強い季節風に悩ませることの多い冬の釣り。そんな状況下でも釣果にたどり着くためのノウハウをルアーフィッシングの達人・金丸竜児さんが指南します!
爆風釣行スタート!
令和7年1月・愛媛県宇和海を訪れたのはソルトルアーフィッシング名人の金丸竜児さん。冬場は季節風が強く、アジングやメバリングアングラーにとっては釣行に支障をきたすことも多くなるが、この日もご多分に漏れず、風速10m以上の爆風日和となってしまった。
「ひどい風ですね~」と眉をしかめる金丸さんがそそくさと開始したのは、とりあえず穴釣り! 魚子ラバをセットしたタックルを携えて、よさそうな穴を探っていく。堤防や岸壁には、よく観察すると大小の穴や隙間が多く点在する。そんななかでも、奥の深い穴が有望なので、そんな場所を見つけては重点的に攻めていく金丸さん。そしてほどなくアタリ! ファーストヒットは穴釣りの定番・カサゴだ! その後も同様にしてカサゴの連発を楽しんだが、これは小手調べ。午後から夕マヅメまでを釣るべく、水深のある本命ポイントへと移動した。
爆風でも穴釣りなら問題なくできる(できればロッドは短いものがあれば扱いやすい)。
風裏を探してポイント選定
この日は晴れてはいるものの、10数m/秒の強風が絶えず吹き付けるあいにくの天気。となれば、この風を遮ってくれる風裏ポイントを探すまでた。そしてやってきたのは、背後の壁が風避けになる防波堤だった。ここはすぐ背後に防波堤の壁があり、ピンスポットではあるが風裏となる場所だった。
背後の壁が風を遮ってピンスポットの風裏を形成していた。
さっそく魚子ラバ20gをセットして、これを沖に向かってキャスト。追い風なのでルアーもよく飛んでくれる。水深が20m以上ありそうなディープポイントのボトムを取ると、すぐにアタリがあり、すかさずアワせるとヒット! 50~60m沖のディープポイントから取り込んだのは良型のカサゴだ。
「これは沖カサゴ(ウッカリカサゴ)かな?」という金丸さんだが、確かにディープから取り込んだだけあって、オフショアで釣れるようなタイプのカサゴに似ている。
幸先よくカサゴをキャッチしたあと、再び同様に魚子ラバをキャスト、巻きとフォールで誘っていくと、巻いている途中に「ゴゴゴンッ」という大きなアタリ。しかしこれはフッキングが浅かったのか、途中でバレてしまった。
「バレてしまいましたが、いい魚でしたね。巻きで食ってきたのでカサゴじゃないと思います。マダイかな?」
そう話す金丸さんは、再度アタったポイントの近くを魚子ラバでトレース。すると狙い通りにヒット! ただし、引きは先程バラした魚より弱く、さほど抵抗もなく上がってきたのは小型のオオモンハタだ。
「水温が15℃だけど、オオモンハタが釣れるんですね。巻きで食ってきたけど、ひょっとしたらさっきバラしたのも、大きめのオオモンハタかもしれないですね」と話す金丸さん。その後は夕マヅメまで釣ってカサゴを追加。ここでいったん夕食休憩とした。
魚子ラバ20gを駆使してディープのボトムからでかカサゴを抜き上げた。
アジ・メバルを求めてナイトゲームへ
「常夜灯が効き始めた頃合いを見計らって、ナイトゲームでアジ・メバルを狙いましょう」という金丸さんは、19時過ぎに再び釣り場へ向かった。爆風ではあるが、まずはあえて風面となる常夜灯ポイントへと向かった。尋常じゃない強風が吹き付けるなか、金丸さんがセットしたルアーは魚子メタル~ひらり~3gだ。
「メタルルアーは比重が高くて小さいので、強風下でも空気抵抗が小さくてワームなどよりも有利です。今回はこれでアジ・メバルを狙いたいと思います。あっ、ライズしてますね。あれを狙っていきましょう!」と、魚子メタル~ひらり~をキャスト&リトリーブ。魚の反応を見ていく。だが、強風が正面から吹き付けているため、普通に投げては距離も出ないしコントロールもままならない。金丸さんいわく、「こんなときは風が弱まるタイミングを待って、その瞬間にキャストします。いくら風が強くても、しばらく待っていれば投げられるタイミングがあるので、すかさずキャストしたらラインをすぐに水面につけて風の影響を最小限にします」とのアドバイスをくれた。
「ライズはあるんですけど、なかなかヒットしませんね。少し沈めてみますというと、水面のライズ付近へ投げて50㎝ほど沈めたレンジ(タナ)をリトリーブ。すると狙い通りにバイトをキャッチ! 小気味いい引きで上がってきたのは本命のアジだ!
あえて風表でアジングを展開。魚子メタル~ひらり~で本命をキャッチ成功!
この1尾をキャッチしたあと、あまりの風の強さに継続を断念。おとなしく風裏へ移動した。すぐ近くではあるが、愛媛県には山がちな地形が多く、背面まで山が迫る海岸線が多数ある。岬や入江も豊富なので、風が強い時期にはこんな地形の釣り場が重宝する。
移動した先も強風だが、さっきよりは随分マシだ。ここでも水面にアジらしきライズが見られたので、すかさずそれを狙ってキャストする。しかし、先程と同様、水面の魚は反応してくれない。
「アミパターンでセレクティブなのかな……それではこの手を試してみます!」という金丸さんは、足元のシェード(影になった部分)にひらりを投入し、これを真下に落とし込んだ。するとフォールの途中にヒット! 巻き上げて取り込んだのは小型のアジだ。そして残念ながらメバルの顔は拝めなかった。
「宇和海は深いポイントが多いので、足元の攻めは有効です。いわゆる岸ジギ(岸壁ジギング)です。特に明るい場所の魚が反応してくれないときは、足元のシェードに隠れている魚にアプローチしてみるとといいでしょう。暗い場所の魚は警戒心が薄いので、比較的素直にヒットしてくることが多いです。これはアジもメバルも同様です」という金丸さんだ。
良型カサゴと遊ぶ
さて、岸ジギポイントのアジの型が小さめだったため、再びポイント移動した金丸さん。今度の場所も同じく風裏ではあるが、あまりの強風のため風が回ってしまい、風裏とはいえどもいろんな方向から吹いてくるやっかいな状況だ。
「非常にやりにくいですが、潮位が高めなのでロッドティップを海面に近付けられるのが助かります。キャストしたらすぐにロッドを下げて、ラインを水面に落とすことで、風の影響を最小限にできます」という金丸さんは、ボトム付近を集中して探り始めた。
「アジはボトムで食うことも多いので、ひらりを海底に置いてアタリを待ち、時折シャクり上げてアピールし、再び落として待つ……という操作を繰り返しています。あっ、きた! これはいままでのなかではいいサイズですね」といいながら引きをいなして寄せてきた。そして抜き上げようとした瞬間、残念ながらバレてしまった。
「尺くらいはあるアジでしたね。残念!」という金丸さん。ボトムのアタリは取りにくく掛けづらいので、バラシはどうしても多くなる。
さて、ボトムの釣りの場合、ルアーを海底に置いておく時間が長くなる。ラインへの風の影響をおさえられるので、強風時には有効な釣りなので覚えておきたい。
引き続きボトム狙いを続けていた金丸さんは、尺アジをバラしたすぐあと、再びアタリをキャッチ!
「狙い通りにまたきました! アジの引きしてます!」といいながら掛かった獲物を寄せてくる。が、途中で抵抗が弱まった。「んっ、アジじゃないのか? あ~、デカサゴでした。アジだと思ったのに……」と、良型カサゴを抜き上げた。その後はカサゴを連発させるも、アジはキャッチならず。逃した獲物はでかかった!?
尺アジは逃したがデカサゴが遊んでくれた。
強風時はミドルゲームで決まり!
翌日は昼頃までの釣りの予定だったが、この日も前日同様に爆風だ。
「こうなるとできるのはルアーウェイトが重いミドルゲームくらいじゃないですかね」そう語ると、魚子ラバ20gをセットして、昨日も釣った風裏ポイントで釣りを開始した金丸さん。
「強風時は、ピンスポットでもいいので風裏を探して竿を出しましょう」という金丸さんは、ミドルゲームスタイルでターゲットを狙っていく。ちなみに、水面を見ていればどこで突風が吹いているのかがわかる。ここに注意を払っていれば、風がいつ強くなるかがわかるので、水面のざわつき(風)を観察することで、これが向かってきたら身をかがめるなどすれば、突風による万が一の落水も防げる。もちろん、ライフジャケットを着用するのは言うまでもない。
これらをふまえて、ピンスポットの風裏ポイントで魚子ラバの巻き&フォールを繰り返し、カサゴとオオモンハタを次々にキャッチしていく金丸さんだった。
爆風でもディープの魚たちは元気いっぱいだった。
低水温期ながらオオモンハタも高活性だった。
爆風でも穴釣りならできる!
「堤防によさそうな穴があったのでここで何尾釣れるか、数釣りチャレンジしてみましょう!」という金丸さんは、幅8mほどもあるケーソン(堤防を構築するコンクリートブロック)の継ぎ目を発見した。穴釣りというとゴロタ場や消波ブロックを連想する人が多いかと思うが、実はいちばん有望なのが規模の多きケーソンの隙間なのだ。
この隙間がカサゴの宝庫だった!
「さっそくやってみましょう」という金丸さんは魚子ラバ10gを投入。ケーソンの底まで沈めると着底と同時にヒット! 強引に抜き上げたのは良型のカサゴだ。
「魚子ラバはまっすぐ落ちるように設計しているので、穴釣りのように引っ掛かりやすい場所を釣るには最適なルアーです。これを巻いたり止めたりして、魚を誘います。このケーソンは深さもあるので、ていねい探ればかなり数が釣れそうですね」といいながら、連続で3尾のカサゴをキャッチしてくれた。
「今回はこのくらいでやめておきますが、ケーソンの場合は壁際すべてがポイントになります。ヒットポイントはボトムだけじゃなく、フォールしている最中も、巻き上げている最中もすべてがバイトタイミングになります。気を抜かずにじっくり探れば穴釣りの釣果はグッと上がります!」
なお、資源が減りやすい根魚ゆえ、金丸さんはヒットしたカサゴをすべてリリースした。みなさんもキープは最小限にして、釣り場保全に協力していただけると幸いだ。
こんな具合に、台風並みの強風が吹くなか、結構な数のカサゴ、アジ2尾、オオモンハタ2尾をキャッチ、真冬のルアーフィッシングを堪能した金丸さんだった。まだまだ季節風が強いこれからの時期、金丸流の爆風攻略アプローチで海釣りライフを充実させてみてはいかがだろうか。
穴釣りに始まり穴釣りに終わった本釣行。爆風時の逃げの一手として覚えておこう!(リリース推奨)
PROFILE
金丸竜児
かなまる・りゅうじ 福岡県在住。ルーディーズ代表&ルアーデザイナーをつとめるライトゲームのスペシャリスト。ロックフィッシュゲームの開拓者であり、この釣りの探求に日夜余念がない。
参考タックル
●ミドルゲーム用
〈ROD〉APIA GRANDAGE BRUTE STRETCH FOUR S88MH
〈REEL〉スピニングリール 4000番
〈LINE〉PE1.2号 〈リーダー〉フロロカーボン16Lb
〈LURE〉RUDIE'S 魚子ラバ10~20g
ディープ狙いのミドルゲームで活躍した魚子ラバ20g。
●ライトゲーム用
〈ROD〉APIA GRANDAGE LEGACY UNIVERSAL S77MT
〈REEL〉スピニング 2000番 〈ライン〉PE0.25号
〈LEADER〉フロロカーボン6Lb
〈LURE〉RUDIE'S 魚子メタル~ひらり~3g
魚子メタル~ひらり~3gを丸呑みした良型カサゴ。
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