り師の方々と話をさせていただき、各ポイントで情報交換ができたことで、非常に内容の濃いものにすることができた。
最後に、入ったポイントでは必ずストラクチャー周辺を確認することだ。デイゲームの場合は、回遊個体よりも、ストラクチャーに居着いているアジの方が反応しやすいからである。さらに居着きのアジは、ある程度の群れで固まっていることが多いため、その群れさえ見つけてしまえば、日中でもわりとたやすく反応させやすいのである。
以上のことを踏まえ、潮通しがいいポイントのストラクチャーは、とにかくきっちりと攻略するようにしてもらいたい。
具体的なポイントとしては、消波ブロック周りだ。ただし、消波ブロックならどこでもいいわけではない。しっかりと潮が当たっていて、流れのヨレが起きているポイントを見つけ、そのヨレの端々を丁寧にチェックするといいだろう。
このとき、目視ではアジが見えなくても、消波ブロックの隙間に身を潜めていたり、海中に沈んでいる消波ブロックの切れ目付近に定位していることがあるので、諦めずにきっちりと攻略してみよう。
デイならではの現場リサーチがのちのちの釣果に影響する。
初場所での立ち回り
ここからは、撮影当日の具体的な立ち回りを説明していこう。
最初に入ったポイントは、事前情報でも良型のアジが釣れているという小規模な漁港だ。期待を込めてたどり着いたのだが、堤防先端で釣りをしている方はいるものの、状況は芳しくない様子だ。話をうかがうと、やはり、今日はなんの反応もないとのこと。それでも、前情報の手前、気になるエリアだけはチェックしてみることにした。
この港は全体的に水深が浅く、小メバル以外の反応がない。ここでアジングはないな! とすぐに見切り、移動を決断した。その場にいた時間は1時間弱だろう。
次に向かったのは、小さな漁港がいくつか入り組んでいるポイントだった。一度でもアジが入れば、少しくらいは残っていそうな気配だ。さっそく潮流の変化するポイントを丁寧に撃ってみると、ここでようやくアジを発見! ファーストフィッシュとなった。少しは群れで居残っているかも! ということで、すぐに同じエリアにキャストをするが、このあとは一切アジからの反応はなかった。これは完全に「たまたまパターン」で、運がよかっただけだろう。次の回遊まで粘るほどのポテンシャルではないと判断し、ここもまた見切ることにした。
次に入ったポイントは、今回釣りをしたなかでは最も規模の大きい漁港だ。水深もありそうだが、大場所が多いため、港内の奥から様子を見る。足元にしっかりとした影が形成されているようだ。
さっそくこの足元の影に、ゆっくりとリグを沈めていく。するとすぐに反応が出る。心地よいバイトで上がってきたのは、20センチ程度のアジだった。撮影を手早く済ませ、すぐさまキャストをすると、同サイズのアジをキャッチすることに成功! しかし、その後は続かず……。どこも散発だ。
この対面には、釣り人がずらりと並んでいた。意を決して、ここで夕マヅメまで粘ることとした。
爆釣デイアジング!
運よく入れる場所があったので、両脇のエサ釣り師にあいさつをして、釣りをすることにした。
お隣の方もアジ狙いで、これからきっとアジが回ってくるよと、このポイントの状況を教えてもらいつつ、最近の状況などを談笑しながら釣りしていると、早速、そのエサ釣りの方がアジをヒット。すかさずアジが掛かっているサビキの位置を確認すると、ボトムではなく上のほうに掛かっている。
これを参考に、探るレンジはボトムより上の中層付近と判断、そこからアクションを入れはじめ探っていくと、すんなりとアジがヒット。隣のエサ釣り師が釣り上げたアジから、貴重な情報を手に入れることができたというわけだ。
ヒットレンジは中層からちょっと下だったので、次のキャストでも同じレンジを狙う。するとすぐに同じカウントでヒットし、その後も連続ヒットを存分に楽しむことができた。
今回のように、アジの数が少ないと思われる状況では、無駄な粘りをしてしまうと、アジに出会えるタイミングを逃してしまうリスクがある。バイトがない場合は早めに見切りをつけて、ラン&ガンすることをおすすめする。足で稼いだぶんだけ答えに近づけると思うので、ぜひやってみていただきたい。
ポイントとレンジがわかれば爆釣モードに突入した。
サイズは思ったよりも小ぶりだが、初場所でアジを見つけた歓びは大きい。
デイアジのレンジ攻略
デイゲームでは、中層以下にアジが潜んでいることが多い。そのため、まずはボトムレンジから探り、アタリが出なければ、徐々にレンジを上げていくように探る。とにかく効率を重視して手早く探ることが大切だ。
一方、今回の釣り場のようにエサ釣り師の間で釣りをする場合などでは、アジが多少浮いていてボトムから少し上でエサを捕食している傾向が多いので、しっかりとアタリが出るレンジを探るようにしよう。
日中のアジは基本的にはボトム周辺にいるので、まずはボトムを意識して攻略していこう。
ジグヘッドのウエイトも、釣り場の水深、潮の流れの速さなどを考慮して、確実にボトムを感じ取れるものを選ぼう。
ゲストが多いときは沖目を狙え⁉
アジングにおいて厄介な相手といえば、言わずと知れた「フグ」。手前の表層にフグが多いような場合、その下にいくらアジがいたとしても、アジのレンジに到達するまえに、速攻でワームを食いちぎられてしまう。
そんなときは、少し重めのリグをセットして、フグをかわせる沖にキャスト。着水点でフリーフォールでしっかりと沈めてから手前に引いてくれば、フグを回避することができるようになる。それでもやられる場合は即移動だ!
この日はメバルやフグ以外にも、小さなサバの回遊も多かった。
アタリをほとんど出さずにワームだけを食いちぎっていく、悩めるゲストの「フグ」。アジングでは、このフグ対策も忘れずに!
そしてしっかりと攻略すればご覧のアジが出現してくれる!
岸壁のシェード狙いは斜めにキャスト
サビキ釣り師がノベ竿を使い、足元からアジを釣っているのを皆さんも見たことがあると思う。護岸沿いのシェードをアジが回遊しているため、リールなしの足元の釣りでも成立するのだ。
この足元のシェードをアジングで狙う場合は、少しだけでもいいので横方向にキャストして、シェードと並行気味に誘ってみよう。これでより広範囲を探れるため、ヒット率がアップする。
シェードを長く引いてこられる位置に立つことも重要だ。
なんだかんだ夕マヅメまで楽しんじゃいました。
チビバーニーのリアクション気味の誘いで狙う。
日中はルアーを見切られやすいので、ワームをローテーションして、飽きさせないようにしょう。
ワームのシルエット・波動も重要
日中はリアクションで狙うのが吉となることが多い。
デイゲームでは、ワームのシルエットと波動で、アジの反応が大きく変わることが多い。
今回はチビバーニーとピピンが活躍してくれた。チビバーニーはシルエットが小さく、大きな波動でのアピールから、食わせに特化した微波動でナチュラルな誘いまで演出できるので、サーチで使うのに最適となっている。その中で、微波動なアクションに反応しはじめたら、ピピンの出番となる。
アジが回遊してきて連発するタイミングもあった。
足元は意外にサオ抜けとなっていることが多いので、しっかりと攻略していこう。
初場所攻略のアジングタックル
とにもかくにも、アジからの反応を感じ取ることができる感度を有したロッドが必要だ。
また、潮の流れがなどの小さな変化をとらえきれないと、アジの居場所を見逃してしまう場合もある。この感度こそ正義である。
近距離をテンポよくラン&ガンするシーンが多いので、取り回しのよさを考え、5フィート台と短めのレングスが扱いやすいだろう。
超軽量&超高感度を誇るリアクト 55(テトラワークス)
●参考タックル
ロッド:テトラワークス リアクト 55
リール:ダイワ 22イグジスト LT-2000P
ライン:東レ・モノフィラメント ソルトライン®️スーパーライトポリエステル 0.2号
リーダー:東レ・モノフィラメント ショクリーダー スムーズロック®️ プラス 4ポンド
Profile
萩原 徹(はぎはら・とおる)
誰よりも豆アジを釣る(狙う)ことに生き甲斐を感じている、自他ともに認める「豆アジ愛好家」。小さいサイズ狙いのマイスターかとおもいきや、オフショアでは日本記録級のアジを狙ったり、マダイや青物のでかいターゲットを狙う、DUOテトラワークス責任者。
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