ジグ単の天敵は風です。しかし風はアジの活性を上げる重要な要因でもあります。この風と上手く付き合い、釣果をあげていくのがアンカリング的に使うフロートです。このようなフロートリグの扱い方について触れてみたいと思います。
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アンダー1gを約50m飛ばせることの意味
フロートリグはジグ単では手が出せない距離感があるときに多用されるリグのひとつです。こと食わせを意識するとジグ単はアンダー1gを扱うケースも多くなります。投げることができる飛距離としては約20m程度でしょうか。しかし、フロートリグを組めば仮にジグヘッドが1g以下でも50m以上の遠投が可能です。攻めることが可能な範囲が倍以上になり、単純に倍のチャンスを得ることができます。そして、遠投先にスイートスポットを見つけることができれば、ジグ単しかできない周囲の釣り人を出し抜くことができます。
ジグ単はよく技量アップの釣りと言われますが、食わせに対し納得を得るにはどうしても長い年月を伴う修練が必要になります。対してフロートの場合必要になるのは遠投技術に集約されるので、思った以上に習得までの時間は短く、釣果も得やすいため釣果の目新しさを手に入れるにはうってつけのリグだと言えます。
また、フロートも奥深い技量の世界がありますが、ジグ単の戦略思考がある程度完成されていれば、フロートの沈下速度コントロールのイメージもしやすくなります。フロートの重量変更によるレンジキープは、ジグ単で必要とされる技量の比ではないほど簡単に行えます。つまり釣れるレンジに長く停滞させることができるので釣果に結びつきやすいのです。これほどの恩恵があるのにやらない手はないですし、遠投の快感は通常のアジングでは得られないものです。
そして、表層のベイトに着いたアジを狙うケースではどうしてもアジの回遊速度が速くなり、サーチに注力しやすくなりますが、遠投できるフロートは攻略範囲が圧倒的に広いので、冬場の最盛期では使用頻度が激増する戦略となります。
リグるのが大変、専用タックルが必要、そんなイメージが先行しがちですが、風と上手く付き合って効率的に釣果を得るにはこれほど優れたシステムはないと思います。そしてこのフロートリグの最大の恩恵とも言えるのが、良型の釣果が得やすいと言ったところも付加しておきます。
ジグ単用ロッドでそのままフロートリグを使用することも可能ですが、フロートリグ専用タックルの方がしっかりロッドを曲げてキャストすることができます。
遠投だけじゃないフロートリグの底力
フロートリグの恩恵は遠投にありとお伝えしましたが、実はフロート初心者が気づかない使い勝手のよさも隠されています。特に冬場は北西の強風が強い時期で、釣れていると分かっていてもジグ単が扱いにくく、思ったような釣果に恵まれないケースに悩まれている方も多いのではないでしょうか? これを解決できるのがフロートリグなのです。
フロートという言葉が一人歩きしていて、どうしても浮くモノ、あるいはゆっくり沈むモノは風に弱いというイメージが先行しているのではないかと思います。実は、対ジグ単で考えるとフロートリグの方が強風時の安定感は圧倒的にジグ単を上回ります。ジグ単は水中で受ける抵抗が小さいため、風でラインが煽られるとその力の方が優ったときにはジグ単はスライドして安定しにくくなります。強風時にはそれを逆手に取った戦略が存在するほど、風の影響によりリグは動いてしまうのです。
対してフロートリグは、ジグ単に比べて抵抗を受ける面積が大きいために水中で動きにくくなります。大きなものを投げて回収すると巻き重りを感じますよね? ジグ単はシャカシャカ巻けてくるのに、大きめのプラグをつけたときには穂先が入り込み巻きにも重さを強く感じます。つまり、水中での抵抗が大きいものほど風を受けたラインの引っ張り強さでは動きにくいことを示しています。この抵抗は単にスライドだけの話ではなく、沈下速度コントロール、つまり水中での縦方向の抵抗にも繋がっています。
実際に取材時には強風環境下での縦方向の攻めの中でボトムを狙っていたときにマゴチがゲストで登場してくれました。風がある中でもボトムの魚が反応してくれるわけですから、フロートリグがアンカーとしての役割を果たしていることがよくわかるケースだったと思います。
そして遠投先でよりナチュラルに沈ませるという表現はここからきています。風にも強く、沈下速度制御も容易なために良型の釣果が得やすいとくれば使わない手はないと思います。
風の影響をモロに受けてしまうのがジグ単の弱点。冬の北西風は特に大敵です。一方、フロートリグはフロートが水中でアンカーとしての役割を果たし、泳ぎを安定させます。
ジグ単は風の影響を大きく受けてしまういっぽうで、フロートリグはフロートのウエイトも相まって風の影響を受けにくいのが特徴。
投げにくく、アワセが決まりづらい側面も
恩恵の塊に思えるフロートリグですが、やはり使用上の注意点はあります。まずはフロートリグ成立の絶対条件となるキャストです。荷重が分散しているリグであり、基本的には投げにくいため、慣れていないとキャストの飛距離や方向の精度が出せません。これをクリアしてステップアップしていくのが望ましいと言えます。
キャストのコツとしては、ジグ単のような短く振り抜くキャストではなく、リグの重みをロッドのバットに荷重を溜め込むようにゆったりとしたモーションで投げることです。代表的なキャスト方法にペンデュラムキャストというものがあるので、参考にして習得していただくことをおすすめします。
次にリトリーブのコツですが、リグがフロートを含めて安定的直線運動する最大速度域を日中など明るい環境で目視確認してみてください。その速度以下で扱えば問題なく釣果に結びついてくると思います。
そして縦の釣りに伴うアクションの与え方なのですが、ロッドによるアクション付与は強く意識する必要はなく、もはや縦に捌いたリグに対してテンションを抜くというレベルで与えられるアクションで十分です。
肝心なアタリの出方はジグ単ほど明瞭なものは多くありません。これは経験を積んで皮膚感を高めていくしかありませんが、アジングは違和感を得る釣りとも言われるようにフロートリグでも違和感があったら放置せず、積極的にアワせていきましょう。また、飛距離やフロートの干渉があるがゆえに、アワセが効きにくいときがありますので、アワセのストロークを大きくとることも重要です。
最後にフロートリグは現在さまざまなものが提案されていますが、私が扱うリグのほとんどはTKシステムというものです。絡みのトラブルが非常に少なく、夜間でも安心して扱える優れものです。また重さの変更も手軽だという点は賞賛に値します。このシステムの考案者の動画が公開されているので、システムに必要な道具立てを含めた詳細はそちらを参考にされるといいと思います。
リグを組み直さずにフロートやシンカーを付け替えることができる画期的なシステムのアウトシュートを、さらに絡みづらくするために考案されたのがTKシステム。
キャスティングのコツ
動作はゆっくり、大きく
タラシを長く取ったペンデュラムキャストがおすすめです。特に専用ロッドではなく長めのジグ単向けロッドの場合はゆったりとしたフォームで投げることが飛距離を稼ぐコツになります。バットにリグの重みが乗るようにロッドを曲げ込む感じにするといいです。通常のジグ単キャストでは飛距離が出ないばかりか、ティップの破損にも繋がります。
ジグ単では届かない距離感もカバーし、縦、横ともに広範囲を楽々サーチ。キャストはゆったりとした流れで行うのがコツ。
フロートリグのメリット
飛距離とリグの安定感
ジグ単は風に弱く多くの実践を積みある程度の技量が必要になります。対してフロートは風に対して飛距離やリグの泳ぎの安定感にアドバンテージがあります。アジとの距離が短くても強風時にはフロートちょい投げでアプローチすることは、釣果を伸ばす面で大変有効な手段です。ただ、ジグ単の釣りをある程度経験してからフロートを扱う方が、アジ向きのアプローチをイメージしやすくしてくれます。
強風時であればフロートリグのちょい投げも効果的だ。
徹底解剖! フロートリグ
糸絡みを低減させるTKシステム
私が多用するTKシステムはキャスト時の絡みを極限まで低減させるシステムです。エサ釣りなどで使用する絡み止めパイプとクッションゴムを活用することで、絡みを少なくすることができます。また糸絡みをより低減させたい場合はリーダー、ハリスともにワンランク上の太さにすることで、さらに絡みを抑えることができます。遠投先にいるアジは活性が高いことが多く、太くするデメリットはあまり生じないのもうれしいところです。
糸絡みを大幅に低減してくれるTKシステム。
フロートとジグヘッドの相性
風が強くなければ基本は軽め
ジグヘッド重量と食わせの関係を考慮すると軽い方がいいのですが、強風時にはより安定させるために上限2gまでを用いるという選択肢を持っておいた方がいいです。重くすることで直進安定性が増し、リグはより安定します。
フロートをゆっくり沈めたいケースでは、ジグヘッドは軽い方がいいというのも基本となる考え方です。風がなければ軽いものを積極的にチョイスしましょう。
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