でかアジはここで釣れ!〜狙うはヨンマルオーバー!〜

「冬場が壱岐のでかアジ最盛期です。釣りたい方はぜひこのタイミングで!」そう呼びかけてくれたのは壱岐在住の長嶋博雅さん。ただし、闇雲に狙って釣れるほど甘くはない。そんな壱岐でのでかアジゲット術を教えちゃいます!


でかアジの聖地・長崎県壱岐島

 九州北部の日本海に位置する長崎県の壱岐島は、日本全国を見回しても、ナンバーワンのでかアジの魚影を誇る場所だ。40㎝は当たり前、50㎝オーバーまで狙えてしまう夢のようなエリアである。全国各地でも50㎝前後のアジが釣れる場所はあるが、壱岐の特徴はなんといってもその魚影の濃さだ。そんな大きなアジが数釣り可能なのである。

 これには黒潮の分流である暖流の「対馬海流」がダイレクトに当たる好漁場だということも関係するが、例えばさらに北側にある対馬と比べても、どういうわけか壱岐のほうが圧倒的に釣れるアジのサイズが大きいのだ。

 アジの回遊が始まると、これがまんべんなく周辺の釣り人にアタってくる。例えば尺メバル狙いだったら、でかいサイズは1尾釣れれば御の字で、それ以外の魚の場合でも、ランカーサイズが数釣りできるなんていうケースはほとんど耳にしない。

 それが壱岐のアジの場合は、尺オーバーの良型ばかりが連発し、これに40㎝、ときには50㎝オーバーというモンスターサイズも交えてツ抜け(10尾以上釣れること)することすらあるのだ。アジングを嗜む人なら、ぜひチャレンジしてみたい垂涎の地である。

壱岐といえばでかアジ!尺アジは当たり前、50㎝超も夢ではない!



よく釣れる時期は?

 そんな壱岐のでかアジは年間通して狙えるが、いちばんよく釣れるタイミングは冬場に当たる12月から翌3月くらいになる。いったいどうしてなのか。この辺りの事情を、現地ででかアジを釣りまくっている、壱岐っ子の長嶋博雅さんに訊いてみた。

「壱岐のでかアジは周年狙えますが、最盛期は冬場です。それ以外のタイミングだと、群れがまとまっておらず、壱岐ならではの数釣りが難しいんです」という長嶋さん。では、どうして冬場に群れが集まって釣りやすくなるのだろうか。そんな疑問を長嶋さんにぶつけたところ、次のような回答をいただいた。

「12月から3月にかけての冬の時期は、沿岸域や港内にキビナゴなどのベイトフィッシュがたくさん寄ってくるタイミングになるんです。でかアジはこの小魚の群れを捕食するために回遊してくるんです。したがって、このベイトの規模が大きいほど、でかアジゲットのチャンスは大きくなります。それ以外の時期はベイトの群れが小さいので、でかアジの群れも小さくなり、釣れなくはないけれど、冬シーズンに比べると釣れ具合はまばらになります」

 壱岐ででかアジに行き着く決め手は、ベイトの接岸状況というわけだ。

時合いを逃さずリグをできるだけ海中に長く入れておく……これがマヅメのでかアジ回遊狙いの鉄則だ。



でかアジの狙いのポイント選び

 冬のシーズンにでかアジの群れが多いことはわかった。それではどんなポイントを選べば、でかアジと出会うことができるのだろうか。これについても引き続き長嶋さんに訊いてみた。

「壱岐といえども、どこでもでかアジが釣れるわけではありません。さっきも説明したように、キビナゴなどのベイトフィッシュが多い場所を探すことです。このベイトは港の内外を出たり入ったりしていて、その動きに合わせてでかアジの回遊も起こります」

 というわけで、ベイトの情報を得ることがいちばん大切だ。目安として、大きな港には小魚が集まりやすい。漁港の排水には、プランクトン類を含めて当然ベイトが寄りやすいが、規模が大きな港ならそれに比例してベイトの規模も大きくなることが予想される。

 それをふまえて、例えば日中に目視でベイト探しをするなどは大切だ。これで偏光グラス越しにベイトの群れを見つけることもできるし、目で見えない場合は潮目ができている場所を狙うというのは、どんな釣りにおいても定石である。

 さらには海鳥にも注目したい。ウミネコなどが水面近くを飛んでいたり、時折海中に突っ込んだりしているとき、鳥はその下にいるベイトの群れを狙っているのだ。

強めにアピールしたあとのテンションフォールでアタリを取っていく。



でかアジはマヅメが最大の狙い目!

 壱岐ででかアジがいちばん狙いやすいのは朝夕のマヅメ時だ。このあたりのメカニズムを長嶋さんに訊いてみた。

「私の経験でいうと、ベイトにつられて接岸した壱岐のでかアジは日中、港内に居着いて休んでいるような個体も多いように思います。これらが夕マヅメに港口に集結したベイトを食うために動き出すイメージです。実際、デイゲームで港内に居着いたでかアジを狙うパターンもあります。その意味でも、ベイトの多い港をチェックしておくことは重要です」

 夕マヅメにエサを食ったアジは、その後はナイトゲームのパターンで釣れることもあるが、夕マヅメのようなでかアジラッシュになることはなく、レギュラーサイズの数釣りへと移行する。ただ、時間が経過して朝マヅメになると、再びベイトを求めてでかアジの群れが再び食い始めるというのが壱岐のパターンだ。したがって、でかアジの連発を味わいたいのであれば、朝夕のマヅメ時に集中して竿を出すのが得策である。

 なお時合いは群れの大きさによってまちまちで、30分以上続くこともあれば5分、10分、日によってはないこともある。短い時合いをいかに効率よく釣るかがこのゲームのキモともいえる。

夕マヅメのゴールデンタイムは日が沈んでからのワンチャンス!



通常のアジングとは別の釣り⁉

 壱岐の夕マヅメのでかアジ狙いは、一般的なナイトアジングとはまったく違う釣りだ。

「時合いに効率よく数を伸ばすには、でかアジを短時間で取り込み、すばやく次のキャストへ移ることが重要です。とにかく効率よく手数を多くしていくことで釣果を伸ばすことができます」という長嶋さんは、釣れたアジは氷水を入れたバケツにどんどん投入、時合いが終わったと判断した時点で、まとめて〆てクーラーに入れるということを実践している。

一瞬の時合を逃さないためにもキープキャストが大切だ。



釣果アップのコツ

 壱岐のマヅメの回遊アジは、突然やってくる。「傾向としては、まず小アジがじゃれついてきて、そののちに本命のでかアジがいきなり食ってきます。本格的に群れが回ってくると、上のタナでガンガン食ってくるので、あまり沈めず、派手めのアピールで食わせていきます」という長嶋さんは続けて「掛かったら、アマテラスのパワーで頭をこっちに向けさせて抜いてしまいます。そしてすぐに次のキャスト。エステルラインのスタンダードタックルでももちろん食ってきますが、やり取りに時間がかかりすぎて時合いを逃してしまいます。壱岐のでかアジにはパワータックルで対峙しましょう!」

 小アジが回ってきた。これは大型接岸の前触れなのだ。



壱岐島の特徴

 複雑に入り組んだ海岸線をもつ壱岐。それが多くの湾を形作り、ベイトフィッシュが溜まりやすいポイントがたくさん存在する。急深なブレイクがすぐそばにあるポイントも多く、でかアジが接岸しやすい要因になっている。車を使った島内の移動も比較的短時間でできるため、多くのポイントを効率よくラン&ガンすることもできる。海産物も安くて美味しいので、1~2泊して、時合い集中ののんびり釣行パターンもおすすめだ。

その複雑な地形が多くのでかアジポイントを形作っている。まだまだ未開拓の釣り場もたくさん存在する壱岐。



でかアジ釣るならアマテラス

「ジグ単で壱岐のでかアジを釣るために作ったロッド」と長嶋さんがおすすめするのがアマテラスだ。尺上は言うにおよばず、ヨンマルアジさえもゴボウ抜きできるTICT随一のパワーロッドだ。ラインシステムもPEを使用する。ジグ単は大型対応の太軸ジグヘッドにワームのおすすめはアジボッコ。「強い太軸のジグヘッドとアジボッコの組み合わせがおすすめです。アジボッコはズレにくいので、短い時合いにリグをできるだけ長く海中に入れておくには絶好のワームです!」



TICT SRAM MSR-62XSS〜AMATERAS〜

ジグ単でかアジスペシャル仕様なのが長嶋さん監修のアマテラス(天照)。「掛かった大型を有無を言わさず抜き上げる」ことが可能だ。



TICT アジボッコ2.5inc

ハイアピールのアジボッコはマヅメの高活性魚に最適だ。同時にズレにくいので、小型に突かれても海中に長く留めておける。これこそ短時間で数を伸ばす秘訣だ。

Profile

長嶋博雅(ながしま・ひろまさ)

生粋の壱岐っ子。「アジガミ」の通称を持つ実力派で、でかアジ釣り場、メソッドの開拓に余念がない。壱岐の遊漁船「宝福丸」(www.houfukumaru.com)船長で、TICTアンバサダーも務める。