メバリングプラグ! 〜日本海の激戦区で培われたノウハウが凝縮〜

妥協を許さぬ長期におよぶテスト期間を経て、このたび待望のリリースとなるメバリング用プラグ「ビッグヒップ」。その使い方、さらにはタイプごとの使い分け方など、プロデューサー飛田俊一郎さんが徹底解説!


HBホバリングの出しどころ

 今回ビッグヒップはフローティング、スローシンキングと2種類のモデルが発売されます。大きなお尻が特徴のビッグヒップですが、そのお尻が描く弾丸状のフォルムは抜群の遠投性を有し、より遠くのメバルまで狙い撃つことができます。得意なレンジは水面から20〜30㎝、アクションはふらつくような緩いウォブリングです。

 もともとは表層に流れるアミ類を意識して作ってきましたが、試行錯誤するうちに子イカや稚アユ、クルクルバチといった幅広いベイトパターンに対応できることがわかりました。

 アミのようなベイトは遊泳力が弱く、潮に乗せられるように動きます。ゆえに流れをとらえることが、メバルの釣果を左右します。そしてその流れをとらえるセンサーの役割を担うのが、ビッグヒップの特徴である大きなお尻なのです。潮が効いているところでは、このお尻が適度な水押しを生み出して情報を伝えてくれます。またこの水押しは、メバルを表層まで浮かせる誘いにもなります。

 得意なポイントは水深1〜3mまでのシャロー帯です。ポイントについたら、まずいろんな方向に投げて、広くポイントの潮の状況を探りましょう。


赤い瞳が目印の基本モデル

TICT ビッグヒップ60 HB(ホバリング)

【SPEC】
品番:BIG-HIP60 HB/全長:60㎜/重量:4.0g/タイプ:SlowSinking/価格:1320円(税込)

立山連峰を望む富山湾がビッグヒップ生誕の地。山々から供給される豊富な水と栄養、穏やかなのに急深な独特の地形などに恵まれた富山湾でのメバリングをより楽しむためのプラグがほしい! そんな願いから生まれたのがビッグヒップだ。




KBFキックバック フローティングの出しどころ


 HBのテスト中、その派生モデルとして生まれたのがKBFです。ボディ形状も狙うレンジもほとんど同じですが、浮力が強く、アクションも水押しの強いウォブリングになる点が違います。

 海のコンディションがよく、メバルの活性が高いときはどちらでも差がなく釣れますが、海が静かすぎるときはKBFでじっくり水を押して誘ったほうが、メバルのバイトが増える傾向があります。

 くわえて水もクリアな場合は、プラグではボディの存在感が仇となることもありますが、そんなときはリーリングを止め、KBFを浮かべっぱなしにして誘うといいでしょう。ボディの上半分は水面に出るため水中のルアーの存在感が薄まり、その結果バイトが深くなることも結構あります。

 また複数人で釣行する場合は、一方がHB、もう一方がKBFとルアーを分けて潮を探すといいでしょう。同じビッグヒップですが、状況によって釣果がどちらかに偏ることもしばしばあります。潮を探しながら、当たりルアーを見つけるのが理想的な展開です。

 次々と打ち手を変え、魚を探すのがメバルゲームの醍醐味。どちらにも当たらない状況のときは、すぐにビッグヒップを見切って次の展開に移るという選択肢も用意しておいてください。


静かに誘う青い瞳のテクニシャン

TICT ビッグヒップ60 KBF(キックバックフローティング)

【SPEC】
品番:BIG-HIP60 KBF/全長:60㎜/重量:3.5g/タイプ:Floating/価格:1320円(税込)




ビッグヒップ開発の経緯


 いよいよ僕たちが長い年月をかけて作ってきたメバルルアー「ビッグヒップ」を、みなさまにお届けできることになりました。

 開発開始から数年、なんの知識もない僕たちが、仲間内で「北陸富山で一年通して使えるプラグを作りたい」と3Dプリンターで始めたルアー作りは、続けていくうちに「ビッグヒッププロジェクト」という本格的なものになっていました。

 そんなプロジェクトを面白がってくださる全国のメバルフリークたちにルアーをテストしてもらったところ、全国でも十分通用することがわかりました。その結果とビッグヒップの発売を望む皆さんの熱量を持って、インジェクション化をTICTにお願いすることになったわけです。そしてプラスチック製ビッグヒップの共同開発をスタートすることになりました。

 コンセプトは、①圧倒的な飛距離 ②表層攻略 ③釣れる潮を探す。この3つです。これらを柱として、シャロー攻略に特化したプラグを目指し、ブラッシュアップを進めます。妥協を許さずルアーと向き合い続けた結果、時間はかかりましたが、自分たちの納得する製品版ビッグヒップが完成しました。どうぞご期待ください!

3Dプリンターを駆使しながら徐々にブラッシュアップしていきます。



こんなタックルを組み合わせよう!

余裕のパワーでゲストもまとめて招待だ

 私がホームグラウンドとしている日本海・富山湾のホタルイカパターンでは、釣れるメバルのサイズが大きく、またメバル以外の大型魚がヒットしてくることもよくあります。したがって、あまりフィネス寄りにバランス設定してしまうと、あっという間にラインブレイクなんてことになりかねません。フィネスといえるかどうかぎりぎりの、PE0.4号+リーダー1.75号前後というやや強めのバランスがオススメです。


これから多くなる大型メバル、シーバスなどの豪華ゲストも余裕で寄せるパワー。



アイスキューブ710 プラッギンシェイプのような、プラグ対応のやや強めのロッドと相性がいい。

●参考タックル
〈ロッド〉TICT IC-710TPS アイスキューブ710プラッギンシェイプ
〈リール〉シマノ 22ステラ 2500HGS
〈ライン〉TICT シンキングPE ライム0.4号
〈リーダー〉TICT ボルドーレッドⅡ 1.75号





HBホバリングのここがすごい!

止めてよし、動かしてよし!どっちも釣れる

 HBホバリング一番の武器は、潮の流れの一番いい場所にルアーを留めておけるところです。メバルは効率よく捕食するため、より多くのエサが流れてくる潮に乗りますが、その潮のなかにピタリとホバリングさせてメバルを誘います。

 また、ルアーが潮を受けた波動もメバルへの誘いとなるので、抵抗感を頼りに潮のなかをスローなストップ&ゴーで探すのも効果的です。止めるときも動かすときも、潮の動き始めや止まる寸前などの変化点で、メバルの食いが立つタイミングがよく訪れます。そんな変化を、HBホバリングが伝えてくれる抵抗感でとらえるといいでしょう。



KBFキックバックフローティングのここがすごい!

クルクルバチパターンの特効薬

 北陸富山ではクルクルバチがベイトになる時期がありますが、今までは、メタボブリリアント1.5gのリフト&フォールで対応していました。しかしあるとき、ビッグヒップの速巻きでも釣れることを発見したのです。おそらくクルクルバチが放つ不規則な波動と、ビッグヒップKBFの動きが破綻しかかっているときの波動がよく似ているからだと思います。驚くほど速いリーリングでも難なくバイトしてくるので、シーズン終盤の夏前などに試してほしいと思います。




ビッグヒップのカラーコンセプト

今後の展開を乞うご期待

 いよいよ発売となるビッグヒップですが、今回のスターティングカラーはシンプルかつ釣れ筋なカラーをそろえました。これからの展開としましては、特にカラー開発に力を入れてプロジェクトを進めていこうと思っています。これからの新企画、ビッグヒップカラープロジェクトにもご期待ください。

TICTとの共同開発により、ケイムラや夜光といった下地カラーを仕込んだ製品版もできた。

このパッケージをショップで見かけたら要チェックだ。



ビッグヒップの使い方

タダ巻き? いいえほっとけです! 入れておけば釣れちゃうんです!

 タダ巻きどころか「ほっとけ」、つまりラインテンションを保ったまま流れのなかに置いておくだけでも釣れてしまうビッグヒップHB。えっ? どこに置いておけばいいかわからないって? 大丈夫、大きなお尻が水中の情報を正確に教えてくれます!

青い瞳のKBFで釣れた。この日はあまりに水面が静かすぎて、普通のプラグでは釣り場のプレッシャーを高めるだけで終わってしまうが、そんな状況で結果を出せた秘密はなんだ?

飛田さんが作ったプロトタイプは、おなじみのTICTにより製品化。赤い瞳のHBと青い瞳の
KBF、形はほぼ同じだけど中身はかな~り違うぞ。

大きさや透明感、それに後ろが太いこの形状。富山湾名物のホタルイカを強く意識したものだ。

アピールが強すぎないためスレの進行も控えめ。数釣り狙いにもビッグヒップは最適のプラグだ。






Profile

飛田俊一郎(ひだ・しゅんいちろう)

北陸富山を中心に、四季の釣りを楽しむマルチアングラー。メバル、アジなどのライトゲームからキジハタ、アオリイカをメインに釣り場へと足しげく通う。近年は、遠征にも力を入れており、活動範囲が拡大中。TICT アンバサダー。富山県在住。