G-TEC代表のトモ清水さんは石川県金沢市の出身だ。金沢には数々の伝統工芸があり、それらは脈々と受け継がれている。今回紹介する紫翠(しすい)と翠嵐(すいらん)は、日本の伝統と最新のカーボン技術を組み合わせた限定ロッドだ。清水さんがロッド製作で貫いた信念、こだわりを聞いてみた。
最先端テクノロジーと伝統工芸を融合させた限定ロッド誕生
最新マテリアルと最先端技術に伝統工芸を組み合わせた紫翠&翠嵐
G-TECのロッドは、アングラーそれぞれが考えたターゲット、使い方ができる究極のマルチパーパスロッドになっている。ブランクス素材は100%東レ株式会社製で、現在は最新素材のT1100G、M40Xをメインに使用する。
最先端の第三世代カーボン素材を使ったプリプレグは、進化を続けるオリジナルのマグナス製法によってブランクスになる。この製法はコストを惜しまない丁寧な設計かつ少量生産を行なっている。強度に優れたまっすぐなブランクスを作るカッティング技術や、高品質で高性能なブランクスを約束するマンドレルテーパー設計を駆使してG−TECのブランクスは作られている。
トモ清水さんの故郷である石川県には、数々の伝統工芸が受け継がれている。なかでも輪島塗や加賀友禅は全国区の知名度を誇っている。今回紹介する紫翠と翠嵐は、最先端のブランクスと伝統工芸がコラボした完全限定生産ロッドだ。
職人が手描きした加賀友禅。翠嵐には日本を象徴する富士山、紫翠には桜と松、飛魚が描かれる。
紫翠・翠嵐のベースモデルはディアスローXSC-59ST-PRO
紫翠と翠嵐のベースモデルは、「クロスセンシティブ・ディアスロー・XSC-59ST-PROで、チューブラー構造とスローテーパーを採用したベイトフィネスロッドだ。ブランクス素材には弾性率33トンのT1100Gと弾性率40トンのM40Xをメインに採用。さらに弾性率55トンのナノアロイと4軸カーボンをグリップまわりに使う。
特徴はスローテーパーにありがちな重い、だるい、感度が悪いというデメリットを一蹴。戻りが速く、ブレのないブランクスになっている。この結果、1g以下のリグでもストレスフリーの遠投を実現する。
ベースモデルと限定モデルの違いについて質問してみた。
「ブランクス性能は同じですが、コスメを変更しました。紫翠はパープルのメタルアルマイトパーツ、翠嵐にはグリーンのメタルアルマイトパーツを装着しました。ノーマルモデルは完全なアンサンド仕上げでしたが、グリップ上部に写真映えする装飾を施しました」。
という答えが返ってきた。
パーツの変更点を聞いてみた。
「ガイドリングを変更しています。ノーマルはSiC-Sがメインですが、紫翠と翠嵐はトップガイドを除いてトルザイトリングを装着しました。ガイドシステムはKRガイドシステムをベースに、独自の多点小口径のナノガイドシステムでセッティングしています。ガイドフレームはオールチタンです。あと、翠嵐のリアグリップはコルクになっています」。
とのことだ。
コスパに優れたロッドでガンガン使うのもアリだが、こういった至高の一品で一尾の価値を高める釣りもまたいとおかし。
ロッド自重38.5gとベイトキャスティングロッドとしては世界最軽量級。
トップはアロワナトップのKG、バットガイドはリバーズガイドのRVを装着する。
紫翠のリアグリップは軽量なEVA、翠嵐は天然素材のコルクを採用する。
竿袋に加賀友禅をあしらった日本刀を仕舞う白鞘袋を採用
紫翠・翠嵐の竿袋は趣が異なっている。この部分を質問してみた。
「私はロッドに日本の伝統工芸を取り入れたいと考えていました。そして故郷の伝統工芸を全国に知ってもらえればと思っています。そのひとつが加賀友禅です。加賀友禅は加賀藩が治めていた江戸時代に発達したといわれ、高級武士階級の文化だったそうです。加賀友禅は数多くの工程があり、それぞれに職人の卓越した技術が注がれています。
そして実家の近所にある加賀友禅工房・久恒(ひさつね)さんに相談し、絹100%、職人の手描きで仕上げた本物の加賀友禅を丁寧に竿袋に縫いつけました。竿袋の裏側に加賀友禅をあしらったのは、江戸時代中期に流行った「裏勝り」という文化を取り入れました。竿袋は日本刀を仕舞う白鞘(しらさや)袋です。日本刀を包む袋には質素な白鞘袋、豪華な雰囲気の拵(こしらえ)袋があります。私は久恒さんに見せていただいた無地の白鞘袋に心を奪われ、これを竿袋にすることを決めました。白鞘袋は仕舞い方に作法があり、日本人の物を大切にする心が盛り込まれています」。
という郷土愛と日本文化の継承を大切にする答えが返ってきた。
刺繍などの装飾がない無地の白鞘袋は清水さんの心を鷲掴みにした。
贅沢禁止令によってあみ出された「裏勝り」は、質素な表地と派手な裏地を組み合わせた人々の知恵の結集ともいえる。
超軽量なカーボン100%のハードケース
日本刀が武士の魂ならば、釣り人にとっての魂はロッドといっても過言ではないはずだ。そして、ロッドを安全に保管することも大切だ。ロッドを安全に保管するには、ハードケースに入れておくのがよいだろう。
紫翠と翠嵐には、カーボン100%の超軽量ハードケースが付属する。見た目は車のカーボンパネルのように格好よく、手に持ってみると重さを感じないほど軽い。キャップとボトムにはアルミパーツを装着する。ハードケースは2本まで収納でき、電車などの公共交通を使った釣行でも安全かつ効率的にロッドを持ち運べるはずだ。
大量生産、大量消費ではなく、気に入った物を大切に永く使う。これはG-TECのロッド作りにおけるポリシーでもあり、日本人が大切にしている心ではないだろうか。
カーボン100%のハードケースは驚異的な軽さと強さを発揮する。
キャップとボトムはアルミで、紫翠はパープル、翠嵐にはグリーンのラインが入っている。
2025年2月15日 少量生産限定レアモデルとして発売決定!
紫翠(XROS SENSITIVE XSC-59ST-PRO THE “DEAR SLOW”)
●全長:5’9”●継数:2 ●自重:38.5g ●適合ルアー:0.1~10g ●適合ライン:3~6Lb(フロロ、ナイロン)、0.1~0.8号(PE)
翠嵐(XROS SENSITIVE XSC-59ST-PRO THE “DEAR SLOW”)
●全長:5’9”●継数:2 ●自重:38.5g ●適合ルアー:0.1~10g ●適合ライン:3~6Lb(フロロ、ナイロン)、0.1~0.8号(PE)
Profile
トモ清水
20年以上ロッド開発者として釣り具業界に携わり、国内外の20社ものブランドを手がける。2023年、新ブランドのG-TECを立ち上げ独立。現場主義、実績主義をモットーに全国、世界各地を釣りで飛び回るガッ釣り系スーパーマルチアングラー。自然と魚をリスペクトし続け、次世代の楽しいものづくりに挑戦しながら世界トップクラスのロッド開発者を目指す。
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