厳冬期のエギングはラン&ガンがキモ!

どこかで釣れたという情報を聞いたら、まずはその場所を聞きたくなるのは人情。だがそこで聞いた「どこで」だけで満足してしまったら、次の釣果は得られない。釣れるポイントには釣れるだけの理由「なぜ」が必ず隠されているものだ。ならばそれはどこに隠されている? これが穴場発見のキモというわけだ。



ポイント探しは釣りの第一歩!

昨日釣れたポイントが今日釣れるとはかぎらない

 エギングにかぎらず釣りを始めるにあたって大切な要素は、釣れる場所で釣ることだ。ここで重要になるのは、今どこで釣れているかという具体的な場所ではなく、その釣れているポイントがどんなところか? という点だ。

 釣り人がいつも口にする言葉に「どこで釣れた?」「どこに行けば釣れる?」というのがある。もちろんその釣れた場所は重要だが、そればかりに注目していては釣りは上達しない。前日釣れたという場所を聞き、そこに翌日行ったとしても、同じように釣れるとは限らない。

 ならば、釣れたという情報を聞いた際、どこに注目してその情報を深掘りすればいいのか? それはずばり「なぜ釣れたか?」という点だ。


釣れる要素がどこまでそろっていた?

 釣れたポイントには、たいてい釣れた理由が隠されている。地形はどうなっていたか? 航空写真で見たときの形状は? 潮のタイミングはどうだった? どんな状況でどんなピンポイントを狙った? ベイトはどの種類がどのくらいいた? 水温は? 海藻は?

 これらの答え合わせを飛ばして「どこで釣れた?」の一点を知ろうとするだけでは、釣れる確率も大幅に下がってしまうものだ。

 普段からこのように「どこで釣れた」より「どうして釣れた」に注目するようにしておくと、初めてのエリアに移動したときでも、釣果に結びつける思考がはたらくようになる。またいつも通っているポイントでも、新たな攻略法や釣れるピンポイントを発見できるようになる。

 釣れるポイントには、必ず釣れる理由がある。この点を常に念頭に置いておくことこそ、釣り人としてのスキルを向上させる秘訣だと私は思う。では、釣れる理由というのはなんなのか? 別項にていくつかご紹介しよう。

水深がありウネリもおだやかな串本周辺は養殖漁業も盛んに行なわれている。そして養殖イカダのある場所=アオリイカのポイントという図式が成り立つことを覚えておこう。


上達のためにあえてデイゲーム

 厳寒期を迎えると、エギングは一年で一番釣れにくい時期となる。そのいっぽうで、黒潮の影響があるエリアではサイズが狙えるシーズンでもある。この大型チャンスを逃さないためには、本来は夜型であるアオリイカに合わせ、月周りを見つつナイトゲームに徹したほうがいいのだが、ここはあえてデイの釣りにもチャレンジしてみてほしい。

 昼間、明るいポイントを自分の目で見るという経験を多く積むことで、いろいろなシチュエーションに合わせた釣りができるようになり、ナイトゲームもおのずとうまくなるものだ。目で見た情報がそろったなかでいろいろなケースを想定し、エギを選んで投げる。結果が出たらその理由をしっかりと考え、次に同じような状況がきたとき再現できるようにする。もしダメなときでも、なぜ釣れなかったのか考えることで、次につながる。

 なぜ釣れたのか、なぜ釣れなかったのか? どちらも今後エギングに取り組んでいくうえで必要となる要素だ。自分の釣りを自分で考えて確立し、みなさまが価値ある1パイを手にしていただくことを願ってやまない。

この釣り場が次行ったときも同じように釣れるとは限らないが、なぜ釣れたかを分析しておけば、違う釣り場に行っても同じように釣れる可能性がある。



ここに注目①複雑な海岸線と急深な足元がそろった

 アオリイカがよく釣れる場所は、大きい湾、小さい湾、とにかく少しでも入り組んだワンドにあることが多い。なるべく複雑な海岸線で、足元から沖に向かって徐々に深くなっている条件が重なれば理想的だ。

ただでさえ入り組んだ海岸線のすぐ沖には大小の岩が並び、さらに複雑な海岸線を形成している。立ち位置やキャストの角度を少し変えるだけで、まったく違った攻め方が可能となるポイントは、まっさきに探りたい。



ここに注目②水温が高かった、または低くても安定していた

 これからの時期、水温が15℃以上であるほうが釣れる確率が高くなる。冬は少しでも水温が高いほうがアオリイカの活性も高くなるが、寒い日が続いて水温が低いままでも、その低さで安定していれば釣れやすくなる。

 人間と同様に、アオリイカも急な温度変化に身体がついていかなくなる。寒い時期、水温が低い時期には活性が高い個体も減る。夜行性の捕食型のイカをデイで狙う場合は、とにかくネチネチと「静」の釣りをするといいだろう。

シモリが点在するようなサーフで好天が続くと、日照により水温が高くなり狙い目となる。



ここに注目③信頼できるカラーのエギを使った

 水色に応じてエギのカラーを使い分けることも重要だが、実はこれには真の目的が隠されている。それはアングラーのメンタル面補強だ。せっかく釣れそうな場所を見つけ、条件もそろっていざキャストという段階にこぎつけたとしても、メンタル面で負けていてはせっかくの釣果がフイになりかねない。

 どんな状況でどんなカラーが釣れるのか、自分なりの答えを確立しておくことで、ここぞというタイミングでの集中力は段違いになる。釣れないカラーはないし釣れないエギというものもめったにはないが、実際に自分で釣ったことのないカラーを手にしてしまうとどうしても疑心暗鬼となり、釣りが雑なものになる。エギのカラーは、自分で信頼のおけるものを選んで使いたい。



セフィアクリンチフラッシュブースト(シマノ)

デイでもナイトでも効くケイムラブルーはぜひ用意したいカラーだ。



セフィア クリンチ ロングアピール ジェットブースト(シマノ)

道をいくピンクベースにケイムラカラーを効かせた「モテモテピンク」は、誰もが信頼したくなるカラー。



ここに注目④手が届く場所にエサが入ってきた

 寒い冬、コタツに入った人間がどうなるか? そこから出たくなくなり、手の届く範囲にあるものだけで用をすませたくなるだろう。アオリイカも同様に、寒い時期はなるべく動かずにエサを捕食したくなる。コタツに入った人間と同じように、その場で大きく動かずに届く範囲にしかアオリイカは興味を示さないという前提で、ならばどうやってエギに抱きつかせるのか? それを考えながらポイントを探し、釣り方も変えてみよう。

手の届きそうな範囲内にブレイク、沈み根、海藻帯が集中している。冬のアオリイカは、狭い範囲にあれこれそろったお座敷のようなポイントを好むものだ。



ここに注目⑤最適な号数のエギを選んだ

 エギを選ぶ際は、カラーだけでなく号数も重要だ。単に深いから重いものを投げるのではなく、底が取れるようであれば、たとえ深いポイントを攻める際でも軽いものを使うという柔軟性がほしい。また大型狙いだからといってむやみに大きな号数を使うのではなく、あえて小さなエギを投げてみるという手もある。シーズンによっては、小さなベイトを大きなイカが偏食していることもよくある。こういった状況にすぐ対応できるよう、どの号数を投げるべきか? という引き出しは常に用意しておこう。

プラグと違ってカンナ1カ所だけ保持しておけば安全に持ち運べるのがエギ。号数とカラーをすぐ交換できるよう準備しておこう。



ここに注目⑥近くに河口があった

 これはどちらかというと暖かい時期のほうに当てはまるが、エギングにおいても河口の存在はとても重要だ。水温が高すぎるようでも、河口からの淡水で少しでも冷やされることで釣れることもよくある。また、もし温排水などが常時流れ込む河川があれば、寒い時期にまっさきに探ってみたい。

チヌやシーバスと同様、アオリイカのポイントも河口がキーとなる。一般的にアオリイカは淡水を好まないとされているが、淡水で流されてくるエサ、そして淡水で暑さ寒さが和らげられた海水温は大好きだからだ。



ショア侍JOEおすすめタックル

8.6ftを基準にプラスマイナス

 足場の低いところでラン&ガンするなら短め、春の大型や回遊狙いでスローな釣りを展開するなら長めのロッドがそれぞれほしくなるが、その「短め」「長め」の基準は8ft6inに設定しておくといいだろう。

 リールは2500からC3000あたりで、ラインは0.6号のPEラインにリーダーは2.5号から3.0号。エギの大きさは基本的に3.0号から3.5号で、ノーマルシャローがあれば南紀エリアのほとんどをカバーすることができる。


セフィア エクスチューンS92ML+(シマノ)


ヴァンキッシュC3000S(シマノ)

軽さと感度をきわめたリールがあれば、ラインに伝わるちょっとした変化が、ハンドルを持つほうの手でも感知できるようになる。


JOEラン&ガンスタイルのマストアイテム群

タックルとタモ以外はタックルベストに収納し、手に持つのはタックルのみ。これが理想的なラン&ガン装備だ。


偏光グラス

目で見た情報がそのまま釣果につながるデイゲームでは、水中の情報量が格段に多くなる偏光グラスは必需品だ。


スパイクシューズ

乾いたコンクリートからノリで覆われて濡れた岩場まで、フェルトスパイクソールのシューズなら安全に歩き回れる。


Profile

湯川マサタカ

(ゆかわ・まさたか)

「陸っぱり侍JOE」の異名を持ち、「釣果は歩いた距離に比例する!」をモットーにポイントの新規開拓を欠かさない超実践派エギンガー代表。シマノインストラクター。カリスマ美容師としての顔も持つ。和歌山県在住。